2009年も終わっちゃいましたね。昨年末は400万円近い荷抜きをされて、非常に暗い正月を過ごしたのですが、まぁ沢山課題はあるにせよ今年は比較的良い年末を迎えることができました。概算ですが、今年1年は売上は8千万円強。月商は伸びていて今月は概算ですが約95万元=1200万円位で着地(100万元には届かず来年の目標となりました)。円高のおかげで為替が20%程度下落した事考えるとまぁ好調といえました。昨年の損害取り戻したのは8月と、おかげでかなり予定が狂って、未だに荷担ぎやら、箱詰め作業まで老体に鞭打って振り回され続けていますが。。
本当に、この7月までは、完全にオペレーションと立ち上げに追われ、8月以降も日本にいる父と祖母の健康問題で、結構余計な時間を取られてしまい。次のステップへの移行に関しては、10月に素晴らしい方と出会えたことからようやく進められるという状況でした。当初の絵からみると、半年は完全に無駄に時間を過ごしてしまいました。結構自信過剰な方なんですけど、ビジネスは甘くはないですね(別に中国と言わず、どこででも)。
話は変わりますが。
最近化粧品に関して幾つかのご相談を受けました。その中で上海に住んでいる日本人の方が、日本の某メーカーの化粧品を中国で販売する。費用自分もちで許可は取り、在庫を数百万円抱えているが、今後どう販売するかで悩んでいるというものでした。
私にも似たような話を振られたことがあります。メーカー側は、「日本で成功しているブランドであり、雑誌にも掲載され、楽天で上位にいる」。「中国からのアプローチも受けている。君がやりたければ定価の60%で商品を卸してやるから、後は好きに売ってくれ」というものです。
私自身は、最近は大阪と福岡のパートナーを通して、有料でサイトに掲載する。客の反応を見る、調査をする。こういう形態しか基本うけませんと答えています。最低限在庫リスクは僕らは負担しません。それを聞くと、なんて強欲な!なんて反応を受けます。
しかし、限られた資金を有効に使い、少ないとはいえ従業員を守ることを考えると、自分で在庫リスクを負うのは確実に売れる商品だけか、自分らの次の発展の為のテスト商品しかありません(当面妻主体のベビー関連)。そして、中国で小売として成功しようとしたときに、日本だけに拘わるわけには行きません。ベビーに関しては日本でも一流どころは欧米商品の様ですし。食品も今は、台湾、香港、イタリア、アメリカ製等も扱い始めました。
上記の企業と接して思ったのは、日本でそこそこ成功しており、商品には自身がある。当然中国でも売れるはずで、俺らが君に売らせてやるんだ。後の費用負担なんて、当然君たちがやるべきで、俺らの知ったことじゃないというように聞こえてしまいます。
さぁ、こんな強気のメーカーって結構いらっしゃるんですけど、日本で同じような態度が小売に取れるのでしょうか?もしかしたら日本は市場が縮小しているので小売側が頭を下げて売れ筋商品を扱いたがるのかもしれません。でも今の中国では世界中から物を売ってくれと言うオファーが腐るほど来ますので、こちらの小売は非常に強気です。
小売業界を勉強してみると、成城の大久保社長のおっしゃるように、メーカーがどれだけ広告宣伝をするかを見て本気度を測り、本気度の高い商品を店頭でも積極的に販売する。
これが小売本質の一つであり、何のリスクも、広告宣伝もしない企業なんて相手にしてたらこっちがたまらない。日本でもディスカウントショップ等は現金仕入れをして在庫リスクを負う代わりに安く売る。一般の多くの小売店舗の商品は実はメーカーが売れ残りを引き取ってくれるものが多い。こういう実態を、この事業を始めた頃は知りませんでした。
同じような話は山ほどあると思います。中国ブームで、中国に関連した私のような方が、中国市場に日本商品の販売をする話も山ほどあるようです。
同じアウェイの中国で戦っている身として個人的意見を伝えます
まずタオバオの上で、在日中国人の方がその商品を販売しているかどうか。そして売れているかどうかを調べること。そして価格帯を見て、様々な許認可を経た上で利益が上がるかどうかを見ること。
