読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

ガラス製品を描く

2014年05月10日 | 水彩画

◇ さまざまなガラス製品

   
     CLESTER F6

   今回は様々なガラス製品を特徴をとらえて描いてみようという試みであったが、
  なかなか「さまざま」というほど多様なガラス製品が集まらず、結果としてガラスの
  瓶とグラスが主体となった。ベネチアンガラスの装飾瓶だけがやや異色。

   ガラス製品は色付きであっても色なしの素通しであっても、背景やテーブルの色
  など、モチーフの奥にある色を巧みに表現することが重要であり、同時に周辺の色
  も反射していたりするので緻密な観察が肝要である。

   (以上この項終わり)
    

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色付き始めたイチゴ

2014年05月08日 | 畑の作物

◇ 貴重ないちご
  4株しかない貴重ないちごが漸く色付き始めた。
  「うちではもう赤くなっているよ」
  この間わが家のいちごにプランターを見た三女に言われてあわてた。
  6本買った苗の2本を分けたものなので、先を越されたのだ。10階のベランダと2階のベランダでは太陽
  に近いのは10階だから仕方ないか。

  今日水を遣りにのぞいたら見事に色付いていて一安心。よく見ると形が悪いもの、実が一向に大きくなら
  ないものなど様々で、授粉の良しあしの結果が出ていると悟った。
  来年はうまくやろう。

  すでにランナーが数本出ていて、さてどうするか。

      


      

   (以上この項終わり)

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金融サスペンス『ブラック・フライデー』

2014年05月06日 | 読書

◇ 『ブラック・フライデー(BLACK FRAIDAYS)』 著者: マイクル・シアーズ
                                    (Michael Sears)

                                  訳者: 北野 寿美枝
                     2014.1 早川書房 刊 (ハヤカワノベルズ)


  
   


  著者のマイクル・シアーズ。日本でいうなら定めし高杉良だ。金融サスペンスと位置付けられ
 ているが、正直いってサスペンスというほど謎解きの楽しみはない。金融取引そのものがサスペ
 ンスというのなら別だが。
  それでも金融トレーダーの実態、その種類と位置付け、金融商品の種類や仕組みと相互関係
 など丁寧に説明されていてけっこう勉強になる。それもそのはず、著者は20年以上に渡ってウ
 ォール街の証券会社等に勤務したベテランで金融世界に通暁しており、本書の題材も2003年
 に起きた実際の証券詐欺事件からとったという。 
 
   実はこの本には、流れが二つある。一つは金融サスペンスという本流、いま一つは高機能自閉症
 の息子との心の交流という支流。この支流がまことによろしい。実はシングルファーザーの主人公
 と障害を持った息子との関係を本流ととらえてもよいのではと思うくらいなのだが、そうすると数少
 ない金融サスペンスというジャンルに入らなくなってしまうし・・・。ま、いいか。次作に期待。

  主人公のジェイスンはケイス証券という会社の花形トレーダーであったが、ささいなミスが発端で
 取引不正行為を犯し2年間服役し出所したばかり。収入も途絶えた彼にウェルド証券という会社か
 ら仕事が舞い込む。2週間で2万5千ドルというおいしい話。
  ウェルド証券の社内の敏腕若手トレーダーが事故死した。そのブライアン・サンダースにSEC(米
  証券取引委員会)が目を向けているらしい、金融スキャンダルを回避するために、彼らの究明に先
 回りして実情を探ってほしいというのだ。
  しかし、社内関係者は元金融犯罪服役者の調査になかなか協力してくれない。

  実はその美貌に目がくらんで結婚した元モデルのアンジーとの間に息子が一人いる。しかしジェ
 イスンが服役中に実家に帰ってしまい、あろうことか3歳の自閉症の息子キッドのを育児放棄し、
 ポールというマッチョな男と結婚してしまった(FBIに捕まる前に財産の一部を保全のためにアンジ
 ー名義にし偽装離婚していたのだ)。
  ジェイスンは職も財産もなくしたが、障害を持った息子と共に生きていこうと決心する。

