虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

釈迦 (1961/大映)

2004年05月07日 | 映画感想さ行
大映歴史大作も、お釈迦様まで来ました。
これは雷蔵が出ているせいか、ビデオ屋さんでは割にポピュラーです。

監督: 三隅研次
出演; 本郷功次郎(釈迦) チェリト・ソリス(ヤソーダラー)
アショカ王…中村雁治朗 月丘夢路さんが悪女のお妃
クナラ王子…市川雷蔵 山本富士子さんがその婚約者
アジャセ…川口浩 イダイケ夫人…杉村春子
アーナンダ…小林勝彦  ダイバ・ダッタ…勝新
他に千田是也、滝沢修、山田五十鈴(鬼子母神ですよお)、北林谷栄、
…とまあ、むちゃくちゃな豪華キャスト。着物の市田ひろみさんまでいる!

豪華大作だったんだなあ…だけど、やっぱり怪作・迷作に入っちゃうんじゃないかなあ。

映画の雰囲気が、お釈迦様的雰囲気というより、
弾圧されたり、信仰棄てないと殺すぞと、棄教を迫られたり
「クオ・バディス」見てるみたいだった。
大屋台崩し見せ場の迫力が少ない。
なんと死んじゃったけど、ヤソーダラーも出家したんじゃないんですか?
(そばで「スジャータが年増だ」とか不満を言っているのもいた)
市川雷蔵と山本富士子はほとんど「お里・沢市」状態だし、
川口浩は相変わらず軽々しいし、
勝新の蜘蛛の糸はいくらなんでも~と思う。
ビンビサーラ王は押し出し立派でカッコよかったけど。

お釈迦様、悟りを開いてからは別格になっちゃったせいか
影と声だけになっちゃいます。
慣れ親しんだ「最後まで人として徳を積もうとしていたお釈迦様」イメージと合わない。それに何でも備わっているのに、人として生きることを突き詰めないではいられない王子なら、「リトル・ブッダ」のキアヌ・リーブスくらいルックスを決めて欲しい…なんちゃって。

三隅研次監督、「孫市」のほうが溌剌してて好きです~

大佛開眼 (1952/大映)

2004年05月07日 | 映画感想た行
大映の歴史大作なら長谷川一夫だろうなあ、
と思うんだけど、ビデオ屋さんにろくに置いてない。
「日蓮と蒙古大襲来」(1958)なんて、
まあ時宗さんすっかりこけにされちゃって
お気の毒、なんて思いながら昔テレビで見ましたが。

で、未見作品ではやっとこれがあったので見てみました。
監督:衣笠貞之助 (助監督 三隅研次)
出演:長谷川一夫 京マチ子 大河内伝次郎 小沢栄 水戸光子
長谷川一夫の仏師を中心に、さまざまな苦難、政治的な妨害を乗り越えて奈良の大仏が出来上がるまでを描く。しかし、開眼の時には主人公は死んでしまうし、その恋人も悲しみに狂って後を追う。

あまり見ていて面白い映画でもなかったんですが(すいません)
女優さんたちには惚れ惚れしました。
京マチ子さんは、その辺の庶民の娘、みたいな感じなんでしょうか、あっさりした、いかにも健康的でコケティッシュで開放的な、身体を強調する衣装で、こういう路線の人だったんだなあ、としみじみ。今で言うなら小池栄子さん?で、もう少し品がいい。
それに相変わらず水戸光子さん素敵~!完全な悪役橘奈良麻呂のために呪詛をする役ですが、彼女ならではの美しさ・妖しさ。
この時代にカタカナ使っていいのか?という突っ込みは専門家に任せて、
小沢栄(栄太郎)の造仏長官・公麻呂のセムシ姿はいつも一歩引いたような表情がなんともいえず、うまかった。