「即位礼正殿の儀」は、戦前の即位儀礼を定めた登極令(とうきょくれい、1909年・明治42年制定)の「即位礼当日紫宸殿(ししんでん)の儀」の名前を変えたものにすぎません。

2019-10-23 10:37:51 | ローマ法王
2019焦点・論点
「即位の礼」の特徴と問題点
歴史学者・神奈川大学名誉教授 中島 三千男さん
「天孫降臨神話」の具現化が憲法原理にふさわしいのか


 今回の天皇の「即位の礼」の特徴や問題点について、歴史学者の中島三千男・神奈川大学名誉教授にききました。(聞き手 竹腰将弘)

          

(写真)なかじま・みちお 1944年生まれ。歴史学者。神奈川大学元学長。主な著書に『天皇の代替りと国民』(青木書店)、『天皇の「代替わり儀式」と憲法』(日本機関紙出版センター)

 今回の「即位礼」の中心的儀式で、国事行為として行われる「即位礼正殿の儀」は、戦前の即位儀礼を定めた登極令(とうきょくれい、1909年・明治42年制定)の「即位礼当日紫宸殿(ししんでん)の儀」の名前を変えたものにすぎません。

 登極令で定められた即位礼は、即位を天照大神(アマテラスオオミカミ)やその他の神々に奉告(ほうこく=神に告げる)する「即位礼当日賢所(かしこどころ)大前の儀」や「即位礼当日皇霊殿神殿に奉告の儀」と一体の、国家神道の教義である天皇制正統神話にもとづく儀式の一環です。

 この性格は、即位礼正殿の儀の中核的な装置である高御座(たかみくら)に象徴的に現れています。政府は、明仁天皇の即位の際と同じく大正、昭和両天皇が使った高御座を今回も使用します。

 高御座は、ニニギノミコトが高天原(たかまがはら)から日向高千穂の嶺に降臨する際、天照大神から三大神勅や三種の神器を授けられたときの神座を模したものとされています。

 まさに戦前の天皇の位置、主権者、神としての地位を象徴するものであり、その地位の源泉が天皇制正統神話、「天孫降臨神話」にあることを具現化したものです。

 近代以前に行われていた天皇の即位儀礼は私たちが思い描く純神道式のそれとは大きく異なりました。長く行われてきた中国(唐)風や神仏習合的儀式が、明治に入り、国家神道の核心的教義である天皇制正統神話にもとづくものにとってかえられました。

 明治維新にはじまる日本の近代国家は、国民的統合を神権的天皇の押し出しによって成し遂げようとしました。そのために維新直後から神道中心主義をつくり上げ、一世一元制を定め、さらに後には、教育勅語を中心とする教育政策や国家神道体制の確立など、あらゆる機会をとらえて、神権的天皇像を浸透させようとしました。

 登極令によって近代に創られた「代替わり」儀式も、天皇制正統神話を目に見える形で国民と国際社会にむけてパフォーマンスするものでした。

 1945年の日本の敗戦で、明治以降につくられた主権者・統治権者としての神権的・絶対主義的天皇制と、それを支えた天皇制正統神話、国家神道は否定されました。日本国憲法は「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」(第1条)と象徴天皇の存在理由を主権者である国民の総意に求め、戦前とははっきり異なることを示しました。

 そうであるならば、国民主権のもとで最初であった「平成の代替わり」儀式は、戦前とは異なる形で行われるべきでした。

 しかし、現実には、戦前の登極令に規定された30余の儀式がほぼそのままの形で行われ、今回もその前例が踏襲されています。そこでは、宗教的性格が薄いと強弁できる五つの儀式は「国事行為」として行い、それ以外は「皇室行事」と位置付ける「読み替えのトリック」が使われています。

 完全な宗教的儀式である大嘗祭(だいじょうさい)をはじめ、本来なら内廷費から支出すべき皇室行事に「大礼関係の儀式」という概念をかぶせ、公費である宮廷費を使用することは、重大な政教分離原則違反です。

 天皇制正統神話と決別し、憲法原理にふさわしい即位儀礼なのかどうかということについての検証と議論がなされるべきです。

 春からの一連の代替わり儀式で、多くの報道がされています。

 しかし、儀式の内容は歴史的に変化してきており、現在の多くの儀式は近代以降に新しく創られたものです。その目的は神権的天皇像の創出にあり、そうしてつくられた天皇制国家が日本国民とアジア諸国民に大きな不幸をもたらしました。その国家体制は1945年に破滅し、その反省の上に国民主権や政教分離の原則をうたった現憲法ができました。こうした視点を欠く報道は、結果として戦前の天皇制正統神話を再び国民の間に垂れ流すことになっているのでは、との危惧を抱きます。


大橋の意見!

