虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

フランケンシュタイン (1931/アメリカ)

2005年06月28日 | 映画感想は行
FRANKENSTEIN
監督: ジェームズ・ホエール
出演: ボリス・カーロフ  モンスター
   コリン・クライヴ  フランケンシュタイン
    メエ・クラーク   エリザベス
    ジョン・ボールズ
    エドワード・ヴァン・スローン
    ドワイト・フライ

 生命を作り出す研究にとり憑かれたヘンリー・フランケンシュタイン博士は、死体を集めて接合し、嵐の夜、電気の力でそのモンスターに命を吹き込む。生命の創造に成功したと有頂天の博士だったが、モンスターは博士に制御できるものではなかった。

 原作により忠実なのは、ケネス・ブラナーとデ・ニーロ版の「フランケンシュタイン」(1994)で、あれも悲しげな話でしたけど、これはそれとは少し性質の違う悲しさを感じるモンスター。諸悪の根源、ヘンリー・フランケンシュタインには、「お前はなんだ!」と、なぐってやりたくなります。
 ボリス・カーロフの伝説的な名演とフランケン決定版とも言うべき特殊メイクであまりにも有名な作ですが、カーロフのモンスターは実に、実に名演です。彼の表情で、人の手によって人の忌み嫌う姿で作り出されてしまったモンスターの悲しみに共感してしまう。
 子どもは様々なものに、子どもとして接してそのものが何であるかと対応の仕方を覚えていく。しかし巨大な身体と力をはじめから持ってしまったモンスターは、彼の心の無垢な状態を理解されず、従うことだけ要求され、怪物としてしか扱われない。特に子どものシーンで、その悲しさが強調される。あの花を見る表情も、その後のパニックになった表情も実に素晴らしい。

 メイキングもついていて、メイクの話、ほかのフランケンシュタイン作品などの紹介もあり、この悲劇的なモンスターがなんだかゴジラを思わせる変貌をしてていったんだなあ…としみじみするのでした。