  索漠とした金融犯罪ストーリーとシングルファーザーの育児話がなぜ並立するのか不思議に思
 えたが、終盤の27章FBIの携帯電話型盗聴器が相手に見つかった場面で「電源は切らないでく
 ださい。私には障害のある息子がいる。連絡がある場合に備えて、常に電源を入れておく必要が
 あるんです」と危機を切り抜けるなど、単なる併存話にはしていない工夫がある。 

  敏腕若手トレーダーの自殺事件の周辺を探っているうちに、関係者が次々と自殺したり殺された
 り、黒幕の存在がジェイソンに重くのしかかってくる。
  最終章でさすが辣腕のトレーダーらしく、ただ悪人を塀の中に送り込むだけではなく、自分の取り
 分はしっかりといただくしたたかさを持っていておやおやと思った。また途中から登場するワンダと
 いう魅力的な元ダンサーの大学院生が、ジェイソンとキッドに寄り添って生きていくことになりそうな、
 余韻が窺える終幕となってほっとした。

  (以上この項終わり)

  
  
  
   
  
             

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柴又七福神を歩く

2014年05月04日 | 里歩き

◇ 初夏の柴又七福神
  今日は今年二度目の真夏日を迎えた5月2日。思いたって東京の七福神巡りに出かけた。
 これまで浅草、隅田川、深川、日本橋と歩いて今度で5か所目。
  名刹経栄山題教寺(帝釈天)を中心に割とこじんまりとまとまっていて歩き易い。

 <観蔵寺・寿老人>
  千代田線の金町で降りて、京成金町線「京成金町」駅から二つ目で終点の「京成高砂」
 駅へ。
  線路に沿って狭い道を進む。観蔵寺は小さい寺で、寿老人の幟がはためいていた。

     


 <医王寺・恵比寿天>
  高砂駅に戻り、「さくら道」をまっすぐに進み、北総線「新柴又」駅そばの「医王寺」へ。
 このコースが一番長く、30分近くかかった。立派な山門があり、仁王様が御本尊を守って
 いる。楼上の四隅にはやはり守護の羅刹が睨みを利かせている。

        

  
  

 
 <宝生院・大黒天>
  金町から小岩に向かう「柴又街道」から1本外れた脇道に「宝生院」がある。
 ここも至ってこじんまりとした寺であるが、お賽銭の音を聞き付けた寺の人が顔を見せ、
 「どうぞ上がってご本尊を」と勧められたが「先を急ぎますので」などとお断りして次へ。

     


 <万福寺・福禄寿>
  しばらく曲がりくねった街中を10分ほど歩いて「万福寺」へ。ちょっと瀟洒な造りの寺。
 
        


 <題経寺・毘沙門天>
  さていよいよ渥美清さんの「柴又の寅さん」で一躍有名になった帝釈天の題経寺。さす
 がに参詣客が多い。
  枝張りが20メートルはあろうかと目を見張る見事な老松が辺りを払う。
  参道には草団子、おせんべい、うなぎ、くず切りなど様々な店が並んでいて、人出も多い。

        


        


     

 <真勝寺・弁財天>
  題経寺参道から1本外れた通りに弁財天の「真勝寺」がある。賽銭箱もなく、浄財は当て
 にしていないらしい。
  門前にはうなぎを初め川魚料理で有名な老舗「川千家」がある。

     

  
 <良観寺・宝袋尊>
  最後は布袋尊(ここでは宝袋尊という)の良観寺。柴又通りを金町浄水場の敷地と京成
 金町線に沿って進み、踏切を渡ると良観寺。
  ここでは水子不動やペットの安らぎの里など工夫を凝らしている。

        


