チョ・ソンニョル国家安保戦略研究院諮問研究委員
国家安保戦略研究院のチョ・ソンニョル諮問研究委員が16日午前、ソウル中区のプレスセンターで、バイデン米次期大統領の対北朝鮮政策などを説明している=イ・ジョングン先任記者//ハンギョレ新聞社
国家安保戦略研究院のチョ・ソンニョル諮問研究委員は、外交安保分野の現実と理論に詳しい。同氏は20年にわたり国家安保戦略研究院に勤務し、北朝鮮の核問題、朝鮮半島和平体制、北朝鮮の急変事態、南北の軍備の統制、韓米同盟と在韓米軍、日本の防衛政策、中国の対外戦略など、朝鮮半島問題と国際安保問題を幅広く研究してきた。16日に本紙のクォン・ヒョクチョル論説委員がソウルプレスセンターで同氏にインタビューし、「バイデン時代と我々の対応」について聞いた。このうち対日関係についての部分を中心に抜粋して伝える。
-来年7月の東京五輪は韓日関係にどのように作用するか。
「韓日は東京五輪を活用する方策でも同床異夢だ。両国は東京五輪を誰が主導するかをめぐって認識の違いがある。韓国政府は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が東京を訪問すれば「第2の平昌」効果を享受できる。ハリス米副大統領やキム・ヨジョン党第1副部長の参加も期待するに値する。しかし日本は、韓国ではなく自らが重要な役割を果たすべきだと考えている。最近、日本は、条件なしの日朝首脳会談を提案するなど積極的に出てきている。安倍政権下の日本は、朝鮮半島問題で発言権が全くなかったと思う。米国は韓米日で事前協議体を作ろうとするだろうが、日本は独自に日朝関係を改善し、金正恩委員長やキム・ヨジョン副部長を東京五輪の開会式に招待しようとしている。日本は日朝交渉を通じて、安定的な五輪開催の環境を保障しようとするだろう。もし、東京五輪を前後して北朝鮮が日本列島を横切る弾道ミサイルを発射すれば、日本はかなりのパニック状態に陥る可能性がある。コロナ禍の打撃に安保に対する不安が重なれば、東京五輪の成功は不透明になる。日本は植民地支配の賠償金カードを切って北朝鮮に接近するだろう」
-最近の韓日関係の変化をどう見るか。
「先日のASEANプラス3首脳会談で文在寅(ムン・ジェイン)大統領が日本の菅義偉首相に親密に呼びかけたり、パク・チウォン国情院長が日本を訪問して、文在寅-菅宣言を提案したりしている。ここには様々な布石が敷かれている。日本が韓国の提案を受け入れるなら、最も望ましい。日本がこれを受け入れなかったとしても、韓国は、強制動員被害者問題で起こった韓日対立とバイデン政権が進めようとしている安保協力、経済協力を分離してツートラックで行こうという意図を持っている。もしこれもだめだったとしても、米国が韓日関係の仲裁に乗り出した際には、韓国政府はすでに韓日関係の回復に向けて努力してきているということを伝えることができる。米国が本格的に韓日の仲裁の役割を自任する前に、できることなら韓日自らが対立を解決することがベストだ」
-強制動員被害者問題はどう解決すべきか。
「当面、解決は難しいと思う。争点は韓日併合に対する歴史認識だ。韓国の最高裁判所の判決には、韓日併合が違法であるという前提がある。日本は絶えず、韓国の方が国際法に違反しており、韓日請求権協定ですべてが解決済みと主張する。これは、韓日併合が合法であることを前提としている。我々の立場からすれば、次善の策はツートラックだ。日本が韓国の立場を受け入れ難いなら、それはそれのままにしておき、経済と安保協力を分離するという代案が考えられる。安倍前首相はこれも受け入れられないという立場だった」
-バイデン時代に、北朝鮮の核問題の解決策として6カ国協議が復活する可能性はあるか。
「すぐに4カ国協議、6カ国協議へと進むのは容易ではなさそうだ。2000年代初期の6カ国協議では中国が議長国を務めた。当時、米国はアフガニスタンやイラクでの戦争に力を注いでおり、余力がなかった。中国が作った方式だった6カ国協議には、米国は二度と応じないと思う。同盟を重視するバイデンは、1994年の朝米枠組み合意の際の方式のように韓米日の事前協議体を作ろうとする可能性がある。対北朝鮮交渉で韓米日の緊密な協調を維持しようとするだろう。トランプ政権は同盟関係をそれほど重視しなかったので、韓日対立に対して役割を果たそうとはしなかった。しかしバイデン政権が真っ先に焦点を当てようとするものこそ韓米日の事前協議体だ」
-バイデン政権の対中国政策をどう予想するか。
「中国に対し実質的に圧力を加えうる軍事措置を取る可能性がある。2015年12月に韓日が日本軍「慰安婦」交渉で妥結し、2016年11月には韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)が締結され、2017年3月にはTHAAD(高高度防衛ミサイル)の韓国への配備が行われた。THAADを除く2つはオバマ大統領・バイデン副大統領時代に成立した。THAADはオバマ政権時代に決まり、トランプ政権時代に配備された。現在、韓国のTHAADは環境影響評価中のため、正式配備ではなく臨時配備の状態だ。米国はTHAADを正式に配備するとともに、THAADの性能改良事業を開始する可能性がある。米国は、韓米相互防衛条約や軍事協力を通じて先端兵器を朝鮮半島に配備しうる。米国がTHAADだけでなく中距離弾道ミサイルの韓国配備に言及する可能性もある」
クォン・ヒョクチョル論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )