竹原BLOG:奈良民話祭り ― グリム童話・メルヘン・語りの文化 とっておきの話。 

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朝ドラ「ゲゲゲの女房」と狐にだまされた話

2010年05月15日 | 日記
NHKの朝のドラマ「ゲゲゲの女房」は面白くなってきた。
いろんな妖怪が話題にでてくる。
河童、天井舐め、海坊主、ベトベトさん、狸.....
夫の漫画が売れず、お金がなくて困っている女房は
木の葉がお金になればいいのにと嘆いている。

(上の写真は昨日の朝ドラのいちシーンです。
よく見てください。狐と木の葉と小判が描かれてます。)

そこで、私が吉野で聴いた「木の葉がお金になった話」というか
狐にだまされた話を語ろう!


キツネにだまされた魚屋さん

今から70年ぐらい前の話や。
行商の魚屋さんが、魚を荷車につんで、なだらかな坂を登っててんて。
途中、不動坂というたいへん急な坂にさしかかったんで、
そこに荷車をとめてひと休みしてんて。
そしたら、そこへ、見知らぬ人があらわれて、
「おっちゃん。もし、よかったら、その魚売ってもらえまへんか。」
と言うてんて。
魚屋さんは喜んで、
「どこで商売しても同じですさかい、どうぞ買うとくんなはれ。」
と言って、いろいろと魚を取り出したんや。
そしたら、見知らぬ人は、
「それもこれも。」
と言ってんけど、
魚が残り少ないのを見て、
「全部もろとくわな。」
と言って、荷車の魚を丸ごと買って行ってんて。
魚屋さんは、よく買ってもらったと、ありがたがってお金の勘定を始めてん。

そうしてたところ、しばらくして、魚屋さんの知り合いが、
不動坂を登ってきて、こう言うてん。
「おっちゃん、何しとんの。」
「いや、今しがた魚がたくさん売れたさかい、お金を勘定しとんね。」
と魚屋さんが答えると、知り合いは笑って言ってんて。
「キツネにだまされてんねんわ。そんなんしとったらあかんで。」
「いや、キツネなんかにだまされとらへん。これお金や。見てみいさ。」
と、魚屋さんが言い張ると、
知り合いは、魚屋さんの肩をポンッとたたいてん。
そしたら、魚屋さんはハッと気がついて、正気に戻ってんと。
魚屋さんが、お金だと思って勘定していたものは、
たくさんの木の葉っぱやってん。
魚はぜんぶキツネに取られてしまったということや。

    原典: 櫻井龍彦代表編著『奈良県吉野町民間説話報告書』
    再話: 竹原威滋



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1 コメント

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きつね~ (赤ずきんちゃん)
2010-05-16 08:54:39
昔はよく狐にだまされたそうですね。講談社現代新書に『日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか』というのがあります。おもしろかったです。
いっぺんだまされてみたい!
どなたか体験談ありませんか~?
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