なんちゃってLOHASな日々

ハーブの事。田舎暮らしの事。読書あれこれ。毎日の生活の中の、ちっちゃな出来事を楽しんじゃうブログです。

家守綺譚

2009年01月12日 | 読書
作家の綿貫は、学生の時にボートに乗ったまま行方不明になった親友の高堂の実家に、家守として住むことになった。

高堂の実家は、和風の庭を持ち、たくさんの草花や木が咲き誇っていた。

嵐の夜。高堂が、掛け軸の中からボートに乗って現れる。

庭に引いた水の流れからは河童が現れるし・・・

隣の奥さん。イタチの子孫だという薬売りの男。碁の相手をしてくれる和尚。ダァリアの君。後輩で編集者の山内君。
・・・タヌキもキツネも。サルスベリの精も。
小鬼も、カワウソも。花々の精も。死者の声も。神々も。逝ったはずの高堂も。

・・・実在するのか、しないのか・・・


「家守綺譚  梨木香歩 新潮社 1400円+税」


一緒に住む事になった犬のゴローは、人の情を解するし。
隣の奥さんは、河童やイタチについて詳しくて、異国の下宿の大家さんみたい。
和尚は、タヌキとセットで現れる?事が多くて。
人間の周りを囲む。たくさんの小さき命が、現世とそのモノ達の世界を行き来する。

綿貫さんの。茫洋とした感じも、いいな。

ほんの少し前の。私達の祖先は、そうやって生きてきたよなぁ。
鬼門にヒイラギを植え鬼を封じ。台所にも、土地にも神様がいて。
春は神が連れて来た。

今じゃ、近くの神様達や小さきモノには目もくれないで。
でも、やっぱり不安で、何かを探している人が、とっても多いのかも。

みえないものでも、あるんだよ・・・と金子みすずさんが言ってたみたいに。

辺りを見渡してみたら。

サルスベリ・白木蓮・木槿・カラスウリ・葛・萩・ふきのとう・南天・桜・山椒・檸檬・葡萄・南蛮ギセル・竹の花・・・。

身近な草木達の活躍・・・語ることに、そっと耳を傾けてみよう。

木陰から、小さなモノが、こちらの世界を覗いているかもしれません。

そんな気持ちになる一冊でした

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