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8日までに11件、3200万ウォン(約300万円)相当の義援金と物品が寄せられている。法務部は大韓赤十字社と業務協約を結び、市民の寄付した義援金と物品をアフガン貢献者などに渡している。

2021-09-10 16:41:31 | 韓国文化

鎮川のアフガン人、ついに「外の空気」吸えるように

登録:2021-09-10 04:28 修正:2021-09-10 10:31
 
コロナ検査で陰性、隔離解除 
人材開発院で散歩など可能に 
子どもの心理相談、ハングル教育など準備 
「後援問い合わせ、義援金、物品寄付など相次ぐ」
 
 
鎮川郡キリスト教連合会が8日、アフガン人貢献者のための義援金を鎮川郡に手渡している=鎮川郡提供//ハンギョレ新聞社

 奇跡の脱出を経て、忠清北道鎮川(チンチョン)革新都市の国家公務員人材開発院(人材院)に臨時滞在中のアフガニスタン特別貢献者たちは、韓国生活に安定的に適応しつつある。先月26~27日に入国した390人は10日午前0時に隔離が解除され、人材院の中で散歩などをしながら生活することになる。

 彼らを管理する法務部は9日、「7日に行われた新型コロナウイルス診断検査で383人全員が陰性と確認された。入国時に検査で陽性と判定された4人とその家族3人の計7人も治療後に陰性と確認されたため、10日から隔離が解除され正常な生活を送る」と発表した。

 これまで部屋の中だけに留め置かれていた彼らは、10日から隣の部屋、下の階などを訪ねることができるほか、人材院の運動場なども散歩できる。これら390人の貢献者は、8組に分かれて朝8時30分から午後6時までの間に組ごとに1時間程度、散歩などの屋外活動時間を持つ。3~5歳の子ども53人は別途に設置される保育施設で遊んだり、体験などをしたりもできる。

 彼らはこれまで、コロナ拡散が懸念されることから、それぞれ定められた部屋で隔離生活を送ってきた。食事は、忠州(チュンジュ)のある業者の作ったハラール弁当で解決していた。ハラール食品は、動物の頭をメッカに向けてするダビハに従うなど、イスラム法に則って作られなければならない。人材院で彼らを管理する法務部のユ・ボンニョル国籍・統合政策支援団長は「これまではみな部屋の中で過ごしていたため、具体的にどのように1日を過ごしているかは正確には分からないが、うまく過ごしているようだ。ハラール弁当の満足度も高く、生活の不便を訴えることもなかった。ほとんどが安定して生活している」と述べた。

 彼らの隔離が解除されたことから、法務部などは教育・体験などのプログラムを行っていく計画だ。忠清北道教育庁などは幼児(3~5歳)53人、小学生(6~11歳)80人、中学生(12~17歳)57人の計190人を対象とする心理相談とハングル、文化、礼儀教育などを準備している。

 アフガン貢献者のための義援金や物品寄付なども相次いでいる。この日、ある化粧品メーカーは鎮川郡を通じ、150万ウォン(約14万1000円)分の化粧品を寄付した。今月8日には、鎮川中央教会と鎮川郡キリスト教連合会がそれぞれ300万ウォン(約28万2000円)を寄付するなど、義援金や物品の寄付が相次いでいる。

 
 
ソウルの龍山国際高校に在学中のトン・イェウォンさんがアフガンの子どもたちに宛てた手紙=鎮川郡提供//ハンギョレ新聞社
 
 
トン・イェウォンさん(右)が7日、鎮川郡のソン・ギソプ郡守に、他の生徒らと共に用意した服を寄付している=鎮川郡提供//ハンギョレ新聞社

 彼らが滞在する人材院周辺の鎮川地域の農民はブドウ、トマトなどを提供した。ソウルの龍山(ヨンサン)国際高校に在学中のトン・イェウォンさんらは、段ボール箱10箱分の服と英語の手紙をアフガンの子どもたちに贈った。トンさんは手紙に「暖かい所からやって来たので冬服が良い贈り物になると思った。韓国へようこそ」と記した。

