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マダムnihaoのフレッシュ搾りたてブログ。お気軽にお立ち寄りください。

春の憂鬱

2008-04-11 11:59:45 | Weblog
四月は残酷極まる月だ   
リラの花を死んだ土から生み出し
追憶に欲情をかきまぜたり
春の雨で鈍重な草根をふるい起すのだ。(西脇順三郎訳)

 これは、T・Sエリオットの『荒れ地』という長編詩の冒頭部分です。
近年、私は四月になると『春の憂鬱』症に襲われてそこはかとない不安感に陥ります。そしてこの詩を思い出します。
草木が萌え、光と希望に満ちた四月という月がなぜ残酷な月なのか?
我が家の庭の鈍重な地下茎たちも、もぞもぞと動き始めている気配です。

 私だけではなく私の友人たちの何人かも、重症の『春の憂鬱』のまっただ中です。
エリオットなど持ち出して、状況を深淵化しても仕方ありません。
あちこちで眠っていた新しい命の誕生の波動が強すぎて、当方にわずかに残っている精力までも全部吸い上げられて......死に損ないのごとく無気力になってしまうのですが、おそらく単なる更年期鬱でしょう。
この鬱は、遠くの森から郭公がやかましく鳴き出す新緑の頃に治まります。

 さて少しでも春の憂鬱を振り払おうと、M嬢と『千手観音MyDream~中国障害者芸術団』を見てきました。
この舞台は凄い人気で、発売日にM嬢が頑張って並んだにも関わらず、2階左端の最悪の座席しか取れませんでした。

                

 『千手観音』は、聴覚障害を持った10代~30代の男女21名の舞踊によるパフォーマンスです。
音楽がまったく聞こえないにも関わらず、流れる空気や後ろの人に吹きかけられる息の振動を感じながら、一糸乱れぬ体と手の動きで観音様を表現します。
この演技を、斜め方向の座席から眺めてもひとつも面白しさは伝わりませんが、正面の大型映像画面が用意されておりました。
確かに前評判通りの美しくすばらしいパフォーマンスで、『夢を持ち強く生きる』ことへの力強いメッセージを感じました。
その他にも、視覚障害者や身体障害者の方々によるダンス・オペラ・京劇・ピアノ・中国伝統楽器の演奏などがありましたが、いずれも肩の凝らない大衆的なエンターテインメントでした。

 障害者芸術団の日本公演の日程を調べてみたら、37日間の滞在中に、なんと全国で34回もの公演を実施していました。
稼がされすぎで疲れてはいないのだろうかと心配になりました。
そして当市が日本公演の最後の地、皆さんお疲れさまでした!
公演終了後、心優しき我が県民たちは皆立ち上がって盛大な拍手と声援を送り続けました。

 民間外交では友好的になれる日中関係。
 政府間外交でもよろしく!.......とお願いしたい。