 国民の中で、貴族や華族を廃止して困っている人はいるだろうか?ほとんどいないだろう。皇族も同じようなものでなくしたからと言って国民の日常生活は、何ら変わるところはない。

世界を見ても王様や天皇がいない国の方が多い。いるので困っている国はあるがいなくて困っている国はない。

 天皇は「憲法を守る」と繰り返していた。憲法を破壊しようとする総理の下で「天皇の方がいいことを言う」と聞いておられた方もあっただろう。

 しかし天皇は憲法が守られなければ廃止と言うことだって起こるのだ。だから天皇は、国民に憲法を守っていただいて、いつまでも天皇であり続けたいという思いから憲法順守の立場なのだろう!

 本当に国民の立場に立って9条守れ、在日朝鮮韓国人も含めて教育の無償化せよ!生活困窮者を救済せよ!沖縄基地を無くせ!等の立場ならなお結構だが・・・。いずれにしても天皇の儀式を見て、国民の一人一人がしっかりしなければならない。

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分担金を引き上げても、国防費の増加率以上は認められないということだ。

2019-10-23 08:55:32 | アメリカの対応
防衛費分担金“ハワイ交渉”…項目・総額で綱引き
登録:2019-10-22 20:47 修正:2019-10-23 07:20


韓、既存協定維持…国防費増加率水準の増額提示か 
米、戦略資産展開費用など、新たな項目出し大幅増額を要求


          

22日午前、ソウル市鍾路区のKT光化門支社前で「平和と統一を開く人々」の関係者が在韓米軍防衛費分担協定の廃棄を要求する記者会見をしている//ハンギョレ新聞社

 来年から適用される第11次韓米防衛費分担金特別協定(SMA)締結に向けた両国代表団が22~24日(現地時間)、米国ハワイのホノルルで交渉を行う。両国は、韓国が負担する分担金の「項目」と「総額」をめぐり激しい駆け引きを繰り広げるものとみられる。

 新任のチョン・ウンボ韓米防衛費分担交渉大使は22日、ホノルルに出国する前に仁川国際空港で取材陣と会い、「韓米同盟という枠組みの中で、そして経済的側面で可能な限り負担が合理的に公平に行われるよう努力したい」と述べた。交渉期限に関しては、「基本的に交渉が順調に進めば、年内に決着するのがが良いと思う」と言いながらも「相互が異なる目標を推進する過程で、自然と一定部分は遅延する可能性はある」と述べた。

 同日ホノルルに到着するチョン大使は、ジェームズ・ディハート米国務省防衛費分担交渉代表(政治軍事局先任補佐官)と初めて会い、挨拶を兼ねた非公式の小人数晩餐をした後、直ちに23日からは具体的な協議に入る。

 韓国は、今回の交渉で「人件費(在韓米軍韓国人労働者の賃金)▽軍事建設費(米軍基地内の施設建設)▽軍需支援費(サービスおよび物資支援)」という既存の分担金協定の枠組み維持を主張すると見られる。今回の交渉で韓国政府が受容できる最大の引き上げ幅は「国防費増加率」(2020年の場合、前年比7.4%)水準になるだろうと見られる。今年初めに締結された第10次協定当時の分担金(1兆389億ウォン)も、2019年国防費増加率(8.2%)を反映して策定された。政府は今回の防衛費分担金引き上げ幅と関連して、国防費の増加率をはじめ物価上昇率、国内総生産(GDP)上昇率など種々の指標を策定基準とすることができると見る。だが、現政権の国防費増加率が相当に高い水準という事実を考慮すれば、防衛費分担金の総額決定への来年の国防費増加率適用は政府の「最後防御線」になる可能性が高い。分担金を引き上げても、国防費の増加率以上は認められないということだ。

 米国は、新たな項目を追加して、韓国の分担金を50億ドル(約6兆ウォン)まで大幅に引き上げる必要性を主張するものと見られる。18日、共に民主党のイ・チョルヒ議員は、国会法制司法委員会の国政監査で、米国がこれまで防衛費分担金に含まれなかったり各自が負担してきた、戦略資産展開▽韓米合同演習費▽在韓米軍の家族支援費用などを追加で要求しているとし、その金額が30億ドル(3兆5千億ウォン余り)に達すると主張した。カン・ギョンファ外交部長官は21日、国会外交統一委員会の国政監査で、防衛費分担と関連して「(米国側から)過去と比べると異なる要求がある」とも話した。

 一方、今回の交渉では韓国の防衛費分担金算定方式を変える問題に対する結論が出ないとの観測が多い。昨年から今年初めまで続けられた第10次交渉当時に分担金の算定を現行の「総額」型から具体的所要を問い詰め金額を定める「所要」型に変えなければならないとの問題提起があった。その結果、今年6月にこれを議論するために韓米軍当局の課長級が参加する韓米実務協議体(ワーキンググループ)が作られたが、協議期間が短かかったために深い議論はできなかったという。
ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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