紫草(日本ムラサキ)の記

日本ムラサキの紫根は輸入品に頼っています。薬用また、染料として国産紫根の生産普及、流通を期待しています。

ムラサキ種発芽検証2

2014-02-26 17:18:47 | 紫草栽培
冷蔵庫に保管中の日本ムラサキの種、3週間を経過

1~2℃という温度は冷蔵庫内では日毎に手をかけなければ6~7℃になってしまう。
               
パック内に氷を敷いてその上に種のパックを置き、その上にカチカチに凍った保冷剤を載せてもうっかりすると氷は

解け保冷剤も軟らかくなって1~2℃の保管を継続する事ができない。
                     
3週間は大変だ。室外、外は最高気温が1~2℃!しかし、最低気温はマイナス 6℃前後、そのまま外に置くわけには

いかない。週末に雪が来た。しかも、70cm。冷蔵庫から雪の中に保管する事にした。
                    
育苗ポットに赤玉土、鹿沼土、川砂を混ぜ合わせて長く冷温保存した日本ムラサキの種を播く。1ポットに3~4粒を

播く事にする。雪の中からムラサキの種を取り出す。冷蔵庫より安定した冷温保管が無理なくできた。
                                             

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古い文献(ムラサキ特集)に、発泡スチロールの容器の使用が効果的だったとの記録を見て育苗ポットは、そこに並

べて発芽を待つ事にする。発根に 2週間 、発芽に2週間 4週間後というと3月下旬頃となる。                 
小さな温室を室内に設置、その中に発泡スチロールの容器を置く事にするが、温度設定がわからない。      

昨年露地栽培で発芽した頃の記録を見ると20℃以上の日もあれば、それ以下の日もあり時には30℃近い気温の日も

あったり、まちまちで困惑する。露地栽培の苗床は、ビニールのカバーを掛けただけの物であった事を考えると気温

より地温に左右されるのではと考えたりする(直射日光である、これは地温を格段に上げるはずである)が判断は付

かずとりあえず、20℃に設定。

これは、条件が皆同じで発芽しないとすれば、ひとつも発芽しない結果になってしまう。            

その点、露地栽培の苗床は、発芽しない列があっても、別の列ではたくさん発芽するなど微妙な条件の違いから全滅

を免れる事もあったりする。

昨年、大きな株に育ったムラサキの根元にたくさんの種がこぼれ落ちたので、そうした自然状況下での発芽の結果を

見る事ができたらと期待は別の方向に向いたりする。露地栽培の苗床は4月下旬頃になろうか。関東圏とは1ヶ月ほ

ども遅くなる。北信濃での日本ムラサキの栽培である。 

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検証結果報告  2/24冷温保存を終えた種を播く。(上の写真)

3月下旬を想定していた発芽は思いの外、早く3/6に発芽した。約10日である。しかし、遅れて発芽する種はそれほ

どない。この結果の原因は、用土にあったのではと思う。川砂は粒子も大きく、固く、重い物であった。更に、気付

いた事は種を播いた後土の表面を平にと容器の底で押さえた事である。用土の中はしっかり絞まって種がふくらみ根

を出し、固い殻を割る余裕を無くしてしまったのではと思う。発芽の様子を見ると、どの種子も固い殻を帽子のよう

にして土の中から出てくる。殻を土の中に置いて発芽する種子はひとつも無い。軽い肌理の細かい砂を使うとこの様

子が良くわかる。

用土は赤玉土のみで良く、水を含ませた後、土を上下させフカフカの状態にして3cmほどの溝を作り砂を入れ、種を

置き、砂は種がわずか隠れる程度にかぶせる。水はスプレーでかける。発泡スチロール内の育苗ポットというのも無

駄な事で、反対に折角の保温効果を失う結果に繋がったと思う。工夫した事があれこれ失敗の原因になって貴重な結

果を教えてくれた。

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ムラサキ特集3

2014-02-17 10:29:20 | 植物
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古い資料である。定年を機に書棚を整理し多くのの書物を処分したが、薄いこの雑誌は書棚に残されていた。
ムラサキを栽培するようになって、改めてページを開いてみた。36年も前の研究記録が掲載されている。

