「死のイベント」が開かれた…
「人身御供」の上に築かれた新羅の権力
「1500年前に打ち首になった百済聖王の死が思い出されました」
7日昼、新羅千年の王城である慶州市(キョンジュシ)の月城(ウォルソン)の発掘現場を視察しながら、調査団の総責任者であるキム・ソンベ国立慶州文化財研究所長はこのような感想を述べた。研究所はこの日、驚くべきニュースを発表したところだった。月城の西城壁と城壁につながる旧西門跡付近の断面の発掘調査中に、内部の底層から2017年に続き再び人骨が発掘され、城壁を築いた当時の新羅人による人身御供の犠牲者と判明したという内容だった。キム所長はこのニュースを聞いて、「月城の建物跡のどこかに埋められているかもしれない聖王の首を思い浮かべた」と語った。
月城城壁から出てきた人骨と百済聖王の首は、一体どのような関係があるのだろうか。『三国史記』には554年、新羅軍が占領した管山城(忠北沃川)を奪うために出陣した太子の昌(威徳王)が孤立したという知らせを聞き、聖王が精鋭軍を率いて出向いたところ、待ち伏せいていた新羅軍に捕まり殺害されたという記録だけが伝えられている。しかし、歴史歪曲をめぐり論議になっている『日本書紀』の「欽明紀」には詳しい後日談がある。苦都という新羅のが捕虜の聖王の首を切り、穴に埋めたと伝える一方、他の本の記録には、遺体は百済に返したが、頭は慶州月城の北青階段の下に埋め、王が臣下と政事を論議したその官庁を指して「都堂」と呼ぶという内容があると記したのだ。聖王の斬首により新羅と百済は不倶戴天の敵となる。その背景には、『日本書紀』の内容どおり、王の頭を月城の官庁の地下に埋め、踏まれるようにした屈辱もあるのではなかろうか。しかし、こうした埋葬の意味が単純ではない儀式的かつ宗教的意味を含んでいるということを発掘結果は示している。
城壁の中で人骨が連続して出土したことについて、国内の学界は新羅人の宗教的意識の世界と権力者の考え方の一端を示すものとみている。門の跡や建物、土木構造物の下に、命を犠牲にした人間の生贄を供えることで地神に建造物の安全と繁栄を祈るのは、古代の人類史で広く知られた習俗だった。城壁、特に城壁の門の跡の前で人間を生贄にして祭礼を行うのは、欧州の古代ケルト族社会や中国の先史時代である龍山文化、殷代に盛んに行われた。2017年、月城西城壁の断面を発掘し、その中から50代の男女の骨が出たことで、人身御供の跡と推定する専門家もいたが、墓や集団殺害の跡だという反論もあった。しかし、追加発掘の結果、装身具を身に着けた女性の骨やお酒を注いだような祭礼用土器、肋骨部分だけを切った各種動物の骨まで出てきて、人身御供があったことは事実とみられている。墓特有の施設がなく、人骨が一定の方向軸を形成しながら置かれているという点もそれを裏付けている。さらに、1985年、西門跡の北側を当時慶州古跡発掘調査団が試掘した結果、3柱の人骨を確認し、1990年には国立慶州文化財研究所が23柱の人骨を発掘した事実も再照明され、人身御供の痕跡であることが明らかになった。
興味深いのは、このような習俗が紀元後に国家体制が登場して消えたにもかかわらず、新羅では1千年余りの時差を置いてまだ行われていたという点だ。なぜこのような遅滞現象が現れたのか。研究者らは明確な答えを出せずにいる。人骨の犠牲儀式について、さらに枝を伸ばして解釈してみると、当惑する実情も浮かび上がる。1700年前、新羅の千年王都の徐羅伐(慶州)の月城城壁の前で、聖なる祭典を掲げた死のイベントが行われたという意味であるからだ。新羅の帝王と聖骨・真骨の王族たちは4世紀初め頃、自分たちの住居である都の慶州の月城を囲む巨大な城壁を築く際、城門前の広い門跡で平民とたちを生贄にし、城壁が建つ場所の上で供え物として捧げる祭祀を民が見守る中で行った。人身御供は権力を誇示するために企画した祭典だったのだ。今の基準からすると、身の毛もよだつ惨劇に映るだろうが、当時は神聖な国家行事と見なされ、犠牲者たちも光栄に思っていた可能性が高いというのが研究所や学界の推定だ。発掘された人骨のどこにも抵抗の痕跡がなく、首飾りで装飾され、藁と木材の蓋などで覆った儀式の痕跡が確認される点が根拠に挙げられる。
西城壁の断面発掘現場には、敷葉工法などを用いて焦がした藁の層によって黒く変色した城の基底層の上に、2017年と今年発掘された男女の骨と女性の骨をプリントした紙がそれぞれ置かれていた。出土地点の上方には細長い大きな石が連続して置かれ、その上に石を積み上げた城壁の中心骨組部分が見える。中心骨組の横には土を重ねて城壁の幅を広げた盛土の跡が見つかった。百済の風納土城と並ぶ高さ10メートル以上、幅40メートル以上の壮大な城壁と、その中に敷かれた人骨の跡を見ながら、当時麻立干という王号を使い国力が伸びていた新羅人の頑丈な力と神秘的な内面世界が感じられるようだった。