JCP市原時夫です

千葉県房総の睦沢町から、政治・経済・歴史・オペラ・うたごえを考えるgabuku@m12.alpha-net.ne.jp

電力の地産地消 日本共産党銚子市議に聞く

2012年08月24日 | Weblog


 ちば民報に、風力発電がさかんな、銚子市の自然エネルギー活用の現状について、日本共産党三浦銚子市議のインタービューが出ています。
 大変参考になりました。


強い風を生かして
 地球温暖化が言われ地球環境を守るため、石油など化石燃料に代わるエネルギーとして、太陽光、風力、地熱など自然再生エネルギーの活用が注目されて久しくなります。
 そして3・H東日本大震災における東電福島第一原発事故が原発の安全神話を打ち砕き、原子力エネルギーが人類の生存自体を脅かす危険なものであることが広く明らかになる中で、一層自然エネルギー利用への関心が高まりつつあります。
 こうした下で、風力利用の自然条件を生かし、既に34基の風力発電用風車が設置され、市内全世帯をまかなえるだけの発電量を有している銚子市を訪れ、日本共産党の三浦員清市議の案内で現地を見て回り、話を聞きました。
 当日は、真夏の太陽が照屏風ヶ浦の台地に回る風車。今後は洋上に展開するかもしれないりつけ銚子にしては風が弱い暑い日でした。銚子駅から三浦市議の運転する車で西方向にしばらく行くと、畑が広がるのどかな台地に点々と真つ白な風車が立ち並ぶ風景にかわりました。
 白いタワーの部分が高さ65メートル、三枚羽根の直径が70メートルと言いますから、羽根の上まで地上100メートルにもなる巨大なものです。畑の畦道に入り風車の直下に行って見上げるとその大きさを実感します。
 弱い風でしたがどれもこれもゆっくりと回っています。風という馴染みの自然エネルギーが風車をゆったりと無心に回して、私たちに有用な電気エネルギーを作りだしているかと思うと一つひとつの風車がいとおしくさえ感じられます。
 風車群は現在、東西に伸びる銚子市域のほぽ真ん中辺りから畑や森の広がる西側に立地しています(I基だけ東側にある)。
 これは三浦市議が、当時はまだ13基しかなかった2006年(平成18年)3月の定例会の一般質問で、さらに数十基の設置計画が出されていたちとで、「これら計画に対して市民生活や環境を考えて、秩序ある設置を風力発電事業者に指導して行くべきだ」と市の対応を質したことによるものです。 
 市は、環境保全、景観形成等を図るためこの建設可能区を設定したとしています。
さらに風力発電事業者に対し、住民説明を行い住民の意向を配慮すること、電波障害、騒音、低周波音、振動及び農作物の被害等の予防を行うことなど、自らの責任において適切な対応をとるよう「風力発電施設整備に関する遵守事項」なる行政指導基準をつくりました。
これには法的拘束力はありませんが、事業者はほぼ従っていると言います。
 次に、国の事業として洋上風力発電の実証研究を進めている銚子沖の現場を望むため、屏風ヶ浦の高台に車を走らせました。
 暑く風が弱いせいか海上の視界が悪く、外川地先3㎞沖合の風車が載る基礎部分が海面上に立ち上がっているのがボヤッと見えただけで、写真撮影は無理でした。
 この実証実験が成功すれば、犬吠埼沖合に何十基、あるいは何百基もの風車が林立するかも知れず、市としては銚子の知名度が向上し観光名所になることに期待を寄せているとのことです。

充足率108%?
 市の資料によると、3 1基フル稼働すると年間1億580万KWh、2万9110世帯分に相当する電力量が得られます。これを銚子市の2万6964世帯(2011年4月1日現在)で割った108%という充足率を域を割り出しています。
 しかし、三浦市議は、「3・11原発事故で停電になったのは西の方、皮肉にも風車が林立しているところだった。地産地消になっていない。事業者が全て東電に売っているだけで地域との関わりがない」といいます。
 送電線を東電が独占している現状では、地元で作った電力も東電経由となり結局地産地消になりません。
 そこで三浦市議は制度が変らないと地産地消は実際上出来ないので、「いちばん良いのは、いざという時に避難所になる学校とか市役所など公共施設に太陽光パネルとか風車とか設置して、自然エネルギーの活用を行うことだと何度か議会で提案している。東電が倒れたら全てだめでは困る」と言います。
  また、三浦市議の自然エネルギーの活用に関する質問に対し市は、県と協調した住宅用太陽光発電システムの助成を2011年10月から実施したと回答しています。IKW当り4万円、市内業者に発注すればさらに1万円上乗せするという、県内では最高水準の助成だということです。これも地産地消への取組みの一つです。
 転換の決断こそ
 「自然エネルギー活用の風力発電は、一般論としては異論のないところだと思うが、個々具体的な立地計画に対して全国あちこちで反対運動も起こっている。住民合意が図れるシステムを作ることがいちばん大事だ」と三浦市議は強調し、この点で法的に未整備である現状を指摘しています。
 生活環境や自然環境の破壊危惧し反対運動が起きているようですが、風致地区や自然公園地区など特別な地区を除けば、風力発電建設に対する法的規制は建築基準法ぐらいだとのことです。これも原発に固執し自然エネルギー活用にあまり熱心でなかった政府の姿勢の現れでしょう。
 「原発事故の教訓を踏まえ、日本共産党が言っている原発から自然エネルギーへの転換”という立場に政府がきちっと立てば、法的未整備の問題だけでなく自然エネルギー活用技術の研究開発にももっと力が入るだろう。日本の風土に合った風車、例えば羽の部分を円筒型にしたものなど都市部にも建設出来るようなものも含め研究して行く必要がある」、「自然再生エネルギー活用を誘導するような政策を本来政府が取るべきなのに、原発は基幹エネルギーだなどと言っている今の政府には期待出来ない」と三浦市議は、原発利益共同体(財界)の意向に従い、自然再生エネルギーへの転換に踏み出せない現政権を厳しく批判しまし
た。
 自然エネルギー活用だからいいだろうとは単純にいかない、風力発電が抱える諸問題を改めて考えながら、成田線の車窓に数機の風車がゆっくり回るのを目にして帰路につきました。
(文・関口 偵雄)
(写真・佐久間 勉)