虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

我輩はカモである (1933/アメリカ)

2005年06月06日 | 映画感想わ行
DUCK SOUP
監督: レオ・マッケリー 
出演: グルーチョ・マルクス 
    チコ・マルクス
   ハーポ・マルクス 
   ゼッポ・マルクス 
   マーガレット・デュモント
   ルイス・カルハーン 
 フリードニア共和国は財政難に陥り富豪のディスデル夫人の援助なしには。彼女はファイアフライ(グルーチョ)が宰相になるのを条件に援助を承諾。隣国の指導者トレンティノ(L・カルハーン)はフリードニア乗っ取りを企み、チコリニ(チコ)とピンキィ(ハーポ)のスパイ・コンビを送り込む。

 傑作だと思う。但し、私にとっては面白さよりは映画史的な意味で。
 面白いんだけど、これはこの映画以前にパロディを見すぎて、ほとんどのシーンにデジャヴが感じられるという困った作品。それだけ偉大な作品の証明と言えるのだが。「あれはこれだったのか!」と発見納得しちゃう箇所が多くて、作品自体を楽しもうと頭を切り替えられたのは3回目くらいでようやくだった。
 そもそもが、マルクス兄弟の笑いは今ひとつ思い切って笑えない。一番初めに見たのが「二挺拳銃」だったのだが、オープニングすぐのギャグのブラックさに引きつり、そのままほとんど引きつり笑いで最後まで。素敵な歌と音楽が入る映画が多く、そこはすごく好きだし、チコとハーポの動きの素晴らしさや、グルーチョの人類の(と言うほどキツイ…英語がそれほどわかってないけど、そう思う)悪意と愚かさをギャグにして笑いのめす腕前には呆然と感心しても、やはり顔が引きつる。私のアイドルは生真面目なキートンなのだ。
 それでもやっぱりこのアナーキーさ、シュールさには、自分が笑うかは別にして今の感覚で見て敬服してしまう。
 映画として安心してみていられるのは「オペラは踊る」なのだが、これはどうしても傑作に数えずにいられない、アナーキーでナンセンスに満ちた引きつり笑いの映画。