タオバオで一つも売られていない商品は、リスクが高いと認識すること。これだけの在日中国人の方がいて、あらゆる商品はタオバオに出店されている。僕らのような大手の売り手も在日中国人にはたくさんいる。言い方を変えると、タオバオに出ていない製品は、日本でどれだけ売れていようと、在日中国人の方にとって売るメリットの無い商品と言うことになります。在日の方の場合、サイトで販売し、売れたら日本で購入して中国に送ればよいので在庫リスクはありません。そういう状態でも売られていない商品は、その商品には現状魅力が無いと中国人が判断している商品です。メーカーは中国からアプローチを受けていると言うでしょう。僕も言われました。でもその時どういう条件だったのか。そして条件が折り合ったとして本当に中国側が購入したか。中国人は積極的に様々な日本商品にアプローチしていますので、過去一度もアプローチを受けていない商品は基本的に中国人が見て魅力が無い。そういう意味では、アプローチを受けた魅力のある商品でも実際には中国側の要望はコマーシャルベースに乗るものではないのが一般的。
中国で生産し日本市場に販売する事業は、生産機能の中国への移管であり、工場設立、従業員の教育。多分従業員の教育と日中の差を埋めることが課題であり、顧客が日本にいれば、基本それですみます。それでも苦労している企業が多いですし私も苦労しています。
しかし中国で販売する。となると製品が日本製であろうが中国製であろうが、その製品のブランディング、というよりまずはその製品の存在を知ってもらうことから始まります。ソニー、パナソニック、トヨタ、キャノン、資生堂、この変の日本の超大手ナショナルブランドならまだともかく、売上1千億円程度のブランドでさえも中国で販売するには日本で会社を立ち上げたのと同じ努力が必要になります。
そう。中国市場の販売は、企業にとって第二の創業と同じレベルでの投資と努力が必要なんです。これは中国と言うより海外どの国でもその市場での販売は同じはずです。
それを中国生産と同レベルで考え、中国経験があるからといって生産系の経験しかない人を配属し(これは販売系の人材が日本人、日本語のできる中国人共に極めて少ないのでやむをえないですが)、十分な投資もしない。
失敗するのが当たり前なんです。
個人レベルで取り組む場合(資金も含め個人)、こういう投資もしないメーカーを相手にするのは本当に危険です。考えてみてください、ごく一部の大企業を除き、上場企業ですら海外経験があり、言葉(英語レベル)のできる人も少ないんです。自分の商品を海外に出そうとすれば、当然出張して自分の目で市場を調べる。何を売るかの商品選定、物流、広告、全ての企業活動を自分で行うのであり、最低でも一人を雇用し出張費も含めれば年間1千万円は安くてもコストがかかるでしょう。
上海で事業を立ち上げるには、最低2-3億円必要と言われます。これは、中国人、香港人全てから言われますし、おそらく体感として事実です。これだけの投資をしないといえば、中国側の対応はころっと変わります。まぁ、彼らにとって利益を取る機会の無い事業とおもわれるのでしょう。お金目当てでコンサルがふっかけているんだって、思う方もいるでしょうし、私もそう思いました。しかし、上海に関しては実業的に成功しようとすると、その程度の資金が必要だなと思わされます。個人じゃ無理ですね。そして、その数億円を投資しても失敗した日本の大企業がたくさんいます(これはやり方の問題も大きいですけど)。
数億円の投資ができないメーカーの商品は、今の段階の中国では成功は容易ではない。そういうものは、ついで買いニーズに乗せ、口込みマーケティングなどのゲリラ的な活動で動かすしかない。でも、中国市場で本格的に販売するには、広告宣伝投資をして市場に認知してもらう必要があります。
