黄色いリボンはセウォル号の象徴だ。惨事初期には行方不明者の無事の生還を祈る気持ちが込められた。そして時間が経つにつれ真相究明に対する意志と「忘れない」という誓いが加えられた。

2024-04-17 17:06:51 | 日朝韓友好親善のため

「記憶の力」信じる子どもたち…

「私たちがセウォル号のリボンをつける理由」

登録:2024-04-16 10:48 修正:2024-04-16 11:08
 
 
京安高校2年生のユ・スヒョンさんが9日、京畿道安山市檀園区にある京安高校の前で「4月の君たちを忘れない、今の君たちが幸せであるように」と書かれたセウォル号追悼の横断幕を眺めている=イ・ジュンヒ記者//ハンギョレ新聞社

 黄色いリボンはセウォル号の象徴だ。惨事初期には行方不明者の無事の生還を祈る気持ちが込められた。そして時間が経つにつれ真相究明に対する意志と「忘れない」という誓いが加えられた。惨事から10年。街にはいまもリボンを身につけている人たちがいる。彼らにとって黄色いリボンはどのような意味を持つのだろうか。ハンギョレは檀園高校のある安山(アンサン)地域の各所で黄色いリボンをつけている10代の生徒たちに会った。

■「二度とあのような惨事が起きないように」

 生徒たちにとって黄色いリボンの意味は明確だった。二度とこのようなことがあってはならないという願いだ。檀園中学3年生のユ・ジミンさん(15)は昨年5月、クラスメイトが持っていた黄色いリボンをもらってカバンにつけた。「小学生の時、ユーチューブでお姉さん、お兄さんたち(犠牲になった檀園高の生徒ら)が最後に残したメッセージを見ました。お父さんお母さんに『大好き』『修学旅行に行く前に喧嘩したこと、ごめん』って。今まで見た中で一番悲しい話でした」。中学の3年間、ずっと黄色いリボンをつけていたという中央中学3年生のキム・イェジュン君(15)は「このようなことが二度とないように願ってリボンをつけた」と話した。

 彼らは記憶の力を信じていた。京安高校2年生のユ・スヒョンさん(17)のかばんには、小学生の時から黄色いリボンがついている。惨事当時の檀園高の生徒たちと同じ年齢になったユさんは「リボンをつけていれば人々はずっと忘れないだろうし、多くの人が一緒に覚えていればあんなことはもう起きないと思ってリボンをつけた」と語った。

 
檀園中学3年生のユ・ジミンさんのカバンにつけられた黄色いリボンのバッジ=イ・ジュンヒ記者//ハンギョレ新聞社
 
古桟小6年生のキム・サランさんのカバンにつけられた黄色いリボンのバッジ=イ・ジュンヒ記者//ハンギョレ新聞社

■ 追悼、治癒、そして誓い

 リボンをつけた生徒たちの中には、惨事当時の記憶が全くない小学生もいた。檀園高の前で会った古桟小6年生のキム・サランさん(12)は、「去年の2学期の頃、友達と一緒にお姉さん、お兄さんたちに手紙を書きたくて4・16記憶教室に行ったら、そこでリボンをくれたのでつけた。人々に(セウォル号を)覚えていてほしい」と話した。

 リボンをつける行為を通じて治癒を得る人もいた。安山で生まれ育った安山デザイン文化高校2年生のチャン・ヨンハクさん(17)は「ニュースでセウォル号が沈没する様子を見て大きなショックを受けた。その後しばらくは船を見るたびに体が震えたが、リボンをつけて追悼することで恐怖が消えた」と語った。チャンさんは、リボンを通じて新たな誓いを立てる。「音楽の先生になるという進路を決めたんですが、リボンを見るたびに、のちに教師になって修学旅行を引率するときにはさらに安全に気を付けなければ、と思います」

 
檀園高校2年生のイ・ユンジさん(左)と友達のイ・テヒさん=イ・ジュンヒ記者//ハンギョレ新聞社
 
檀園高校2年生のイ・ユンジさんのかばんにつけられたセウォル号の黄色いリボンのバッジ=イ・ジュンヒ記者//ハンギョレ新聞社

■ 「私たちは記憶し続ける」

 残酷な惨事を忘れたいという気持ちはないのだろうか。「檀園高といえばセウォル号を思い浮かべるのは嫌じゃないか」と尋ねたところ、檀園高校2年生のイ・ユンジさん(17)は首を横に振った。「私はむしろもっと積極的にセウォル号のことを話します。ずっと覚えていたいし、人にも忘れないでいてほしいから」

 黄色いリボンをつけた生徒たちは「10年ならもう忘れてもいいのでは」という大人たちの言葉に強い拒否感を示した。亡くなった人たちを追悼し、二度とこのようなことが起きないよう願うのは、彼らにはあまりにも当然のことだった。イさんは力を込めて言った。「大人たちの中には、もう忘れろと言う人もいます。でもそう言われるほど、もっと強くセウォル号を思い出すでしょう。お姉さん、お兄さんたちへの申し訳ない気持ちだけじゃなく、覚えていてこそもうあのようなことが起きないだろうから」

文・写真/イ・ジュンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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