日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

企業買収後の経営陣

2006-09-29 | 中国ビジネス関連
 中国企業を買収した後、その会社の経営陣を残すか否か。買い手が中国企業の場合は、基本的には買収時点で前経営者には退陣してもらいます。一方外資系企業の場合は残すことも良くみられます。特に中国市場を狙った買収の場合、旧経営陣の持つコネクションの重要性を考慮せざるを得ないからであり、実は弊社も買収した二つの会社のオ-ナ-をそのまま残して今に至っています。


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中国における人材ビジネス事情

2006-09-28 | 中国ビジネス関連
 元リクル-トの方のブログの中に、中国の人材ビジネス事業が紹介されていました。元パソナの相原さんという方の講演に出られて記載されたようです。

 今の会社に入る前、やはり元リクル-ト系の会社と、会計事務所の合弁で設立した人材コンサル会社で、なぜか人事制度設計コンサル業などを営んでいましたので、興味があって読まさせていただきました。



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「水煮三国志」と中国現地法人管理へのサジェスチョン

2006-09-28 | 中国関連書籍書評
 三国志、と表題にあるように三国志演義をベ-スにした中国の経営書です。2003年の夏に中国で発売され、ベストセラ-になっており、書店で題名を見て眺めた事があるのですが、私の中国語力で読めるわけも無くほっておいたところ、昨年日本で翻訳版を見て購入したものです。

 三国志の主な主人公達、劉備、諸葛孔明、曹操、袁紹、呂布等の人物が、現代の企業社会の出演者として、原本の性格に則って様々な活動を行い、脇役の参謀が経営者を指導する形で、企業経営に必要な事柄を解説するスタイルをとっています。

 内容的に読みやすく、一般的な経営書として読めるのですが、やはり中国人の書いている本ですので、特に人材マネジメント関連など中国的な部分も見られ、現地でマネジメントするには参考になる点もあります。

 董卓がマルチ商法の会社を経営し、呂布がその会社のトップセ-ルスマンなのですが、種を明かせば子会員を食い物にしている。こういう形態のビジネスは、エステ、フィットネスクラブ、生命保険、教育トレ-ニング等の業界で見られると書かれています。日本でも同じような面がありますよね、というか、目ざとい中国人はこういう商売をアメリカや日本から学んで直ぐに取り込んじゃうのだろうと思います。中国人の非常に強い拝金志向や、営業に優れた才能(プレゼン能力、根拠の無いはったり平然と示す等)を考えると、こういう商売は向いているのだろうと思います。当然本書の中では、このような事業は長期永続性は無いと記していますけど。

 社員の会社に対する意識として、会社は社長だけでなく自分達のものと考えている。給料と自分のキャリア形成という利益を獲得する為に社員は働いており、これらの保障が無ければ会社を辞める人が続出するという趣旨の事が何度か書かれています。社員向けのインセンティブとして、持株制度やストックオプションを取り入れている企業が多いと書かれていますが、実際に当地で中国人と接して話していますと、非常に有効な手段だと思います。

 中国民営企業に関しては(香港企業や台湾企業も同じ)、既に大企業と言える規模になりながら未だに家族経営の企業が多く見られます。日本でも、関西系の企業は上場企業でもオ-ナ-一族が支配権を離さない企業を良く見かけますが、同じようなカルチャ-があるようです。そして、老板(オ-ナ-)にならなければお金は稼げない、と大半の上海人が考えており、何と上海人の5人に一人が会社を保有しているそうです。人数的に是だけ多数のオ-ナ-がいる訳ではなく、大多数は会社勤めをしながら自分で小さな商売をしていたり、会社のお金を横領する目的で作ったりしているのです。ということは、自分が所属する会社が発展し、その発展に自分が貢献したならば、当然それに見合う報酬が欲しいというのが中国人社員の欲求であり、持株制度などは高いインセンティブになるのです。
 実際に私自身が会社を作ろうと計画していますが、パ-トナ-候補に考えている中国人は、その会社の株主になる事を要求してきています。当初どの程度渡すべきか、等については深く考えないといけないのですけど。

