![](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51s8WK8esOL._SL160_.jpg) | 中国新人類・八〇后(バーリンホゥ)が日本経済の救世主になる! (洋泉社Biz)原田 曜平,余蓮洋泉社このアイテムの詳細を見る |
博報堂の中国マーケティング関連の書籍です。
実は、我が家の鬼嫁も1981年生まれですので、よく言われる80后に属していますし、スタッフ3人もそうですね。お客さんは70年代後半から80年代前半までに属していますので、日本企業のマーケッティングのターゲット顧客という事になります。
といっても、国も広く、同じ人間ですから色々いて共通項を見つけることは容易じゃないのですが、まぁ、上海を見ている限りこの本に書いていることは大体当たっているんじゃないでしょうか。
でも、ちゃんと書いていますが、今の消費者の主力は30代と40代前半です。
・ネットユーザーが多く、ネットが重要なコミュニケーションツールになるというのは同意
・モノ派とこと派に分けているけど、前者の方が多いのではないだろうか。コト派閥=ブランド物はそんなに買わない人たちに関しては、妻もそのタイプですけど、ブランド品の価格と価値がマッチしていない(要は買えるけど、そこまでお金を出す価値を感じない)。後、ブランド品に関して、偽者が頻繁に出回っている事も影響しているように思います。ルイビトンとか、あれは本物か偽者かって必ず話していますね。一品豪華主義だと偽者と思われるんじゃないですかね。
・中国製と日本製で日本製を選ぶ人は沿岸部のほうが内陸部より多いというデータもありますが、この本の中にも示唆されていますが、対日イメージの悪さが影響していると思います。内陸部にすむと不快感を感じる機会が多いと日本人から聞く事もありますので。
・内陸部市場は確かに欧米系は進出を始めています。正直判断が私にはできないのですが、90年代後半アメリカの調査(トヨタとフォード)で、カリフォルニアでは日本車のシェアが高いのに中西部は低い。その理由は日本車(イエローカー)だからというデータがはっきり出ていたと、両社のマーケティングマネージャーから直接聞きました。
という事は、中国内陸部市場に関しても同じことが予想され、進出前にポテンシャル市場を計算する時には、その点は割り引く必要があるのではないかと考えます。ただし、成都のイトーヨーカドーは上手く行っているようですので、実際に内陸部に進出している企業の方の意見を聞く必要があります。
・中国人消費者が「日本メーカーのシャンプーも日本製造の物を買っている。理由は中国の水が汚いから。欧米系は食生活が違うからアジアの日本製品を使う」というコメントが紹介されていますが、その通りです。
日本製品を輸出した場合、関税が高いので最終価格に大きな影響が出ますが中国市場向けには現地生産と日本生産のプロダクトミックスは考える必要があります。
この本いろいろ提言もありますが、実際に物を販売しているわけでなく、クライアントの日本企業をみながら試行錯誤をして仮説を立てている段階というのが、日本の広告代理店の現状だろうと思います(偉そうに書いていますが、僕らも小さな分野で同じようなもんです)。
ただ、今の中国人一般消費者の姿をざっくりと把握するには良書だと思います。できるならば、もっと定量的データが欲しかったですね。定性的データを最初にとってからというコメントがあるのですが、搭乗者は日本になじみのある方が多かったようにも思います(多少偏向しているのではないかという疑問もありました)。
中国市場向けマーケティングって、社会変化も激しく、サンプルとなり日本企業でうまく行っているところも少ないので、簡単ではないですね。実感しています。