無謀とも思われた、勝浦歌劇団の二日間に渡る栗原正和・江澤隆行氏のピアノ二台伴奏による第九演奏会は、ピアノの独特の迫力もあり、内容的にもご参加頂いた皆さんのご協力の面からも大成功でした。
村上敏明・栗原大輔両先生のご決断と西正子・森山京子・村上敏明・須藤慎吾・国田なつき・伊達伸子氏という日本を代表する歌手のみなさんのご出演。
村上先生の呼びかけに応えて広く参加された、合唱メンバー、若いプロ歌手奈良原繭里・佐藤由基のご援助、成田眞(二期会)氏のドイツ語ご指導はじめ、合唱ピアノ新井薫先生はじめ、実に多数のみなさんのお力のおかげでした。
勝浦歌劇団は、九割以上が初心者という中で、さまざまな挫折の危機を乗り越え歌いきった、情熱・努力・体力は年齢を超えて市民の限界無き発展の可能性を示しました。
そして、成熟した市民の芸術への挑戦を通じて、切磋琢磨・協力しあうすがたは、感動で胸が熱くなる思いです。
私は、人類愛を高らかに歌い上げる第九の魅力の一端を感じることが出来ました。今、歌うことの意味も大きいのではないでしょうか。
それと、貧困格差の拡大によって、能力や情熱があっても、参加する条件が狭められているということが、プロの芸術家の活躍と生活の場を狭め、芸術を楽しむ条件を奪っていることも強く感じています。
日本共産党綱領は未来社会への展望として「真に平等で自由な人間関係からなる共同社会への本格的な展望が開かれる。
人類は、こうして、本当の意味で人間的な生存と生活の諸条件をかちとり、人類史の新しい発展段階に足を踏み出すことになる。」としています。
労働時間の短縮という経済的な条件の広がりが、芸術・スポーツ・文化はじめ市民個人個人の人間的魅力と共同の広がりになる、社会へ一歩一歩前進することが、今こそ必要ではないかと思うのですが。