 8日までに11件、3200万ウォン(約300万円)相当の義援金と物品が寄せられている。法務部は大韓赤十字社と業務協約を結び、市民の寄付した義援金と物品をアフガン貢献者などに渡している。鎮川郡行政支援課のチョン・ジュンホ主務官は「アフガン貢献者を助けようという問い合わせや義援金、物品などが相次いで寄せられている。国民の愛、応援の中で、彼らには韓国生活に安心して、うまく適応してもらいたい」と述べた。

オ・ユンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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息子の話を切り出すや否や、母親の目からは涙がこぼれ落ちた。海軍に入隊すると言って喜んでいた息子の顔が今でも鮮明に目に浮かぶという。

2021-09-10 08:37:44 | 韓国を知ろう

「軍隊だから仕方ない」となだめた母の後悔…軍いじめで自殺した一等兵

登録:2021-09-09 04:12 修正:2021-09-09 08:57
 
[インタビュー]過酷行為で自殺した海軍のJ一等兵の母親
 
 
    J一等兵が精神科に入院した際に、母親が送った本=J一等兵の母親提供//ハンギョレ新聞社

 「あの子は海軍の制服が大好きでした。請願休暇で出てきた時も、制服を着て写真館で一人で写真を撮ったんですが、それが遺影になってしまって」

 息子の話を切り出すや否や、母親の目からは涙がこぼれ落ちた。海軍に入隊すると言って喜んでいた息子の顔が今でも鮮明に目に浮かぶという。息子のJ一等兵(21)は、海軍の姜邯賛(カン・ガムチャン)艦での勤務中に先輩兵士によるいじめや暴行などに苦しみ、今年6月、休暇中に自宅で自ら命を絶った。絶望的な悲しみにもかかわらず母親は軍を信じたが、軍の捜査は遅々として進まなかった。涙ばかり流しているわけにはいかなかった。母親は現在、軍に対して加害者の処罰、徹底した真相究明、再発防止対策を求める闘いを開始している。

 8日午前にインタビューに応じたJ一等兵の母親は「軍隊は息子をきちんと管理できていなかったし、これに備えるマニュアルもなく、良心も使命感もない」と軍に対する怒りをあらわにした。

 母親は、息子は海軍が特に好きだったと何度も述べた。息子は「どうせ行かなければならない軍隊なら、連れて行かれるよりは自分が志願して行ける海軍に行きたい」と話していたという。J一等兵は海外派兵も夢見ていた。葬儀の後、J一等兵の先輩兵士の1人は母親に「一緒に食事していた時、J一等兵が一緒に海外派兵に行こうと言っていたのを覚えている」とショートメッセージを送ってきたという。

 母親は、息子が助けを求めたにもかかわらず、なぜ適切な措置が取られなかったのかが最も悔しいと語った。J一等兵が先輩兵から暴言やいじめを受けていた時期は、父親を看病するための請願休暇から復帰後の3月9日ごろからだ。J一等兵は当時、二度にわたって母親に電話をかけ、「先輩兵にいじめられている」と涙声で話していたという。J一等兵は同月16日、艦長に先輩兵の暴言などを申告したが、担当職務と乗組員室が変更されただけで、加害兵士たちとの分離措置は取られなかった。J一等兵は職務変更後、別の部隊の同期に「今も先輩が自分の悪口を言っている」とのメッセージも送っている。

 息子は当時、母親に「船にいる人たちはみんな馬鹿だと思う」と言ったという。「息子は『船にいる人たちはみんな馬鹿みたいだ。僕がつらい思いをしているのに何の保護も受けられないし、仕事もまともにできない。僕は尊重されるべき人格なのに』と言っていました。保護できないのではなく、してくれないということなのに、純粋にそれが分からなかったんです。それなのに私は『上司の命令に服すのが軍隊だから仕方ない』と言ってしまったんです」。今も母親は「仕方ない」と言った自分を責め、息子に対して罪の意識を抱いていると語った。

