「ウィズコロナ」以降、主要国のうち韓国だけが「致命率逆戻り」
高齢者層のブレイクスルー感染と病床不足が原因
英国とドイツは日常回復後に減少
世界の主要国は新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を始めた後、防疫を緩和するいわゆる「ウィズコロナ」を始めてからは「致命率」が下落したが、韓国だけが上昇傾向にあることが分かった。韓国政府が準備不足の状態で「段階的な日常回復」に踏み切ったことが、致命率の「逆戻り」につながったものとみられる。
国際統計サイト「アワー・ワールド・イン・データ」が米ジョンズ・ホプキンス大学の新型コロナ関連データを分析した結果によると、今月1日現在の韓国の「新型コロナ致命率」(11月21日以前の1週間の新規感染者に比べた12月1日以前の1週間の死亡者数)は1.46%で、主要国(米国、日本、ドイツ、英国、シンガポール)のうち最も高かった。1日は韓国が段階的な日常回復を始めてちょうど1カ月を迎える日だった。同日、英国の致命率は0.3%で、韓国の5分の1の水準だった。シンガポール(0.32%)やドイツ(0.6%)、日本(0.94%)も韓国を大きく下回っており、ワクチン接種率が停滞しデルタ株の感染が拡大している米国も致命率が0.96%で、韓国より低かった。世界の平均致命率も1.31%で、韓国より低かった。
特にほかの諸国は韓国より先に防疫を緩和して「ウィズコロナ」を始めたが、急激な致命率上昇はみられなかった。昨年冬に致命率が3%を上回るほど状況が悪化した英国は、7月19日に防疫緩和を宣言したが、その後は0.3~0.4%の致命率を維持している。新型コロナ防疫の模範国とされるシンガポールは、8月10日に防疫緩和を始めて以来、一時的に致命率が1.5%にまで上昇したが、1週間で安定を取り戻してからは0.4%前後の致命率を維持している。
昨年冬に致命率が5%前後まで上昇したドイツも、8月末にワクチン接種(Geimpft)、感染後に完治(Genesen)、PCR検査陰性(Getestet)のいわゆる3G防疫を掲げ、積極的な防疫・医療対策を実施した結果、1%未満の致命率を維持している。11月の防疫緩和を控え、致命率が2%を超えるなど一時は危機を迎えた日本も、最近は新規感染者はもとより、死者も激減し、落ち着きを取り戻している。専門家らはこのように世界的な致命率の減少現象について、「昨年のコロナ禍以降、大きな危機に直面した国々も、時間が経つにつれて医療体制が整いつつある」と評価した。
致命率は新型コロナに対応する各国の保健医療体制と防疫の水準を端的に示す重要な指標だ。匿名を求めたある疫学専門家は「致命率は結局、国が患者の命をどれほどよく守ったのかを示す指標」だとし、「病床待機患者や不足する病床などは政府が細かく公開しないこともあるが、命を落とした患者を隠すことはできないため、致命率は感染病対応の実態を正確にみせてくれる」と説明した。
韓国は10月初めまでも致命率が0.5%を下回り、世界でも致命率の低い国に分類されていた。しかし、10月15日頃の0.57%の致命率から、段階的な日常回復を始めた翌日の11月2日頃の致命率1%を超えるまで高まった。現在は、1.5%前後を推移している。
韓国の新型コロナ致命率が高まった理由としては、感染リスクの高い「高齢者層のブレイクスルー感染の増加」と「病床不足」が挙げられる。デルタ株の出現とワクチン接種後、時間が経ち、新型コロナに脆弱な高齢者層の間でブレイクスルー感染が増えたが、彼らが適時に治療を受けられず、命を落とすケースが増えたことが致命率の増加につながったという説明だ。統計を見ても介護施設で集団感染が相次いだ10月初めと中旬に致命率が一段階高くなり、段階的な日常回復を始めた後、首都圏を中心に病床不足が言及された11月中旬ごろ、致命率がもう一度高くなったことが確認できる。
ソウル大学のキム・ユン教授(医療管理学)は6日、本紙のインタビューで「世界的にも致命率が上昇する国がないのに、韓国だけが上昇しているのは、結局、準備ができていない状況で日常回復を推し進めた結果だ」とし、「年齢効果を補正した11月の致命率は1.01%に達するが、これは5月(0.44%)の2.5倍多い水準で、ワクチン接種前よりも高い」と指摘した。
さらに大きな問題は、高まった致命率を下げる政府の対策が見当たらないという点だ。同日0時基準で、病床不足で待機している患者は全国で計1012人。首都圏の病床待機患者982人のうち、4日以上待っている人も309人だ。首都圏の病床待機者のうち547人(55.7%)は70歳以上の高齢患者だという。先月第4週(21~27日)にはこうして病床が空くのを待っているうちに死亡した患者が10人にのぼる。直前の週(14~20日)に3人が死亡したのと比べて3倍増えた。
キム教授は「政府が特別防疫対策を実施したが、オミクロン株の出現と季節の影響などを考慮すれば、今後2~3週間は高齢者層の重症患者が減らず、死亡者数も減る可能性はない」とし、「今からでも患者を治療する病床と医療スタッフを確保し致命率を下げなければ、4週間の非常計画は来年春まで続くかもしれない」と述べた。
嘉泉大学医学部のチョン・ジェフン教授(予防医学)も「4週間の特別防疫対策期間が終わった後、段階的な日常回復を履行するためには、高危険群に対するワクチンの追加接種を積極的に進め、病床など医療の対応力を高める努力を続けなければならない」と述べた。