 日本と非常に異なるものに、「にんじんと棍棒による賞罰制度」(飴と鞭)、というもおがあげられています。マネジメントの成功要因として、①職務の権限範囲の明確な設定、②従業員の行動範囲の設定、そして③飴と鞭による管理があげられています。

 ①、②に関しても、一般的に日本企業は弱い部分です。稟議制度というのが日本独自のシステムなのか、海外企業でも同じなのか大いに疑問の残るところですが、日本企業の場合、会社の中の様々な部門が一体何をしているのか、また経営陣にsても何に責任を負っているのか不明なところが多くあります。欧米企業の場合、部門のミッションを定めてこの辺は明確にしていますので、そのミッションを達成する為に何をすれば良いのかを考え、それを部員にブレイクダウンしています。まぁ、会社の中には複数部門に輻輳する様な業務が多くあり、このようなあいまいな部分を旨く対応するのが日本企業の強みであり、部門や個人の責任範囲を明確にした場合、それ以外は何もしないというのが米系企業の弱みと言われていますので、システムの是非は簡単に言えないのですけど、中国では欧米スタイルの方が向くということですね。(問題は、米国企業ではマネ-ジャ-以上になると上記の部門間や、部員間の狭間の業務をフォロ-したりして、残業も厭わず猛烈に働くのですが、中国人管理者に同じ事を期待しても極めて難しいです)。

 ③の飴と鞭に関しては、中国以外ではマネジメント論として異論が多いところではないでしょうか。前職時代オ-ナ-社長から「管理職のしてはならない13の事(題名は性格ではないです)」を読めといわれたのですが、人を利益で操作するのは悪いマネジメントの典型とされています。しかしながら、中国において人事関係の本を読んだり、経営者の話を聞いていますと、結構極端な信賞必罰制度を採っています。ハイア-ルが典型でしょうが、中国人は性悪説の観点に立って人を見るようです。その辺日本人は甘いですよね。

 権限委譲。本の中では、劉備が呂布に会社を則られるという場面がでてきます(三国志演技の中でもありましたよね)。その原因として、呂布を支配下に置くための権限を捨ててしまい、権限放棄をしたからだとされています。中国人社員を中国責任者にしている(日本人総経理の場合にも)日系企業にはこういう事例が非常に多く見られます。
 権限委譲に辺り、①業務の目的・達成時期・達成後の評価、責任範囲の明確化と伝達、②定期的な文書、上司との面談による進捗報告を制度として実行する事、③業務の達成状況、管理状況、プロセスの評価、が必要とされています。経営管理の面で言えば当たり前の事なんですが、実は日本企業の海外オペレ-ションに関していえば、この点が非常に弱いです。
 欧州企業と米国企業では方向が違うのですが、内部統制や経営管理は基本的にファイナンス(財務・経理)が行います。欧州企業の場合、日本法人でも本国から派遣した人をCFOに於いています。一方米系の場合は日本人にCFO職を与えている事例が多いのですが、大企業でも年に1回2週間から1ヶ月、中堅どころだと四半期に一度本国の内部監査チ-ムが現地法人に出張してきて問題点を徹底的に洗い出します。中国に関しては、大陸中国人に経理財務の長を任せている外資系企業はおそらく日本企業くらいしかないのではないでしょうか(それでも大企業は日本人を派遣していますので、日本語の出来る経理財務系で使える人は極めて限られています。

 現地法人の業績は悪い、だけど何故悪いのか解らない、そういう声を非常に多く聞きますが、実際に現場にいけば経営陣が真面目に働いていない、不正行為が行われていてコスト高になっているとか、結構直ぐに解る物なんです。でも、本社側にこういう認識がない企業が多いですね。
 




水煮三国志

日本能率協会マネジメントセンター

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大地の咆哮 上海領事が見た中国

2006-09-28 | 中国関連書籍書評
 私の父が、所謂キャリア官僚で、親が自宅を購入した高校3年までは公務員住宅で暮らした事も有り、子供の頃周りにいる大人の大半が官僚でした。非常に厳格な父親で、今であればDVじゃないかと言えるような家庭教育を受けたものですから、反発してぐれてしまった時期もあります。総じて教養レベルが高く(文官です)、頭脳も明晰な人が多い、また社会的地位も高い反面、プライドが異常に高く(東大法学部以外は大学じゃない、てな事を平気でおっしゃります)、傲慢そのものの姿を見て育った為、今でも官僚と言うものに対して個人的に反発心を持ってしまいます。 

