JCP市原時夫です

千葉県房総の睦沢町から、政治・経済・歴史・オペラ・うたごえを考えるgabuku@m12.alpha-net.ne.jp

原発ゼロ・自然エネルギーへの自治体と住民のとの共同が大事

2014年05月29日 | Weblog


 千葉県革新懇のシンポジウムの内容が「ちば民報」に報道されました。
千葉県の担当者も参加する行政・県議・地域の実際の経験などが報告されました。


 県革新懇がシンポ 
 東電福島第一原発の大事故を省みず、 原発は重要なベースロード電源」「規制基準適合原発は再稼動」という内容の次エネルギー基本計画が4月11日、閣議決定されました。
 しかし、3月の朝陽新聞の調査で59%が「原発ゼロ」を望んでいるように、これは多くの国民の期待を裏切るものです。
 昨年の参院選の自公の選挙公約にも反します。
そんな折、「革新と正義のための千葉県の会(千葉革新懇)」は、5月11日、千葉市文化センターで、「原発ゼロ!自然(再生可能)エネルギーでまちづくりを」と題するシンポジウムを開催しました。
基調講演をつとめたのは、永らく電力中央研究所で岩盤地下水工学の主任研究員を務められ、千葉県革新懇代表世話人でもある本島勲氏で 「原発ゼロー 地域を創る自然エネルギーの地産地消を」と題しておこないました。
 本島氏は、なぜ自然エネルギーなのかを脱原発と脱地球温暖化の両面から捉えて話を進めました。
 まず、軽水炉原発というのは欠陥技術だということです。欠陥商品をいかにして運転しようかと腐心しているのが、原子力規制委員会のやっていることです。
 「技術というものに、絶対安全はあり得ない。必ず事故は起こる。技術は事故を通して発展してきた。しかし原発事故は取り返しがつかない。絶対再稼動してはならない」と指摘。「福島が今どうなっているか。事故から3年経っても、避難した人たちのほとんどが帰れないでいる」と指摘し、原発事故のもたらす被害の甚大さと事故の異質な性格を明らかにしました。そして「安心して発電できる技術は自然エネルギーである」と言います。
 また、人類の存亡にかかわる地球温暖化を抑えるためには、温暖化ガスC02
を排出する化石燃料(石炭、石油、天然ガスなど)の使用を減らさなければなりません。「気候変動に関する政府間パネル(ICPP)」の3つの作業部会の報告書がこの4月に全部出揃いました。地球温暖化は疑いないこと、その要因は人間の活動であり、2100年に産業革命前に比べて気温上昇を200未満に抑えないと、取り返しがつかないことを報告しています。「要するに自然エネルギーへの転換が緊急の課題だということを、3つの作業部会報告は警告している」と語りました。
 自然エネルギーは太陽と地球が存在する限り無限です。「自然エネルギーはその地域固有の財産です。地域の文化・生活の向上と産業の発展のために利用されなければならない。その開発は、自治体と地域住民の協働によることが重要です」と自然エネルギー開発の理念について提起しました。それは、エネルギーの地産地消を通じて新しい表ちづくりを起こし、内需主導の産業構造を地方から構築することになります。
 市川市の農家で試験的にやられている、農業と太陽光発電を両立させるソー
ラーシェアリング、冷暖房への地中熱利用、浄水場からの水圧の余剰圧力を利用した幕張給水場でのマイクロ発電等、興味深いいくつかの例が紹介されました。
 再生可能エネルギーの固定価格買取り制度によって、千葉県でも自然エネルギーの導入が進み、開発量では全国6位だそうです。県内の自然エネルギーを活用した取り組み情報を共有することが大事である、県がそのネットワーク化を検討してほしいと問題提起しました。
 自治体の姿勢が 続いて4人のパネラーが、それぞれの取り組みについて報告しました。
 千葉県商工労働部産業振興課・新エネルギー振興室の田中圭氏は、東日本大震災後ただちに新エネルギー活用推進プロジェクトチームを立ち上げ、様々な取り組みを推進してきたことを報告しました。「県内の新エネルギー導入は順調に進んでいるが、太陽光発電が96%を占めその8割以上が県外の企業によるもの。より地域にメリットがある形での導入を支援していきたい。利益がちゃんと地域に回ってくるようにすることが大事だと考えている」と述べました。
 南房総市農林水産部地域資源再生課の押元大起氏は、旧小学校跡地を活用し昨年1月にスタートした太陽光発電(南房総ソーラーパーク)と施設園芸農家での木質バイオマスの熱利用について報告しました。年間約2200㎡の未利用間伐材をどう活用するか検討し、園芸ハウスの薪暖房機の導入を支援しています。
130坪のハウスで、年間A重油30万円の費用が薪代16万円に納まったとのこと
です。岩手県釜石市の暖房機メーカーに性能を改善してもらいました。市が半額 (20万円)助成して昨年度までに10台、来年度までに30台に増やしていく計画です。地元産のエネルギーの活用で農業と林業の振興につながるワクワクするような報告でした。
 農事組合法人・多古町旬の味産直センターの竹盛智敬氏は、スイスとドイツの視察からヒントを得た「市民発電、私のでんき」の取り組みについて報告しました。ソーラー発電導入のため市民から資金を募り、参加者には10年間県内産の米
スライドを使って説得力ある説明や野菜を届けるというシステムです。市民参加で自然エネルギーによる発電事業を起こし、同時に農産物需要をつくり出すという取り組みです。現在600名以上が参加しています。「食料とエネルギーを自給できない国は自立できない」という氏の言葉が耳に残りました。
 日本共産党千葉県議会議員の小松実氏は、「原発はコストが低い」という欺隔を日本経済研究センターがはじき出した数字を挙げて論破した上で、日本共産党のエネルギー政策について報告しました。その重点は、数値目標を明確にした自然エネルギーの計画的拡大をすすめることです。再生可能エネルギーを地元の仕事と雇用に結びつけ地域経済を活性化させることを強調しました。
 そして、この間調査してきた高知県梼原町、長野県飯田市、北海道足寄町、栃木県那須の原土地改良区連合などの取り組みを報告。
風力、太陽光、小水力による発電や木質ペレットの熱利用など、「どこでも共通しているのは、自治体が本気になって地域の業者・住民と一体となっていること。太陽光だ、風だ、森林資源だと、知恵を出し合い、地域資源としての地域経済に役立てていく姿勢がある」と自治体の役割の重要性を強調しました。
(文・」関口偵雄)(写真・佐久間勉)