紫草(日本ムラサキ)の記

日本ムラサキの紫根は輸入品に頼っています。薬用また、染料として国産紫根の生産普及、流通を期待しています。

日本ムラサキ、彼岸の発芽

2017-09-26 19:26:58 | ムラサキの栽培
「春先の苗床から発芽する日本ムラサキ」
此の所、暖かな日が続いた。日中の日差しは麦わら帽子が必要な程であった。庭先に放置して置いた苗床がある。大雨の日にはスチロールの箱が満杯になる事もあった。
その水を抜いて陽当たりの良い場所に据え置いてあった。
その後日を置いて、日本ムラサキの発芽がポツポツと見られる様になった。
種を播いた訳では無く、春に発芽できなかった種が発芽して来たのである。


16個も発芽する事があった。双葉が余り大きくならない内にポットに移す。
忙しく忘れていると根が長くなり過ぎて抜く事が大変である。今日も15個をポットに移す。
主根が1本真っ直ぐに5cm以上も伸長する。ムラサキの特徴的な生育と言える。
以前、主根が短くて数本に分かれて生育する苗があったが、ポットに移して間も無く萎れてダメになった。
こうした根の苗が良いとばかり思っていたが、その後その様な苗は1本も見ていない。


彼岸に発芽した苗である。長短はあるが全て根は1本、真っ直ぐである。
この苗のほとんどが、春先に発芽しなかった種が苗床から発芽したものである。
発芽率など何処吹く風である。発芽の見られない日もあったが、陽当たりの良い日の翌日には予想通りに複数個の発芽があった。苗が温室を溢れるばかりになり、別の温室を製作するハメになってしまった。
その製作中の温室棚に育苗トレイを乗せてみた。


9/6 発芽、3週間目の苗である。春先より生育が早い印象がある。本葉が既に4枚となっている。

本葉が3枚目の苗が多い。向光性があり、苗の先が同じ向きになっている。
「めがでれば ☘️ よろこびそだて ☘️ おきばなし」
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日本ムラサキの種、選別

2017-09-24 20:22:58 | ムラサキの栽培
「浮種検査」
日本ムラサキの種を希望する方から、種が欲しいとのメールが入った。
この時期、在庫の種は無い。昨年収穫の種はかなり前に使い切っている。
別の発芽方法を実施したいとの事である。秋の彼岸の時期は良く発芽する時期でもある。
年を越すと発芽率が落ちる気がして、いつも新種の収種の収穫を待ってから送る事にしている。
しかし、今年は秋苗から既に紫根を収穫しているので種の着いた枝が乾燥中である。
時間を取って種の選別をする。


枝から種を取る作業に時間を割いた。枝をしごけば全て落ちて種の分別は容易ではない。
分枝を1本毎切り取って、種の萼を抑えると種が飛び落ちる。
大きなビニール袋を下に作業をする。
沢山の枯葉、枯れ枝のカケラや萼の中から種を選別する作業よりこの方法が良い様に思われる。
種のみをバットに移して更に選別をして行く。手前の多くの種は一応OK とした種である。


この種の中に目視で不良と思われる種があった訳である。

害虫被害と思われる。

小さな種や変形した種も取り除く。
不思議とこれらの種を見つけて、筆先で転がし出す時、コロとも音がしないのである。


対角3mm のメッシュの篩に残った大きな種である。
この種は<大>として特別扱いとする。このメッシュは大概の種が通り抜けるので<並>扱いとする。


浮種検査をする。ビーカーの底に合格品、浮種は隣の小皿に取り出してある。
目視で不良と判断した種もこの段階で浮種となるので無駄な行程と思われるが然に在らずである。


浮種とはなったが不合格品ではない。この中にまだ発芽する種があるからである。
特別扱いの種であれば尚更の事である。
この浮種を再度水に浮かべると数%の種がビーカーの底に沈む。
良い苗を育てる前に、良い種を選別する事は当たり前の事である。
発芽はしても生育の覚束ない苗が出てくる原因はやはり種にあると思われる。

     「おとがなく ころがるたねを はじきだし」 
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モミジアオイと藍染め

2017-09-13 20:33:40 | 藍染め
「久方振りに藍染め」

久方振りの藍染めだ!
藍乾燥葉が沢山保管してある。藍を建てたのは、いつ頃だったのか忘れてしまった。
ムラサキ栽培に追われて、すっかり忘れてしまった。
一昨日様子を見て少し調整して置いたが、実際に布を染めてみないと判らない。

 


案ずる事は無く、藍は良く染まった。庭先にはモミジアオイ。




お試しにバンダナを染めたのだが日暮れが近い。秋の内に藍染めを沢山しておくつもりだ。冬になったら水仕事は辛い。

  「あいぞめを もみじあおいに あいそわせ」
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日本ムラサキ、栽培サイクル