 この本の著者は、現役外務官僚の方で、最近話題になった上海領事館員の自殺時の領事だったそうです。但し、末期癌との闘病生活中にこの書籍を上梓されたということもあり、保守的な官僚とは思えない個人の意見や、過去の日本の外交政策に対する著者自身の批判的なお考えも記されており、非常に興味深く読めました。

 靖国問題について触れていますが、ちょうど安部政権に代わり、新政権が靖国問題にどう対処するか見ものであります。何せ最近の中国の報道や態度を見ていると、期待反面、思い切り圧力をかけて来ていますので。

 なにはともあれ、この本は、中国駐在、また中国ビジネスに関わる人の必読書の一つと思います。著者はさすがに30年も外交の一線で中国と格闘されてきただけに、日中関係、ODA問題、靖国問題、中国の抱える内部矛盾など切り口が鋭く、かつ評判の悪いチャイナスク-ルの中国よりの意見ではなく、あくまでも日本人として冷静に現状分析とと日本のなすべき事を記されています。

 台湾の外省人が中国側とつながって、李登輝総統の方針や日本との関係を中国に流すとか、胡耀邦主席の失脚の背景と現在の胡錦涛主席との関係、ODAの申請人かプロセスにおける日本のプレゼンスの無さなど、一般企業の人間には中々実態が分からない部分については非常に勉強になります。

 日本の国益として中国安定のためにどこまで貢献すべきかという定義もなされていますが、一日本人としてみた場合、このような巨大かつ矛盾した国がこのまま発展していく方が良いのか、どこかでつまずいた方が良いのかは軽々に言えない様に思います。

 それにしても、外務省入省者で、ロシア、アラブ、中国を担当される方は、3年間も語学研修を受けるのですね。英仏独語圏が2年であるのに対し、言語が難しいからとの事ですけど、こういう基礎教育を2-3年も受けれると言うのは羨ましいです。まぁ、これらの国に行きたい人は今でも多くは無いと思いますが。。

大地の咆哮 元上海総領事が見た中国

PHP研究所

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中国におけるM&A

2006-09-27 | M&A
 中国における外資規制業種への参入を目指す一つの方法としてM&Aがあることを述べました。買収と言っても、仕組みとしてはBVI(英領バ-ジンアイランド)やケイマンにペ-パ-カンパニ-を作り、その会社から外資系企業を中国国内に作る。その外資系企業と中国独資企業が提携関係を結ぶ、という形になっており、中国国内においては、表面的には中国人の経営する中国企業の活動として見られます。ネックとなるのは、外資系企業と中国企業との間はあくまでも契約で縛っており、資本関係は持てない事にあります(49%以下とかのレベルであればよいのですが)。その為、現実に中国企業の中国人経営者と、外資企業側でトラブルが発生した時、裁判で本当に勝てるのか、実質的に違法な行為をこの外資系企業が行っているものとみなされ、フリを被らないか、等のリスクを100%払拭する事は出来ません。

 そして、買収する対象となるのは中国国内の企業ではなく、その企業を保有するタックスヘイブンにある持ち株会社の持分の売買と言う事になります。IT業界等は欧米系を筆頭に様々なベンチャ-キャピタルが投資していますが、その投資の際に中国国内企業から外商投資企業へのスキ-ム変更を行っているようです。

 こういうスキ-ムを最初に考えた人は非常に頭が良いと思わされますが、一般的に見られる事例では、中国人が自分の会社を作り、その会社を米国や香港等の海外で株式公開する、もしくは第三者に売却する事が始まりだったのと想像します。

 ご存知の方も多いでしょうが、中国の個人所得税は年収で10百万円を超えると非常にラフですが35%,18百万円を超えると45%となり、日本ほど所得控除がありません。その為、事業を展開してお金を持っている中国人は海外のタックスヘイブンに会社を作り、自分の企業をその下につけて、中国国内の税金を逃れています。このような仕組そのものも会社設立代行業者が行っており、業種や資本金規模により異なりますが、安ければ30万円程度から設立することができます(日系コンサルだと単純に日本からの外商投資企業設立だけで100万円近くするみたいです。実際には地元の下請け業者にやらせているのですけど、日本人コンサルが日本人への説明を丁寧におこなっていますので、こういう値段になるのでしょうね)。

