犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

犀川の河川整備>過去の洪水量を考慮しないで基本高水を決めてもよいのか

2014年10月01日 | 犀川の河川整備
 路木ダム裁判で、過去の洪水被害状況を考慮しないで河川整備計画を決めるのは違法であるという判決がありました。大きな洪水被害があったことを理由にダム建設が必要であるという整備計画を立てたが、洪水被害があったというのは事実誤認で被害はなく、これを根拠としたダム計画は、河川法違反だということのようですが、同じ文脈で、過去の洪水量を考慮しないで基本高水を決めていいのかということが言えると思います。

 浅野川では、平成20年の水害の後、被害が大きかったせいか、200年確率規模の降雨による想定外の洪水だ、浅野川放水路で最大170立方メートル毎秒、天神橋基準点で最大650立方メートル毎秒、合計820立方メートル毎秒の洪水が発生したとしていました。この水害の後、河川整備基本方針(平成23年7月)、河川整備計画(平成25年1月)が策定されましたが、浅野川の天神橋基準点の基本高水ピーク流量は、710立方メートル毎秒と従前の数値と同じで、平成20年の水害の最大洪水量よりも小さい流量で(反映されていない?)、基本高水ピーク流量が決定されていました。

 過去の洪水量を考慮しているのかということが問題になりますが、浅野川の計画規模を1/100と決めたので、100年確率の降雨量から計算すると基本高水ピーク流量は710立方メートル毎秒になるということのようです。

 それでは、平成20年浅野川水害相当の洪水が再び発生した場合はどうなるのか、どう対処するのかということが懸念されます。この懸念に対して、河川課担当者は一時、河道の余裕高のところでカバーするので氾濫することはない、という説明をしていましたが、最近、言葉を濁すようになりました。基本高水ピーク流量710立方メートル毎秒を超えるような洪水に対する検討文書について、情報公開請求したところ、不存在でした。法的な義務はないとしても、想定を超えるような洪水について考えなくてもよいということはないでしょう。

 このことを議論するために、浅野川水害の最大洪水量はどれだけかということは、最初に確認しておきたいので文書による回答を求めることにして、30日づけで公開質問状を河川課長宛でメールすることにした。

平成26年9月30日
石川県河川課長 殿

犀川の河川整備を考える会 中 登史紀
石川県鳳珠郡能登町字中斉ワ部2

浅野川水害相当洪水に対する対応についての公開質問状
――浅野川水害が再来したらどうするのか――

平成20年7月の浅野川水害の後、ふたたびこのような災害が発生することを防止するために、石川県はさまざまな検証作業が行われていることを確認しています。そのなかでも洪水の原因となる降雨量については、雨量計による24時間の観測記録が残っているので明確ですが、洪水量については、不完全な水位計による記録と最高水位の痕跡などから洪水量が推定されるので降雨量ほどには明確ではないと思われます。このため、高額の費用を支払って高度の専門技術を有するコンサルタント会社に複数の委託をして解析がなされているようです。その結果について、平成20年浅野川水害の最終的な石川県の判断はどのようになっているのか、ご教示ねがいたいと思います。以下に質問事項を列記します。

①天神橋基準点での最大洪水量はどれだけか(その根拠)
②浅野川放水路での最大洪水量はどれだけか(その根拠)
③天神橋基準点の基本高水ピーク流量に対応するピーク洪水量はどれだけか
 ④「大野川水系河川整備基本方針」平成23年7月、「大野川水系河川整備計画」平成25年1月によれば、
天神橋基準点460㎥/秒
浅野川放水路250㎥/秒
天神橋基準点の基本高水ピーク流量(合計)710㎥/秒
となっている。この目標数値に対して、浅野川についての河川整備計画(計画からおおむね30年間の整備)は、河道内の掘削と河道整備としか書いてない。
これを超える場合の対応(超過洪水)についての検討および対策はどのように考えているのか、あるいは全く考えていないのか。考えていないとすれば、その理由は何か。

 この質問に対する回答を文書でご返答下さい。
 ご返答がない場合は、あらためて石川県知事のところへうかがってお考えをうかがうことになると思いますので、よろしくお願いいたします。

 

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