 <矢切の渡し>
  真勝寺の前を江戸川の土手に向かって進む。川魚料理の老舗「川甚」の先で土手に上が
 ると視界が開け、江戸川の流れを望める。
  土手を下って河川敷の柴又公園の先に「矢切の渡し」乗り場がある。
 昔子供がまだ幼かったころに一度乗ったことがある。当時は確か100円か50円くらいだった
 と思うが今は大人1人200円。櫓も使うが着岸では船外機も使っている。
  乗客はカップルが多く、おだやかな春風に髪を梳かせて、空をかける鳥の鳴き声などを耳に、
 短い川路を終える。

  渡った先は松戸市。伊藤左千夫の『野菊の墓』で有名な地である。矢切の渡しは、小説では
 15歳の政夫と17歳の従姉民子の最後の別れとなった場所である。
 この映画でま見るたびに何度も涙した。
  「野菊の墓文学碑」までの間にある坂川の橋には『野菊の墓』のレリーフなどがある。 

 *「矢切」とは、8世紀北条氏と里見氏の戦・国府台の激戦で多くの人を失ったこの地域の人々
   が、二度と戦禍に逢いたくないと戦の象徴・弓矢を呪い、「矢切」の地名が生まれたという。

        


         


        


     


  (以上この項終わり)

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旬の野菜・筍を描く

2014年05月01日 | 水彩画

筍は野菜か

   
          CLESTER   F6


  旬の野菜と書いたものの、野菜の語感と筍がしっくりこない。
  こごみ、わらび、ぜんまいなどは山菜という立派なグループに堂々と座っている。
 野生のウドも「山うど」と山菜の仲間に入れてもらっているが、たけのこはどうか。
  実際筍山などと言って商品用の筍を採る竹林があるが、自宅の竹林などから時節に
 採る筍は状態としてはわらびと似ている。しかし山菜とは言わない。姿が大きすぎて山
 菜のイメージに合わない? じゃあ野菜かというと、年に1回、しかもほんの一時期しか
 店先に並ばないものを野菜というのもしっくりこないのだ。
  最近店頭に出回っている「山菜の王様」たらの芽などは大抵畑で挿し木で採られたも
 のであり、たらの木からとったたらの芽など絶滅種に近い。小生がこよなく愛する「こし
 ゃぶら」もいまや希少山菜で、いつこの世から消えるか気が気でならない。木の芽を食
 べるという感覚からすると筍は限りなく山菜に近い。しかし山菜グル―プには入れても
 らえない。可哀そうな存在である。

  それはさておき、筍が都会の店頭に並ぶのもごく短い期間で、花見どきに筍ご飯を
 つくり、その後半月もするともう筍は消えている。ところがしばらくすると、ご近所や知
 人などから「貰った筍だけど」とか「主人の田舎から送ってきた筍だけど」とかいった
 到来物の見事な筍が届いて、しばらくは旬の香りを賞味できるのだが。
  そんな筍が手に入ったので、食べる前に絵を描いた。

  じかにテーブルに置くのは気が引ける。硬質の陶磁器やガラス器ではあまりに違和
 感があるので例によって新聞紙を使った。わざとくしゃくしゃにするが、くしゃくしゃにし
 すぎると陰影を出すときに苦労するので工夫がいる。しかも文字をどの程度鮮明にす
 るか。あまりはっきりと描いては主役を食ってしまう。新聞紙であることがわかる程度
 にぼかして脇役であることを示す。
  
  筍は根元に近いほど白っぽい。白っぽいが、黄色と緑が微妙に混じった淡い白。
 根から遠ざかるにつれて緑が濃くなる。皮は筋のある茶色であるが、交互に芽を包ん
 で、筋が見事な曲線で巻いていく。この皮も微妙に色を濃くしながら周縁に及ぶ。こう
 した特徴をとれえて丁寧に描いていけば自然に筍になっていく。特に根っこのいぼい
 ぼ(根になるところ)は濃い赤紫で、釣鐘状でありながら成長度合いで形が違うところ
 が面白い。丁寧に描けば本物に近づく。

  色面構成のためもあっていつも登場するのはシンゴニュウム。これも悪いがいつも
 脇役である。

                                        (以上この項終わり)

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