 中国国内は、おそらく日本よりもM&Aに積極的です。レノボがIBMのパソコン部門を買収したとか、カザフスタンの石油会社買収、アメリカの石油企業を買収私用としたなど、最近新聞をにぎあわせています。日本でも、工作機械の池貝や、秋山印刷を上海の企業が買収しています。

 中国企業のアウトバウンドの買収の場合は、ブランド獲得、資源獲得、技術獲得の大きく3つを目的としているようです。資源に関しては今後の中国経済の成長を支えるボトルネックの一つが石油等資源の不足にある、技術も、これだけの急成長を遂げながら輸出もGDPも半分近くを外資系企業が稼いでいると言う外資依存状態を脱却したい、等等お国を上げての取組みのようにも思わされます。

 一つ気に入らないのは、中国政府も企業も、中国のばら色(疑問視もありますが)の大きな市場を旨く見せながら、アメリカの株式市場で資金調達したり、米系金融資本から投資を集めたりして、その資金を元に海外企業を買収しようとしているように見受けられることです。日本の場合、ネット系の株価が世界的に見ても奇妙に高い反面、十分に優良な製造業企業の株価が安く、また、再生案件等も結構あることを懸念します。海外企業の日本企業買収に関しては、表面はともかく実質的に色々な規制があると聞いていますが、他人の技術を盗んで自社で研究開発をしない企業に、今まで蓄積した日本企業の技術ごと買われてしまうことを懸念します。



 
 
  

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栄家の血脈 (CITIC物語)

2006-09-25 | 中国関連書籍書評
最近読んだ本ですが、投資関係の方であればご存知でしょうCITICという企業の創立者一族に関する小説です。CITICという企業名について、私は中国に車では良く知りませんでした。金融・投資・不動産を中国本土で手広く行っており、江沢民と関係が有るという事だけ中国人から聞いた事があります。
 たまたま、1年半ほど前、ある日本の方が、この企業のオ-ナ-の姪っ子と知人であり、その関係で日本の商売を中国に展開したいから手伝わないか、といわれて興味を持った次第です。

 上海に住んでいますと、共産革命前の上海の金持ちは大半香港に逃げたと聞く反面、旧疎開地域に住む上海人から、昔は私の家は会社を経営していてお金持ちだったのに、という愚痴を聞く事も結構あります。一般的な小金持ちの場合、資産は全て政府に没収され、一家没落になったケ-スが多いと理解していたのですが、やはり例外はあるようで、この本の主人公、栄毅仁、栄智健親子が典型ですね。

 日本でも、三井・三菱等の旧財閥の成長の最大の要因は、維新政府幹部との深い繋がりにあった事は衆知の事実ですが、現代中国のお金持ち達は同じような経緯をたどって成長しているのだと思います。まぁ、事業成功の可否は政府とのコネによる事は有名んま事実ですけどね。今の中国のそういう問題に対して色々非難の声が多いのですが、元々日本も似たり寄ったりだったのだろうと考えるべきでしょうね。私の場合、最初の会社がゼネコンで、かつ何故か社長秘書などをごく短期間務めていたこともあり、ある分野における日本の実態は中国と大差ないじゃん、と思います。

「栄家の血脈」自体は、清朝、国民等時代、共産革命、その後の文化大革命と解放改革と、日本と比べても激動の時代であったこの100年間、中国の資産家一族がいかに駆け抜けてきたか、という側面での小説としても面白いですし、現代中国でのビジネスの成功要因など、ビジネス書としても十分に読み応えがありました。

 事業成功要因として、政府との強いコネに加え、成長する事業をベ-スに借金をしまくり、その借金を全て次の事業に突っ込んでいく、という考え方は、かっての日本の不動産バブル時代を思い起こさせますし、借金が投資に変わっていますが昨今のインタ-ネット関連企業を想起させます。個人的にはバブル崩壊の真っ只中で所属した会社や、一時は一斉を風靡したお客さん(不動産屋さん)達が死んでいくさまを見てきただけに、現在のネット関係企業のカルチャ-には大きく違和感を感じるのですが、市場が成長している時には、栄家と同じような動きをしないとその中で勝つ事は出来なのではないかと思わされます。



