虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

フライト・オブ・フェニックス(2004/米)

2005年04月13日 | 映画感想は行
THE FLIGHT OF THE PHOENIX
監督: ジョン・ムーア
出演: デニス・クエイド タイリース・ギブソン ジョヴァンニ・リビシ ミランダ・オットー トニー・カラン ヒュー・ローリー

 モンゴルでの油田試掘に失敗して撤退しようとする人員を乗せた飛行機が砂漠のど真ん中に不時着。少ない食料と水、焼けるような暑さの中で捜索を待つが、希望は少ない。そんな時、妙なめぐりあわせで乗り合わせたエリオットが、無事な部品から新しい飛行機を作って脱出するという提案をする。
 ロバートアルドリッチ監督の1965年製作の映画のリメイク。

 リメイクとしては及第点かな、でも元の映画はよかったな、とやはり思ってしまった。
 私はロバート・アルドリッチの大ファンなので、これをオリジナルと比べないのは絶対無理ですので、ちょっとおことわりします。

 オリジナルも息詰まるサスペンスではあるけれど、フェニックス号の造形とか、明らかに作り手の遊び心も入った映画だと思うのです。これは、そういう遊びみたいな感覚は薄いんだけど、軽い。
 これは役者のせいもあるのでしょう。元作品のキャストは
ジェームズ・スチュワート、リチャード・アッテンボロー、ハーディ・クリューガー、アーネスト・ボーグナイン、ピーター・フィンチ。それにジョージ・ケネディもいるし、オスカーにノミネートされたイアン・パネンとか、豪華。
 今回の技師役のジョヴァンニ・リビシは明らかにクリューガーをなぞってる。でもやっぱり軽いけど。

 この映画はあまりビッグネームの役者無しで、あくまでストーリーとサスペンス中心で進めて、それなりにドキドキしたし、楽しめたけれど、やはりオリジナルにはかなわない。
 両方とも死ぬべきでない人間の理不尽な死が描かれるけれど、その重みがかなり違う。オリジナルでは、誰もが好感を抱かずにはいられない、物静かで心温かく冷静が医師が、またもう一人厳しそうだけれど、清廉そうな軍人が実にその勇気あるために無残な死を遂げる。臆病男は生還する。やはりアルドリッチなのである。
 完璧でないリーダーのスチュワートのここぞで見せるプロ魂!は今思い出してもぐっと来る。飛行成功から人を喰ったようなラストシーンもさすがの一言。
 だからね、最後にジワ~ンと残るものがオリジナルに比べて格段に…でもアルドリッチ監督はラストのスッキリ感にかけては達人だもんね…

 メンバーの一人が女性である必要はやっぱりないと思うし、周囲もちょっと女性を意識しなさ過ぎにも見えるし、ラストの写真はどう考えても要らなかった気がする。

 オープニングの音楽がカントリーは好き。それにCGは今風に派手でした。でもあそこまで使わなくても、とも思った。