虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

黄金 (1948/米)

2004年05月08日 | 映画感想あ行
監督:ジョン・ヒューストン
出演:ハンフリー・ボガート ウォルター・ヒューストン ティム・ホルト
映画史上に残る名作。

大スター・ボガートが初めから好意もてないヤツとして登場。
食い詰めた浮浪者一歩手前が何とか一発逆転を狙って、二人の仲間と金探しに出る。
前半では、彼の窮状と、荒野をさすらう哀れにおかしい様子が描かれる。
後半では砂金が集まりだして、ボガートのドブズがどんどん猜疑心の塊になっていく、表情がさすがにボガートです。
仲間に命を救われているのに、周りが全部敵に見えてくる。
それであの有名な結末。自業自得とはいえ、かわいそうなヤツ。
ウォルター・ヒューストンの、あれがホントの哄笑というものなんでしょうね。

前半と後半は雰囲気が違います。欲に狂わされていく、人間の思いっきりどろどろな部分を描いている映画なのに、なんとも楽しかったりしてさすがはヒューストン。
荒地を行くシーン。根っからの鉱山師とでも言うべき老人がバリバリ進んでいくのに中年と若者がへたばりきっている。
音楽がまた軽快で楽しげで、それがへたばりメンバーにかぶさるとからかうように重くなって、くすくす笑ってしまった。

movie diary 黄金

ニュージーズ(1992/米)

2004年05月08日 | 映画感想な行
クリスチャン・ベール主演なのでBS2の夜の放送をつい、見てしまいましたが。

監督: ケニー・オルテガ
出演: クリスチャン・ベール ビル・プルマン アン・マーグレット

19世紀末、ニューヨークで新聞の配達をするのは、“ニュージーズ”と呼ばれ、主に孤児や家出した少年たちだった。新聞卸値を上げようとする大新聞王と彼らの戦いの実話を元にしたミュージカル。

クリスチャン・ベール確かに主役らしい輝きはなくもないけど、
それにこれを言ってはおしまいだけど
「リベリオン」のカッコよさには負ける。
拳骨ダンスみたいな群舞はそれなりに面白かったけど
ミュージカルにするまでの事かな?
だったらもっとバッサバッサと枝葉切り落として
どかどかしたダンスの強烈さが焼きつくような映画にしても…
え~ん、文句ばっかりですいません~

大いなる幻影(1937/仏)

2004年05月08日 | 映画感想あ行
20世紀は戦争の世紀だと言う。
この映画の戦争は後の映画で描かれるそれに比べ、どこか長閑でそれだけに物悲しい。

監督:ジャン・ルノアール
出演:ジャン・ギャバン ピエール・フレネー エリッヒ・フォン・シュトロハイム マルセル・ダリオ

第1次対戦中、フランス軍のボアルデュ大尉とマルシャル中尉の軍用機が撃墜された。二人は捕虜となり収容所に送られる。何度か脱走を試みた二人は堅固な城を利用した収容所に送られることになる。

これも一つのストーリーを突き詰めていくより、エピソードの集積のほうが心に残る映画だった。
トンネル掘り、脱走暦の多い札付きを堅固な収容所に集めるなんてほとんど「大脱走」。
それに兵隊同士の感情のぶつかり合いが見ていてきつくない。
独房に入れられ、光と人を求めて狂いそうになるフランス兵にハーモニカを渡すドイツの老兵。
騎士時代の終焉を知る仏独それぞれの貴族将校。お互いが真の理解者であることがわかっても運命は残酷である。
収容所を脱走した先に逃げ込む農家の主婦は肉親のほとんどを戦争で失っている。そして敵国の脱走兵に愛情をもってしまう。
脱走兵たちが去ったあとの食卓の広さは切ない。また帰るかどうかわからない人を待つ生活が続く…
戦争がなければおそらく出会うこともなかった。
主人公が最後までいっしょに逃げることになるのが、ある意味でどこの国の人間でもないユダヤ人というのは意味深長。
国境で区切られた国同士の戦争で、知らない人間同士が殺し合い、しかしこの映画では、国境の存在が彼らを救う。
収容所内の高らかな「ラ・マルセイエーズ」は私には「チボー家」の開戦のシーンを思い起こさせ、ため息が出た。

脱走シーンでは画面がともかく暗くて、暗闇に影が動くような感じで見えていた。
それだけに、ボアルデュ大尉が光に浮かび上がるところは効果的だったのだが、小さな画面で見るのはかなりつらい映画だった。