栄家の血脈―激動の大陸を疾走する赤い資本家の誓い

東洋経済新報社

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小説「店頭株」公開 

2006-09-25 | 中国関連書籍書評
 中国関連ではないのですが、アフィリエ-トの練習を兼ねてご紹介します。
何を隠そう、今私がいる会社も、東京マザ-ズに株式公開をしようとしていました(まだそういう方向性を検討しています)。近年、中国企業がNASDAQや香港市場で株式公開し、資金調達をする事例が多く見られます。

 中国にも、上海、シンセンに株式市場があり、相当な数の企業が上場されていますが、実態を言えば、株式を上場できる企業は国営企業に限られています(例外もあるかもしれません)。また、その株価に関しての不明朗さは有名なもので、株価を左右する要因に、上場企業の背景に、現在の共産党幹部がいるかいないかが大きな要素になります。例えば、上海の当方明珠という高層タワ-は上海の代表的建築物ですが、このビルを所有するテレビ会社のバックは江沢民だから安心だ、ということが日常のようにいわれています。

  その為、民間の中国企業は国外での株式公開を目指しており、ネット系では、NASDAQにSINA, SOHU, TOM,等、モバイル系の空中網、Linktone, Hurry等の企業がADRを公開しています。

 さて、この本を90年頃に店頭公開した、ニッチマ-ケットに強い日本のIT企業を舞台に、株式公開に伴う非常にドロドロした公開株のやり取り、ベンチャ-にありがちな、オ-ナ-企業の弱みを描かれています。

 公開業務そのものへは、踏み込みはあまり無いですし、小説としてこなれているか疑問に思います。但し、店頭公開よりも敷居の低いマザ-ズ公開企業などへの株式投資を考えている方は、一見の価値があると思います。ライブドア事件以降だいぶ落ち着いたとはいえ、新興市場への注目度はまだ高いみたいですから。

 私自身、最初の会社が誰でも知っている建設会社、2回目が業界2位のリ-ス会社、3社目がこれも誰でも知っている米国企業をへたのちに、一部上場とはいえベンチャ-に近いオ-ナ-企業、JASDAQ企業とサラリ-マンをしてきました(途中で何度か自分でやっていますが)。正直、大企業に勤務していますと、その環境が当たり前になります。私自身が最初の転職で驚いたのですが、会社組織の意思決定そのものは別にして、社宅を含めた福利厚生面、給与における退職金の基数の計算の仕方(基数となる基本給は最低賃金にしておいて、年某は全て手当で支給する企業がある反面、外資の時は年棒が全て基数)等、同じ上場企業と言ってもその中身は全く異なります。

 この小説にでてくるNACという税理士向けコンピュ-タ企業のモデルがどこかはしりませんが(弥生会計とかですかね?)、少なくとも私の知る限り、非常に多くの若いIT関連・Net関連企業は同じ体質を持っています。一読しますと、こんな会社が株式を公開してその後どうなるのか、と思わされますが、一旦株式公開すると、一種の打ち出の小槌を得たようなもので、そう簡単には倒産しないんですよね。社会は不思議だと思わされます。


小説「店頭株」公開

かんき出版

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中国企業買収のメリット・デメリット

2006-09-25 | M&A
 外国企業が中国に進出する場合、合弁、合作、独資の3つの形態が一般的です。

 合弁とは所謂JV(Joint Venture)の事で、80-90年代に進出した日系の製造業の多くはこういう形をとっています。何故合弁するかと言えば、当時は中国が政策的に外資企業の中国進出に当たって国営企業との合弁を求めた事によります。中国側の目的は、合弁形態によって外資系企業のノウハウ(技術、経営管理等)を吸収しようとした事にあります。一方中国に進出する外資系企業側も、中国でのマネジメントや販路開拓については地元企業と合弁で進出した方がメリット有り、と考えて事もあります。2000年以降、徐々に中国側もWTO加盟もあり、徐々にこういう規制を解除してきており、結果的には多くの合弁企業が、外資系独資企業に業態変換をしておりますので、よく言われるように、合弁企業における経営管理の難しさが表に出てきたのだろうと推測できます。

