尹大統領は談話の最後に医療界に向かって「より妥当で合理的な案を持ってくるならば、いくらでも協議できる」とし、「政府政策はより良い方向に変更可能だ」と対話を呼びかけた。

2024-04-02 22:25:48 | しらなかった
 

「医師カルテル」批判した尹大統領、対話の余地残した大統領室

登録:2024-04-02 06:08 修正:2024-04-02 07:10
 
大統領室、談話後「協議で変更可能」と強調 
総選挙を控え、初めて「妥協」の態度を示したが 
医師たちは談話に反発…「ツートラック」の効果は不透明
 
 
1日午前、ソウル駅の待合室で市民が医学部増員をはじめ医療改革に関する尹錫悦大統領の国民向け談話を聞いている/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が1日に発表した国民向け談話は、医学部定員を2千人に拡大しなければならない理由の説明と、2千人増員に反発して医療現場を離れた医療スタッフに対する激しい批判がほとんどを占めた。さらに尹大統領は、「より妥当で合理的な案を持ってくれば、いくらでも協議できる」、「統一された案を提示せよ」とし、ボールを医師たちに渡した。40日以上にわたる政府と医療界の対立の中で、日増しに高まる医療空白への懸念に対する具体的な解決策は示さなかった。

 尹大統領は同日、A4用紙25枚分の談話で、約半分を医学部の定員を2千人拡大した根拠と、その過程で行われた医師団体とのやり取り、フランスやイギリス、ドイツ、日本など外国の事例などを説明するのに費やした。

 特に尹大統領は、大韓医師協会などの医師団体と2022年5月の政権発足から最近まで37回にわたり医師増案について議論してきたとし、議論の日付と内容を一つ残らず取り上げた。「聞く耳を持たない」というイメージを払拭しようとしたのだ。尹大統領はこれを根拠に「2千人という数字はきちんと算出されたもの」、「政府が確実な根拠を持って十分議論を重ねてきた」と強調するとともに、医療界に対しては「数十回の議論をしておきながら、根拠もなく違法な集団行動に出ている」と述べた。長期の医療空白事態の責任が医療界の非協力にあることを浮き彫りにしたわけだ。

 しかし、尹大統領は40日以上にわたる政府と医療界の対立によって生じた医療空白を埋める対策は示さなかった。「東亜日報」がこの日公開したリサーチアンドリサーチの携帯電話無作為番号法(RDD)に基づく世論調査(3月28~29日)によると、政府の医療空白対応について「間違っている」という回答が57.5%、「よくやっている」という回答が35.8%だった。「仲裁案を設ける必要がある」という回答も57.2%で、「2千人増員の政府案を維持すべき」という回答(28.5%)の2倍だった。国民が望む対策は談話に含まれていなかったということだ。

 尹大統領は集団行動で現場を離れた医師らを強く非難した。尹大統領は「今になって根拠もなく350人、500人、1千人など色々な数字を掲げている」などの表現を通じて、医師らを事実上「根拠もなく力の論理だけに頼る集団」と非難した。さらに「集団行動に出るなら、増員に反対しながらではなく、私が(医療改革と医療支援など)約束を守らなかった時にしてほしい」とも述べた。また「歴代政権が(医師たちと)9回戦って9回すべて負け、医師たちの職域カルテルはますます強固になった」とし、「医師カルテル」にも言及した。

 尹大統領は、「政治的な損得について分かっているつもりだ。それが分からないから、改革を進めているわけではない」とし、建設現場の「建暴(建設現場の労働組合を暴力団に喩えたもの)」の撲滅▽韓日関係の改善▽脱原発政策の廃棄政策などを「国民に必ず必要ならば果敢に実践」した事例に挙げた。

 それと共に、尹大統領は談話の最後に医療界に向かって「より妥当で合理的な案を持ってくるならば、いくらでも協議できる」とし、「政府政策はより良い方向に変更可能だ」と対話を呼びかけた。

 この日、大統領室は尹大統領の談話が終わった後、一斉に談話の核心は「2千人の固守」ではなく「議論を通じて変更可能」ということだと強調した。ソン・テユン大統領室政策室長は同日午後の「韓国放送」(KBS)とのインタビューで「2千人という数字が絶対的なものという立場ではない。弾力的かつ前向きに医学部の増員問題を検討できる」とし、「政府は2千人の数字に埋没せず、医学部の増員規模を含めてより良い意見や合理的な意見が提示されれば、政府政策をより良い方向に変えることができる」と述べた。ある大統領室関係者は「談話のテーマは2千人増員方針の固守ではなく、対話するということにある」と話した。

 大統領室が増員問題で妥協が可能だという態度を示したのは今回が初めてだ。4月10日の総選挙を控えて政府が態度を軟化する過程で、尹大統領は「原則」と「当為」を守る姿を維持しながら、参謀たちは妥協が可能だという態度を取り、いわゆる「ツートラック」戦略を取ったのではないかともとれる部分だ。だが、医師たちは「強硬基調」に重きを置いた尹大統領の談話に否定的であり、政府と医療界の対話局面がすぐに開かれるかは不透明だ。

イ・スンジュン、チャン・ナレ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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