参考になると思われる部分を紹介してみたい。アンダーライン部分は参考になるかと入れてみた。

 「邦産ムラサキ園芸栽培の実際」    伊賀 達紀(著述・野草研究家) p53

3. 播種・発芽
 播種は普通とり播きとする。鉢や育種箱に播種し、発芽後移植する場合と露地に直播きして

移植を避ける場合とがある。幼苗の露地への移植は極めて困難を伴い、たとえば幼苗150本を

移植し、活着したのはわずかに11本であった。この11本も完全に活着したとはいえない生育

途中の記録である。

 鉢・育種箱に播種するには山砂、川砂を使用する。これは保水性と排水性がよく、無肥

料状態にあるため、黒土より優れている。特に灌水を行った時は、加湿にならぬ点が利点である。

ムラサキは低温には強い抵抗力を持ち、厳寒地以外の地域では播種容器を温室、ビニール

ハウスに取り込む必要はない。屋外に置いても十分である。また、果皮が堅いために、発芽不良

になるのではないかと、果皮を傷つけるなどして播種する必要はない。これではかえって種子を

腐敗させるだけである。

8月下旬とり播きを行ったものは、東京地方では、翌春の3月下旬(昭和52年は3月23日)より4

月上旬にかけて、最低気温が5℃以上の日が続くと、一斉に発芽を開始する。気温で用土

の温度が激変する木箱は、発芽が劣る。

 移植を避けるために露地に直播きした幼苗は強健であり、特に乾燥に強い。直播きは条播きが

よく、バラ播きは種子の損出が多いばかりでなく、発芽後の管理にも不便が多い。

発泡スチロール製育苗箱に厚さ10cmの山砂を使用した場合の発芽は種子200粒に対して193本

木箱の場合は23本であった。

径13~15cmの鉢に直播きして、そのまま栽培を続ける場合もあるが、用土の排水の点で十分とはい

えない。やはり赤玉土か鹿沼土の中粒を用土として移植する方が良い結果が得られる。
                                     以上p54より抜粋




(昨年、畑に苗床を作り、ビニールでカバーをしたところ多くの発芽があり、腐葉土を多めに入れた別畝に移植した

処100本のうち全てが活着した。ただ、その後の生育状況はまちまちで、花を付ける前に枯れてしまったもの、開花

を見たが余り成長せずに夏には枯れてしまったものもあった。黒マルチの畝で夏にはかなりの高温になったが散水も

できず雨頼みの栽培であった。しかし、根元が1.5cmを越え大きく育った苗も多く、大きなものは掘り起こして紫染

めに使用する事ができた。 偶然何かが適応条件に合致したのであろう。)


 
   

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紫草(ムラサキ)の発芽方法検証 1

2014-02-06 15:11:48 | 園芸
「紫草(日本ムラサキ)の発芽発芽方法 1の検証実験」

当地長野市では厳寒の日々ですから、4月以降と考えていましたが、
紫草の種を希望購入される方が何名か出てきましたので参考になればと
発芽の検証実験を始める事にしました。


1.チャック付きのポリ袋を用意します。(種購入時の物でも良いがやや小さい)
テッシュペーパーを折りたたみポリ袋に入るサイズにします。
折りの最後の二つ折りを開いて、ムラサキの種を挟み込みます。

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2.種がこぼれ落ちないように、上からしっかり押さえてポリ袋に入れます。
小さい袋は無理があるのでもっと大きなビニール袋に入れて、折り畳んだ方が良いかも知れない。

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3.袋を平らな状態にしたままで、小さな容器で水を10ccほど差し込みます。
10ccはおよその見当で、テッシュペーパーに水が充分に滲み込む程度と考えました。

Hatuga
4.小さなパック容器があれば、こちらの方が簡単でした。
テッシュペーパーを折り畳んで容器の底に合わせてカットして底に敷き、水をしみ込ませます。
この時テッシュペーパーの中に空気の袋ができ、指先で押さえて空気を出し容器の底を平らにしました。

ムラサキの種は別の容器に入れて水に沈ませ、種の表面に水の幕を作ります。
(浮種は取り除いてありますが数粒は浮くかもしれません、
水が少ないと浮沈がはっきりしないので充分な水量が必要。浮種は取り除きます)

水を捨てて、ムラサキの種をパック容器のテッシュペーパーに並べます。
容器内の水量に注意、種が動く様だと水が多過ぎか? 
種が互いにくっ付いて塊状となりますが、ピンセットか爪楊枝で選り分けて並べます。パックに蓋をします。

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5.容器を冷蔵庫に入れます。
しかし、冷蔵庫の温度は6~7℃。この条件でどのような結果が出るか不明、
従って資料の条件に合うように大きなパック容器を用意して保冷剤を凍らせて
その上に種入り小パック容器を載せてみる事にする。

4
検証実験となれば条件管理が必要、もともと実験設備が全くないので
冷蔵庫の中だけは温度管理、設定もままならない。
このまま3週間冷蔵庫で保管することにする。室内での普通の発芽試験では昨年全て失敗している。
今の所、新たに得た発芽方法の資料が頼みの綱である。



染色工房「くるでーはっと」

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