 合作も合弁と同じようなもので、資本出資はしないものの、実質的には中国企業と共同で業務を進める事を目的に作られます。人材紹介業等、外資系企業に規制がある業態は、こういう形が多いようです。

 独資は、外資系100%企業を指します。まぁ、外資系複数者が出資した企業も、扱いとしてはこの分野に入れても良いと思います。何といっても合弁企業で合弁相手に振り回される事無く外資企業独自の意思決定で経営が出来ますので、ここ数年中国に進出している企業は大半が独資です。

 さて、M&Aを行うメリットは、一般的には「技術の獲得」、「市場の獲得」の大きく2点にあります。M&Aは時間を買う、と言う表現がありますが、自社が独自でゼロから研究開発をしたり、マ-ケティングをしながら市場を開拓すると5年、10年という単位で事業を進めるのに対し、既存の企業を買収すれば、旨くいけばそれらが直ぐに手に入ります。

 一方中国に関しては、上記に加えて「外資系企業規制業種にかかる事業を行う」という形態があります。インフラ関連、情報通信、マスコミ関連等は未だに外資系100%出資の単独では行えない事業が多く、そういう業種に属する企業は中国のきぞんの企業を買収して、同事業を行います。もちろん、厳密に言えば法的にはグレ-ゾ-ンになりますので、中国政府の政策や方針次第ではこれらの事業は中止に追い込まれるリスクが無いとはいえません。

 実は私が所属する業種はこの最後の例に属します。もちろん時間を買い市場を獲得すると言う目的も非常に大きいのですが、なにぶん外資系が単独で出来ない業務を、実質的に100%出資になるような逃げ道を作って事業展開することにしました。この辺は、日本ではまだ事例が少ないようですが、米国に株式公開している中国企業の目論見書やアニュアルレポ-トを読みますと、概要が記載されています。まぁ、法律上の規制はあるけれど、リスクはあるが、事業が出来ないわけではないと考えてください。

 そうはいっても、マスコミ関係になると許認可も非常に厳しいので、外資が入る事は現状不可能ではないかと推測します。
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中国企業の支援業務

2006-09-25 | 中国ビジネス関連
 金曜日の記事にトラックバックが張られていました。初めてしたのですが、秘書派遣を事業とされている方からで、中国ビジネス向け秘書の採用代行を行われているとか。
 


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日本企業の中国の経営管理って

2006-09-22 | 日本・日系企業
 今私のところにはHさんという北京出身の中国人の人がいます。実は今の会社に入って、持ち株会社のCFO, 中国現地法人2社の董事長を兼務しているのですが、実際に使える部下と言えば彼1名しかいません。

 何故そんな常態かと言えば話は長くなるのですが、結局中国企業を買収し、その元社長を現在の経営者として於いている為に、彼の意向にそぐわないような人は採用できないし、採用してもスポイルされてしまうのです。本社に何言っても理解は出来ないようですが、この中国で、人事権を持てないと結果として何もする事が出来ないのと同じ事なんですよね。

 まぁ、詳しく話すと長くなりますので機会を改めて記述するようにしたいと思いますが、今の会社の本社の管理体制について、良く是だけの投資をしてこんな管理をしているよなぁ、今後現地法人をどうしようか、という話を良くしています。唯、彼が今まで経験した日系メ-カ-のいずれもが、同じような課題を抱えているようです。結局現地法人の経営が旨くいかず、赤字を垂れ流しているにも関わらず、本社側はどうしようか、どうしようかと不毛の議論を続けるだけで、具体的なアクションは何も起こさないようですね。

 一方、稟議制度とか色々な縛りを現地法人派遣者に入れてくるので、現場で問題を抱えて解決しようとしても、何もできなくなると言う四面楚歌状態になるようです。まぁ、この1年弱、今の会社に携わってきましたが、これが一般的な日本企業なんだろうなぁ、と思わされます。

 愚痴っぽくなりましたね。決算数字を見ていると、ちょっと嫌になってきます。。 
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