虫干し映画MEMO

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ぼくセザール 10歳半 1m39cm (2003/仏)

2005年04月02日 | 映画感想は行
MOI CESAR, 10 ANS 1/2, 1M39
監督: リシャール・ベリ 
出演: ジュール・シトリュク ジョセフィーヌ・ベリ マボ・クヤテ アンナ・カリーナ

 10歳半、1m39cm、甘いもの好き、ちょっとぽっちゃりのセザールは学校では目だたない存在で、転校してきた美少女のサラに恋をしている。でも、親友でかっこよくて出来のいいモルガンと自分との差を感じてばかり。そんなある日、事業がうまくいかなくなった父親が怪しげな男と「旅行に行く」と言って家を出てしまい、セザールは父親が刑務所に入ったのではないかと思う。

 10歳半の時って、どうだったっけ?「僕」の視線で語られる物語や映像を、やっぱり大人の視点で見ている自分に気付く。
 ちょっとほろ苦くて懐かしい、とても気持ちのいい映画だった。電車の中や人込みの中の、囲まれてる感じのシーンはほんとに納得しちゃうし、高いところへ上がっても、広く俯瞰するとかいうシーンがなくて、「子どもの頃の視野って、こんなものだったのかな?」という一種の驚きもあった。大人になるって、それまでに捨ててるもの多いんですね。
 目立ちすぎない、でも適度に目立ちたいセザールも、映画の中の親子関係も、なんだかフランスというよりは、ご近所みたいに感じる。やっぱり個人主義の国でもこういうのが人間なんだろうか。
 さすがフランス映画、あの傘のシーンなんて素敵だった。

 子どもたちが、成長の段階での自分で世界を広げていく冒険と軽やかなイニシエーションを経験するのだけれど、まだきちんと子どもの世界にいられるのが見ていてほっとする。お父さんお母さんたちが、ちょっと変わり者でも本当にまっとうな大人の役をしていてくれるので、子どもが子どもとしての成長を伸び伸び出来る。刑務所事件の反応も、おかしかったけど、みんなの善意にじんときます。
 グロリア役アンナ・カリーナには、やっぱり目をむいちゃったけど、キュートだったし、ちょっと今までの世界とははずれた大人を用意してくれているのも嬉しい展開。
 子役3人がまさにぴったりです。セザール・モルガンの少年ぽい可愛さとかっこよさ。特にサラ役の女の子の、きれいで、しかも大人と子どもの間の危ういコケティッシュでセザールが振り回されるところほんとにドキドキするほど魅力的でした。

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