2017-09-09 15:10:03 | ムラサキの栽培
「秋苗の育苗について」
日本ムラサキの栽培方法では2年物の収穫が一般的な理解になっている様である。
しかし、残念ながら2年間の栽培サイクルは何時から始まるかが不明である。
普通には、春先に種を播き夏に花を見て、秋に種を収穫し1年目をカウント。
翌年、前年の株からの新芽の勢力のある様子に大いに期待し秋になっての収穫を予定する。
まるまる2年間の栽培期間を念頭に置く事になる。多くの失望は、この栽培サイクルの判断にある。

次の写真の紫根は4月に新芽が伸び始めた時に掘り出した。定植してから10ヶ月目で掘り出した事になる。
5ヶ月前、前年の晩秋11月に収穫した紫根と大きさは変わらない。つまり、半年でこのサイズまで生育した訳である。



2年目の複数の枝が伸長して前年より早く、しかも沢山花が咲き、期待は更に大きくなる。花が早く咲くので、種も早く取れるが、この時期に紫根を収穫する事は誰もしない。
葉が傷み枯れる枝が出て来て、紫根の収穫を思い立つ事になる。


前掲の紫根と同時期に栽培していた株である。前年の株からの茎立ちが多く、花は5月に咲き6月に入って、茎や葉の傷みが出たので掘り出した紫根である。まだ、紫根には赤みが残っている。しかし、新しい根はほとんど見られない。4月に共に掘り出すべきであった。


更に1ヶ月後、梅雨時を経て、残りのムラサキの枯れ株を掘り出してみると根は腐敗していて形を保てない状態となる。
苗を定植してから13ヶ月目である。発芽してからの生育期間をカウントしても15ヶ月である。

つまり、2回の梅雨時を経て収穫する事は不可能である事が判る。春苗は晩秋か、保存期間を含めて春先には収穫を終えないと紫根が痛んでしまう。実質、定植後半年の生育期間となる。
秋苗も定植は春先となるが、既に根は3mm の太さまで生育しており、定植時期に枯れる心配もない。収穫は春苗と同じである。
発芽してからの生育期間をカウントすると19ヶ月、ほぼ1年半の生育期間となるのである。
暑さや乾燥に強く、寒さにも強いムラサキである。しかし2年目の梅雨を避ける栽培サイクルが求められる。



秋苗の5〜6ヶ月間育苗後のサイズである。
栽培地域にも因るが最近は高温多雨の気象条件となり、ムラサキ栽培にとっては心配もあるが逆手に取って、温暖な地方では秋に定植して翌年晩秋に収穫時期を迎えることが可能かも知れない。
寒冷地でも地域によって越冬方法があるので秋苗からの栽培サイクルが可能であろう。

   
「はるとあき つゆどきにらみ なえをうえ」
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日本ムラサキ、秋苗の準備

2017-09-06 16:13:18 | ムラサキの栽培

 「秋苗の発根、発芽、育苗」
ムラサキの昨年の残り種を発芽させて、秋苗を準備する。今年のムラサキの栽培は苗不足でスタートが遅れているので残して置いた昨年の種を使う。
 今年栽培中のムラサキの種から発芽出来る事は、昨年の「思わぬ出来事」から承知していたのだが、まだその種を使う事が出来ない。種の発芽力は期間が経過すると落ちてしまうので、昨年の残り種を処分のつもりで発芽させる事にした。



苗床を使う事にする。慣例のパック内発根は、気温が高すぎて種の腐敗の進行が心配されるので避けた。
苗床の用土として適、不適の実験も兼ねる事にする。ちょっとした思い付きであったが、歴然とした発芽結果を見て驚いている。市販の培養土、ココピート混入培土は発芽なし、不適となった。


赤玉土は最適の結果を得る。初めてのムラサキの発芽を経験している用土で原点に戻る事になる。同じ条件の種でも発芽日に差が有り、発芽力の差があり種としての期限が窺える。

黒土の使用は初めてである。発芽は最も早く、既に本葉が出始める。赤玉土を越す結果であったが苗床用土としては、しまり過ぎで根の生育はやや抑えられている。育苗用土としての使用を検討する事になる。


それぞれを対比してみる。これだけ根が長くなってしまうと育苗ポットへ移す作業も厄介になってくる。


双葉で6.5cm 、長い根である。(爪楊枝は6.5cm)本葉が出て、根が複数になっている右の曲尺際の苗が良い苗の根と見ているがどうであろうか。傾向としては、長く1本伸びる根が多い。

急遽、発根して発芽の兆しの苗をポットに移植する事にする。

この状態で、育苗用ポットへ移植するのが最適である。作業も簡単、根にも負担を掛けない。

翌日、生育が進み種の殻を落とし葉を広げる苗も出てくる。

育苗ポットには赤玉土、黒土、ピートモスを配合した培養土を入れる。既に本葉が2枚出ている。最も早い発芽苗はこの日で9日目である。今後、暖地ではないので秋苗は室内で育苗を続ける事になる。冬期生育した葉が枯れても、春には新芽が出てくる。来春露地に定植する場合、春先に発芽する苗より太く丈夫で枯れる心配がない。

     「ひともとが ふかぶかながく ゆえありや」


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