2005年8月13日のブログ記事一覧-ミューズの日記
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今日で吉本さんの投稿も5回目になります。
毎回のテーマがフッと考えさせられる内容でいつも楽しみにしています。
今日も「なるほど!」と消えていく音にも耳を傾けたくなりそうです。

では、吉本さんにご登場いただきます。

最近は、若いときのようにがむしゃらに練習するということがなくなった。これは、年をとったからとか日常が忙しくなったからとか、ということとは無縁の問題である。

 ギターは、多くの弦楽器の中でも特に繊細な楽器であると言われている。確かに、その音色や響きの美しさと透明感という点において他の追随を許さないが、音の持続性という点においてき極めて悩み深い立場に置かれている。このことは、ギターの持つ弱点であり宿命のようなものであると、ごく最近まで思っていた。しかし、考えてみれば、この弱点とも思える「消えていく音」の残り香にこそギターの最も優れた特性が潜んでいるのではないかと思うようになった。どんなに

美しく至福の音色であろうとも、サウンドホールから飛び出した瞬間からそれらは消えていく運命にある。その短い命に演奏者はどこまで思いを込められるのだろう。そう思うとき、ただやみくもに音を頑張らせるのではなく、「消えていく音にこそ」注意を払い、十分に耳を傾けていかなければならないことに気づかされる。もちろん、音を立ち上げていく時の表現に対する緊張感(呼吸)とタッチの問題は、依然として私の最大の関心事ではあるが、「消えていく音」に対する思いもま
た終わる事のない関心事になりそうである。

 日頃のギターの練習も、一音一音に気持ちを集中させ音楽を楽しむものにしていきましょう。                                         吉本光男

 次回は PART6は 「ギターは小さな星のオーケストラ」 です。お楽しみに~。


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