 
 
J一等兵が精神科に入院した際に、本を送ってほしいと頼まれ、母親が送った本=J一等兵の母親提供//ハンギョレ新聞社

 母親は、息子を船から降ろして地上勤務をさせてほしいと海軍に何度も要請したという。地上勤務は、J一等兵が加害者とされる先輩兵と分離される唯一の方法だった。しかし「行政手続きが複雑だ」として、難しいとの回答が返ってきたのみだったという。艦船に事実上放置されたJ一等兵は、自傷行為を試みたり掃除中に気絶したりするなど、心身ともに疲弊していった。J一等兵は今年4月ごろに精神科に入院したが、それすらも「精神科に入院する際には下船が可能」という規定によるものだった。部隊に復帰したいとし言って当初の計画より早い6月に精神科を退院したJ一等兵は「底が見えない」と言って苦しみ、友人に会った翌日に死亡しているのが発見された。「軍隊は息子を何日も放置して病気を悪化させ、ついには死に追いやったんです」

 母親は、軍の捜査過程でさらに大きく傷つけられたと話した。J一等兵がなぜ自ら命を絶ったのか、証拠を探すのは遺族の役目だった。母親はJ一等兵の死亡後1カ月にわたって、普段会っていた友人や別の船に乗っている海軍の同期、副士官などと会い、J一等兵が部隊でいじめを受けていたとする証言を確保した。すべての内容をA4用紙10枚にまとめて海軍に提出した。しかし軍事警察が刑事立件したのは、暴行を働いた先輩兵のうちの1人だけだった。いじめについての捜査は遅々として進んでいない。軍事警察は遺族に対する中間捜査ブリーフィングで「いじめを受けていたという証言は被疑者を特定していないため、捜査は難しい。直接の証拠がない」と述べたという。母親は「中間捜査結果を見たら、私が集めた証言から一歩も前に進んでいない。軍事警察が自ら調査したものは一つもない」と述べた。

 母親は、軍事警察が息子の死を軍隊内のいじめではなく、家庭不和やJ一等兵の心身耗弱のせいにしようとしていると疑う。軍事警察がJ一等兵と親しい友人に対する取り調べで、家庭内に不和がなかったか何度も聞いていたからだ。また、捜査ブリーフィングの終了後、軍事警察は「J一等兵が入隊前にパニック障害などで自傷行為を行ったということを知っていたか」と、先輩兵の過酷行為や指揮官の不適切な措置とは関係のない話をしたという。

 「軍でいじめがあり、そのせいで息子がつらいと言っていたという証言が海軍の同期、友人、遺族からも出ています。ところがこの部分については(軍が)証拠がないと言っているのが一番の問題です」。母親は「軍に属している軍事警察の捜査がきちんと行われるわけがない。軍隊内の事件であっても独立したところが捜査を行うべきです」と述べた。

 姜邯賛艦の将校と幹部は今年7月に清海部隊所属となって派兵されているため、軍の調査は中断している。母親は居ても立ってもいられない。「同じことが二度と繰り返されないようにするためには、徹底した原因究明と責任者の処罰が必要ですが、ゴールデンタイムを逃し続けていると思います」

 母親はまだ車にJ一等兵の海軍の制服を保管している。J一等兵の死亡届もまだ出していない。J一等兵の死の原因を明らかにするための闘いを最後まで続けると誓っているからだ。「どうしてもこの闘いに決着をつけなければなりません。それまでは、できることは全てやるつもりです」

 
 
J一等兵が軍服務の前に取得した資格証。他国の言語を話す人々に英語を教える資格=J一等兵の母親提供//ハンギョレ新聞社

イ・スンウク記者 (お問い合わせ Japan@hani.co.kr )

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