日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

面白いっす。データで読み解く中国の未来

2015-11-17 | 中国経済関連
データで読み解く中国の未来―中国脅威論は本当か
クリエーター情報なし
東洋経済新報社


 先々週上海に戻ったとき、著者の農業大国中国って言う家においてあった古本を読みかけて、とても面白いなと思ったので、日本に戻って帰って読んでみました。

 中国の未来と書いてはありますが、第一章は「中国に競り負ける日本」として全体の1/4近くページを割かれています。ここは日本人意外と気がついていないよね。輸出、貿易という視点で国家同士の関係を比較しているんですが、今じゃぁ中国のプレゼンスは本当にでかい。
 
 この中国経済に関して、著者は中国はバブル崩壊という形にはなら無いけど、日本の90年代以降同様失われた20年になる可能性が大と見ていられますね。

で、中国が何するかって言うと既に山ほどある過剰設備の負担を軽減する為にも、何が何でも輸出に力をいれるだろうと。確かにまぁそうなるでしょうね。日本人と比べるとはるかに動きがすばやく、華僑という存在を通して東南アジアは勿論世界のネットワークも広い。既にそれなりの品質のものを作れるようになており、物真似は直らないけどもっと高度なものの真似を始める。そして農民という賃金の安い第二級国民と、石炭という環境には悪いが安い燃料を使い日本と比べると低コスト=安値で煮たような商品を販売していく。

こりゃー日本企業にとってはつらい状況になるでしょうと。。。

石炭については統計が乗っていて驚きました。中国のPM2.5騒ぎって-5年前に北京のアメリカ大使館が騒いでから問題になっています。今年も今のところ改善の兆しは無い。当初はこれは自動車の増加が原因だろうと思っていました。まぁたしかに自動車の増加も大きな要因でしょうが、この中国のエネルギー源内訳における石炭の年間消費量。。

1995年 5億トン
2000年 7億トン
2005年 12億トン
2010年 14億トン
2012年 20億トン

チャートで見ると、同じ高度成長といっても90-93年は比較的緩やかな伸びなんです。それが2003年から急増。そしてそれは工業部門に集中。まぁ中国は改革解放始まった90年頃から一貫して経済成長を遂げてきたのですが、2003年ころまでは多分アパレルとか余り燃料を使わない業界。2003年以降重化学工業とか工業化が急激に進展したという事なんでしょうね。私が上海に住みだしたのが2004年だから、それ以前の10年より。以降の10年の方がはるかに変化は早いという事だ。。まぁこの間にGDPは3倍になっているんだから燃料の消費が倍から3倍になっているのは当然ですか。

インバウンドや市場狙いの人にとって役に立つのは第三章の格差があるから強い。都市戸籍人口は全人口の27%で4億人弱しかいない。この4億人弱は既にそこそこ豊か。1級都市の都市戸籍を持つ人は約1億人。

農村格差について歴史背景を触れられていますが、今の状態は改善しない。つまり9億人はずーっと貧乏なままだろうと厳しく見ています。一方で、食品消費を見ている限り農民は飢えているわけではない、生活は改善している事から農民革命が起きる素地は無い。教養ある都市戸籍者はこれは特権階級になっているから、なんだかんだ言っても現体制を変えようとすることは無いだろう。

不動産も調整には時間がかかる。

てな感じで、まぁ中国が今までのような急成長を続ける事はなく、何れ高齢化社会になって活力も無くなっていくだろう。短期的には調子に乗って脅威になる時期もあるが、おとなしくなっていくだろう。そして9億人もん農民をかかえていることから、中進国から脱却するのも無理だろうと書かれています。

そうなるだろうな。問題はこの本には、中国を角に恐れる必要は無い。でも日本はこのままじゃやばい。そういう趣旨です。面白かった。








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