虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

神様

2005年06月03日 | 映画の話題
 最近公開の映画「海を飛ぶ夢」「ミリオンダラー・ベイビー」と来て、宗教を考えずにはいられない。どちらの映画でも、宗教者は見ているものに決して好感を持たれる存在ではない。かといって、宗教がただ既成の権威や権力によってのみ勢力を持っているわけではない。キリスト教世界のなかのお話であることを感じずにはいられない。

 私は、どうもキリスト教というものに対して距離を置いてしまう。
 通った大学が、キリスト教系だったので卒業必修単位としてキリスト教について学んだが、私の習った二人の先生方への尊敬は持てても、キリスト教に対する違和感から脱することが出来なかった。
 女性の扱いは特にダメだ。
 イヴはアダムの肋骨から作られ、蛇の誘惑に負け、アダムを誘ってりんごを食べた。そもそもが男より劣ったものであり、原罪の原因も全て女が負うものである。
 キリスト教社会では宗派を問わずこれが根本にあるのだからたまらない。謙虚になるどころでは済まない。男だって、これだけ優位を強調されては、女に負けたと思った時の屈辱感を増幅させる原因になるだろう。「個体差は集団の差に捉われない」なんて言ったってすごく空しく響きそう。
 仏教にしたって女人往生は難しいんだが、日本社会の宗教的無節操ともいえる状況もあってここまで叩き込まれる感じはしない。反面、オウム真理教みたいな危ないものに付け込まれやすい無節操さでもあるので、「宗教」一般についての教育は必要かも、と思うけれど。

 自己の無力を認めて、より大いなる判断に従うのも一つの生き方であるし、それによって救われるものもあるが、絶対者に救いきれない苦しみもあることを突きつけるのは、かなり強烈なチャレンジのように感じた。