
卒業式の季節です。
今年も昨日ビデオ収録しました。
そんな中、以前から気になっている事が有って使う時になると思い出します。
それは、音声収録用のディジタルレコーダー専用に10年前に自作した電池ボックスです。

エネループ電池(Ni-MH)12本直列接続で14.4Vを2セットをケースに入れて、それを並列接続で容量を稼いでいます。
お陰で10時間の連続録音が出来るのでどんなイベントの録音も電池交換無しで出来るので失敗した事が有りません。
万が一の電池トラブルを想定して、並列接続を解除してセパレートで使える様にスイッチを設けてあります。
これがハイマチュアです。

ところが、この並列接続が厄介なんです。
故障した電池は今までは事前の充電時にエラーになって分かるので、現場での不具合を経験した事はありませんでした。
充電時に全ての電池状態をチェックしてくれる機能はとても助かります。
でも今後も現地で不具合を絶対回避出来る保証は無いです。
勿論、1セット分の予備電池は常に持って行ってはいますが・・・
実際のところ、ワンマンでの撮影なので撮影が始まったらどうにもなりません。
正常な直列電池側はそのまま使うので、新品交換した直列電池側とは多少なりとも電位差を生じます。
つまり、並列接続相互で迷走電流が流れてしまって多少なりとも無駄な電力を消費して良くありません。
実際、充電後にセパレート状態で相互間の電位差を確認すると、0.2Vの電位差が有りました。
これまではそれを防ぐため、充電したら並列接続を切るためスイッチをセパレート側にしておいて、現地に着いてからマルチ側に切り替えて並列接続にして使っていました。
しかし、もし運用中に電池が一本逝かれたりしたら、正常な電池セット側から電圧が落ちた側へ無駄な電力が消費されてシステム全体の電池容量が減ってしまって途中で録音が止まってしまう事も考えられます。
これを防ぐには、ダイオードを入れてやれば良いのですが、ダイオードは0.6V程度必ず電圧降下します。
すると、連続使用時間が短くなってしまうためこれまで、ためらって来ました。
電池ボックスは2台作ってありますが、全数同一時期購入電池だけのボックスでは電位差は全く無く、並列接続相互間での迷走電流も流れませんでした。
更にもう一つの課題はダイオード挿入による電圧降下することで、レコーダー側の12Vの終止電圧に早く到達してしまいレコーダーがこれまでより短時間でシャットダウンしてしまう可能性が出て来ます。
今まで10時間使用できたのが8時間とかになったりすると、長時間運用するイベント録音では余裕が無くなってちょっと困ります。
でも、よく考えたらこのEDIROLのディジタルレコーダーは終止電圧の設定が出来るんです。
その値を0.6V下げてやれば良い事に今更ながら気が付きました。
ニッケル水素電池側にも空っぽになる直前の終止電圧があります。
充電直後は12本直列で14.4Vあります。
そしてその本数では12Vが終止電圧です。
これを無視してこれ以上使い切ると電池寿命が短くなります。
現在のレコーダー側の終止電圧設定も電池の規格に合わせて12Vにしてあります。

それをダイオードの電圧降下分の0.6V下げてやれば良いですが、0.5V単位でしか設定できないので11.5Vにしました。

あとは、ダイオードを電池のプラスの出力部に挿入します。
回路図的にはこんな感じになる訳です。

こんな接続にすれば、電池1<ー>電池2 相互間での電圧干渉は防げます。
スイッチをマルチにした状態(並列接続)で電池2がトラブって仮に10Vになったとしても電池1の電流はD2により電池2へは流れないので、出力端子には電池1だけの電力で14Vが供給される筈ですね。
そのダイオードですが、手持ちのジャンクパーツには1Aのダイオードしか無く、最低2A流せるダイオードが欲しかったので新たに買いました。
IN5408で1000V3Aの物にしました。
販売は20本単位だったので1セット購入です。

これがダイオード接続前。

接続後

改造が終わったので、実験してみます。
電池ボックスの出力には、電圧確認のテスターと実際のレコーダーを接続します。
当然、裏面スイッチはマルチ側にして並列接続運用状態です。

この状態で、電池直の電圧は充電直後なので15.1Vあります。

ダイオードを通過した電池ボックスの出力側は14.5Vです。
確実に0.6Vの電圧降下になっています。

まず、右側の電池セットの1本が逝かれて通電しない想定で抜きます。

その時の出力電圧は当然左側の電池セットからの供給だけになりますが出力電圧の変化も当然なくて、抜く前とほぼ同じ14.4Vあります。

さて、次にその一本が不良により一本分の電圧が減った状態としてみます。
クリップで一本分を直結します。

右側の直列電池直の電圧は一本分(Ni-MHは1本1.2V)減ったので約14Vになりました。

でも、ボックスの出力電圧は14.4Vのままです。

確実にダイオードの機能が働いています。
あとは、実際にこの設定状態でレコーダーが何時間動作出来るかの実証実験を行います。
今まではファンタム電源使用で10時間でしたから同等の連続使用が出来れば良いですが、もし下がっても9時間は最低欲しいところです。
この実験は時間が掛かるので収録が終わってから実施します。
今回の収録は2時間程度なので確認せずとも問題はありません。
今回の収録は2時間程度なので確認せずとも問題はありません。
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そして卒業式当日を迎えました。
気温も高くて春本番の様な天気に恵まれ、最高の卒業式でした。

今年は3年ぶりに両親揃っての参加と在校生の参加が許可され、以前の状態に近い卒業式となりました。
校長先生の生徒達への心底からの想いの式辞も感動的でした。
「極普どおりに出来る」事が、こんなにも幸せな事なのかと内心思いました。
7カメ+音声レコーダー2台での収録でしたが、何一つ不具合なく撮影が済みました。
このボランティアを始めて早24年。
独学でのビデオ撮影と編集ですが、技術雑誌からの最新情報と機器とソフトウェアの技術進歩のお陰もあって、素人的な域を超えた作品を作り続けられて来ました。
「自分の趣味を生かせる機会を与えて頂いて大いに感謝している」というのが私の本音であり、「楽しい」ので多くのアイディアも湧き出てきます。
そんな事は周囲に伝えてもいるため何かと協力体制でいてくれます。
中には、私の作品に感動して頂ける方もいる様です。
何度も何度も「何時辞める?」と自分に問いただしてみるものの、幾度かの危機はありましたが先生方や父兄の方々の想いに支えられてこれまで継続してきました。
きっと、辞める時は自然な成り行きで辞める事になるのかなぁ。
体と頭が正常に動く限り続けるんだろうな。たぶん。
家に帰ると妻が「お疲れ様」と、2種類のマグロの刺身を買っておいてくれました。
近年はマグロも年に数回しか食べられませんからね。
ありがとうございます。

今週、もう一つビデオ収録依頼がまだあるので気を引き締めて行こう!