犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

辰巳ダム裁判>地すべりに関する原告の証人尋問の報告

2013年06月21日 | 辰巳ダム裁判
日時:平成25年6月19日(水)14:00~17:00(3時間、うち休憩10分)
場所:金沢地方裁判所新庁舎法廷205号
原告証人:奥西一夫,国土問題研究会理事長,京大名誉教授
その後、17:30から、別室で原告側、被告側別々に進行協議が行われた。原告側の進行協議は、9月12日に実施される原告証人尋問の際の「自然環境」にかかわる非公開文書の閲覧にかかわること(非公開決定のもと、尋問に使用する書面の取り扱い)の協議であった。非公開で別室で閲覧しても尋問調書を残すことになると公開請求されて非公開内容が流出してしまうなどという難しい問題があるとのことで尋問に非公開文書を出すのはなかなか難しいということらしい。

今回の裁判の出席者は、裁判官3,書記ほか2,原告10名ほど、被告10名ほど、傍聴者30名ほど、裁判も長期にわたっているので関心もうすれ、傍聴者も少ない。地すべりの滑動もないし、住民運動の活動も停滞気味である(^_^;)。

被告の代理人の方は、尋問に立つ代理人は1名だが、同行者は10数名と大勢だ。辰巳ダムは大きい部類の公共事業だから、関係部署も多く、関係者も多いのだろう。担当部署へ帰って「証人尋問に参加しました。」と報告するだけだろうが、一応参加する義務はあるのか。馬鹿げた費用で税金の無駄遣いと不愉快だが、民主主義の費用だろうか(-_-;)。

今回の証人尋問は、奥西一夫原告証人の作成、署名した陳述書について原告と被告双方の代理人からの尋問であった。前回の治水につづき、今回と次回は、地すべりについてである。辰巳ダムは、ダム築造がもたらす問題点のほとんどを抱えた「問題ダム」の総合デパートであるが、目玉は、治水と地すべりである。治水は有史以来発生したことのないような想定洪水、地すべりは日本有数の規模を持つ鴛原超大規模地すべり地の地すべり発生の問題である。2つとも全国のどこへ出しても恥ずかしくない目玉商品である(*_*)。

 尋問メモをまとめているところであるが、まとめながら、明日から、以下のことについて感想をブログで紹介する。
1.末端地すべりのこと(地すべり1)
2.鴛原超大規模地すべり地(L3ブロック)(地すべり2)
3.瀬領の受け盤地すべり(地すべり3)
4.リスクマネジメントということ(地すべり4)
5.治水ダムは災害発生装置になる(地すべり5)
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辰巳ダム裁判>地すべりに関する証人尋問

2013年06月17日 | 辰巳ダム裁判
 治水に続き、地すべりの証人尋問が行われる。まずは、原告証人からである。日時は、平成25年6月19日(水)14:00~17:20、金沢地方裁判所新庁舎法廷205号で実施される。原告証人は、奥西一夫先生(国土問題研究会理事長,京大名誉教授)である。
辰巳ダム裁判の大きな争点は、「治水」と「地すべり」である。「治水」はダムの根拠となる基本高水ピーク流量が過大ではないか、公益性のない、無駄な事業ではないか、役に立たないのではないかということ。「地すべり」はダム湛水で誘発しかねないにもかかわらず、何の対策工もなされず、ダムが地すべり発生装置となるのではないか、ダムが役にたたない以前に単なる危険を抱え込んだだけではないか、という問題である。
 本来、ダムは住民の安全のためが名分だったはずである。100年確率の雨による想定洪水である「基本高水ピーク流量」が1750立方メートル毎秒であり、過大だとの指摘に対して、住民の生命と財産の安全を守るためにどうしても必要だというものである。治水については、地元住民の安全を最大限に強調する。
 ところが、地すべり対策はやらないという。治水ダムという手段は、ダム湖に一時的に湛水すること、水位を上下動させることでダム湖に面する斜面が不安定化し、地すべり災害を誘発する恐れがあり、ダムが地すべり発生装置になる懸念があるにもかかわらずである。
 少なくとも、ダム設置前と同等の安全度を保つのが当たり前だと思われるが、現在のしくみではそうはなっていない。ダム事業者が事業の実施に際して、根拠としているのは、河川法の規定による河川管理施設等構造令であるが、技術的基準が規定されていない。そのため、学識経験者の考えをまとめたマニュアル「貯水池周辺の地すべり調査と対策」によることになっている。このマニュアルでは、安定計算をして、安全率低下が5%未満であれば、対策工は要らないことになっている。つまり、地すべりの発生はないと判断しているのである。
 辰巳ダム湖中央に日本で有数の大規模な「鴛原超大規模地すべり地」が位置している。対策工はいらないのか、尽くすべき考慮がなされているのかなされていないのか、争っている。

辰巳ダム裁判地すべり証人尋問の案内→クリック
地すべり用語の説明→クリック
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