ヤクルトさんの記事がダイヤモンドに掲載されました。中国でうまくいっている数少ない日本の消費者市場向け企業さんです。
http://diamond.jp/articles/-/12376
記事より:
・国内市場が縮小する日本企業にとって海外市場、とりわけ新興国の開拓は大きな課題です。その中、食料品という国内市場中心の業界にありながら、すでに営業利益の半分以上を海外で稼いでいる企業がヤクルト。
・ヤクルトが特に強いのは、中南米のメキシコやブラジル、それにアジア諸国といった、新興国市場。
・2011年3月期決算は、売上高3060億円(前期比+5%)、営業利益204億円(前期比+7%)。特筆すべきは海外での実績。ヤクルトは海外の31の国と地域で「ヤクルト」の販売を行っており、1日あたり約2000万本を販売している。これは国内の販売本数の2倍になる。結果として、海外での営業利益が130億円となり、営業利益の半分以上を海外で稼いでいる計算になります。
・食料品、飲料品は地域ごとの嗜好性が強いため、自国の商品をそのまま他国に持ち込んで販売するのは、一般的に難しいといわれています。また、各国で販路を築くのが一朝一夕では困難で、その2点が日本の食品メーカーがなかなか海外進出できないネックになっているが、ヤクルトはうまくやっている。
・ヤクルトの海外進出は早い。1964年には台湾で営業を開始。その後1980年代初頭までにブラジル、香港、タイ、韓国、フィリピン、シンガポール、メキシコなどの各国に順次進出していきた
・販売方法も独特で、量販店経由より日本同様のヤクルトレディによる販売を重視。これは、ヤクルトの商品の効能を消費者に丁寧に伝えるためです。海外のヤクルトレディは日本とほぼ同じ約4万人。彼女たちが、日本でもおなじみの小さな容器のヤクルトを1個1個販売しています。
・海外進出に当たり課題は以下になるが、それぞれうまく対応してきた。
①商品の現地化
②販売方法の現地化
③商品の販売と一体化した啓蒙活動
いずれにしても「新興国開拓は苦手」というのが全般的な日本企業への評価になっていますが、ヤクルトは身近で立派な成功事例として、もっと評価されていい事例でしょう。
⇒ヤクルトさんに関しては、何度か触れたことがありますが企業規模の割にはしっかりしていると思っています。
H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 CAGR
sales 247,506 267,707 273,099 317,355 293,490 290,678 305,944 3.6%
OP 25,792 31,785 33,607 31,479 25,352 24,724 25,788 0.0%
JP 204,299 211,653 210,802 240,841 217,948 223,935 234,271 2.3%
US 22,427 30,744 34,428 42,417 42,385 34,545 37,585 9.0%
Asia 10,219 13,133 14,766 18,552 20,232 22,475 25,477 16.4%
EU 10,649 12,176 13,102 15,523 12,923 9,671 8,608 -3.5%
海外計 43,295 56,053 62,296 76,492 75,540 66,691 71,670 8.8%
drink 215,585 229,684 233,138 271,134 244,191 241,352 254,869 2.8%
Pherma 17,796 24,246 25,698 31,003 35,325 35,079 33,878 11.3%
Others 14,124 13,776 14,262 15,198 14,063 14,246 17,197 3.3%
247,505 267,706 273,098 317,335 293,579 290,677 305,944 3.6%
国内飲料 172,290 173,631 170,842 194,642 168,651 174,661 183,199 1.0%
さくっと有報みてみたんですが、この7年間で会社の売り上げは年平均3.6%伸びている。
その中でも伸びているのは飲料のアジアと米州(メキシコとかですね)、新規事業の医薬。
国内飲料も何とか伸びているんですね。
記事内の販売本数で海外が2倍の本数を売って利益の半分を稼いでいると書いていましたが、飲料が同じ商品かどうかは置いといて、日本の売り上げがまだ海外の倍以上ありますね。ということは海外の販売単価は日本の4分の1というのが単純な計算結果なんですけど、中国に関してはそこまで安くはないけど日本よりは安いですね。価格戦略を現地事情に合わせているということでしょう。
後、アメリカと中国に関してはヤクルトの瓶の大きさが日本よりかなり大きいです。本数だけじゃないだろうな。
中国に関しては、当初はヤクルトレディのみで始めたようですが、今では広告もしっかり打ってスーパーなどにおいています。
中国法人のきものポジションの人のうち二人は、中途採用で、かつアメリカ帰り。でも本社でしばらく働かせていました。この辺見て古臭そうな割に、しっかりしているなと思いました。食品業界とか、私の世代では就職に人気がない分野で、企業規模も売上5000億円以下だと、まぁ最初から英語でビジネスができる人は新卒雇用できていないと思うんですよね(バブル世代以上)。会社の中でもそういう経験がつめていない。だから海外進出になると、中途採用を考えなきゃいけない会社は多いはずなんです。特にドメスティック市場しか知らない消費財系は。別に英語ができるから出来が良いんじゃなく、海外慣れした奴をうまく使いこなすという意味でですよ。
まぁ歴史を見れば実は海外経験豊富なんですね。
最後に、記事の中に突拍子もなくP&Gの名前が出てきました。
・BOP市場で成功しているアメリカの日用品メーカー、P&Gはシャンプーを1日に使う分量に小分けした使いきりパックで新興国市場を攻略しています
これは重要ですよ。ジョンソンエンドジョンソン、ネスレも似たようなことして成功しています。何故なんでしょうね?昔ブログで書いたんですけど、まぁ自分で考えることですね。 はは、偉そうですね。。