正直、タオバオでもB2Cでもネットだけでは無理。ネット広告のポテンシャルは、お金持ちの世代が若いだけに日本より高いと言われます。でも一方、商品知識が少なく、偽者や詐欺師の多いこの国では、商品を手に取る、商品を広く見る、そういう機会が無いと、どんなによいものでもそれを消費者に伝えるのは日本より難しいです。今の中国で無名企業の地方特産品が日本の楽天の様に売れるとは思えないです(中国国内の地方の名産品でも)。だってどうやってそれが本物だってネットで示せるのでしょうか?日本語のサイト?でも難しいんです。いずれご紹介する事もあるかと思いますが、実在しない日本企業名の、丸っきりの偽者をメイドインジャパンとして販売して、綺麗に見せて結構売れている物があるんです。買っている人が偽者と認識しているかどうかは知りません。自分で販売する日本商品を探していて見つけたんです。聞いたこと無い会社と商品名だったので、サイトに掲示されている商品の写真に印刷されている会社名、商品名を調べても実在しないんです。ずっと調べて全くの偽者だって事が分かったんです。酷すぎるんですこの国の商慣習は。そりゃ、出所のはっきりしない商品って、日本製といっても怖くて買えないですよ。中国では。こういうのを非難しても、直りそうも無いじゃないですか。
そして、個人レベルで中国でブランド力の無い日本商品を自分のリスクで販売するという方へ。
極めて厳しい挑戦です。一つ知るべきなのは、化粧品で言えば、原価は10-20%程度。広告宣伝費が30-40%程度。販売管理費が30%。営業利益が20%っていうところがメーカーの利益構造じゃないでしょうか。そし下代が定価の50%-60程度。卸や小売があわせて40-50%の利益を分け合う構造。下代の20%程度はメーカーの広告宣伝費でのはずなんです。
そう考えると、中国側の代理店が全てのリスクを負う場合、仕入価格は日本の定価の30-40%がマックス。メーカーが日本で負担している広告宣伝費や許認可費用は当然控除した上で値段を決める。その代わりに代理店が自分で許認可取得や広告宣伝を行う。これがフェアな取引のはずです。日本での下代で仕入れて、残りを自分でやるという事はかなり無謀です。
というか、計算高い中国企業がそんな条件を受け入れる可能性は限りなくゼロです。だから、中国からアプローチ受けていたって条件はかなり厳しいのが当たり前。多分定価の10-20%で引き取りと言うのが一般的でしょう。
複数の日本のかたから「こういう新しいものを中国で販売することが、本当の挑戦でしょ」と言われます。確かにそうですし、自分に体力がつけばやっていくべき分野です。でも、まずはそう言う発言をする人は自分が投資をすべきですね。私は日本人で中国人を雇用して中国で事業をしている。日本企業の社長と同じようにまず考えるべきは事業の発展、と雇用の確保(つかえなきゃ切りますが)、その前提の上での新しい挑戦、当たり前じゃないでしょうか?そして、自分たちでリスクを大きくとるなら、やはり中国市場を見ながら中国人の意見を聞きながら、自分たちに合った形態でリスクを取らないと。そして、その場合はフェアな条件じゃないと。甘すぎるんだよ。自分はリスクは負わずに好き勝手理想や理屈をほざく。どこまで寝ぼけているんだ。と言いたくなります。理想や夢じゃ飯は食えないんですよね。ネットバブル以降勘違いしている人が非常に多いなあと感じます。
僕らが提供しだしたテストマーケティングプランは、当方の感覚としては少ない固定費と20%の売上歩合を要求しています。似たような所と比べ歩合が高いと言われますが、営業手数料(私は日本にいませんので、かなり営業の方に負担をかけてしまいます)、商品の翻訳掲載、反応のチェック、が固定費。私の折衝手間賃も出ないレベルと強欲に思っています。売上歩合は当然上記の考えを踏まえています。だから、利益率の低い商品を扱う小売店舗は参加できないと思います。僕の目的は、様々なメーカーに中国市場に本気で挑戦して欲しいんです。
多分、サイトに載せただけでの反応は多くの期待はできません。購入客が8000名弱ではまだ足りないんです。もちろん、B2Cの会員の購入率が日本では1-2%である事を考えれば会員数40-80万名のB2Cのサイトとと同じ位の効果はあるんだと言いたいんですが、月間来店客はまだ4万名しかいません。PVも20万程度なので、正直知れています。一方、来店客が徐々に増加しているので、露出も多少は可能だというところです。
嫁が小遣い稼ぎで始めたタオバオに、私がどっぷりつかる事になったのは、事故の処理もありますが、「個人でも(低コストで)中国人に日本製品を売れるか?」と言うのが発端です。走りまわって1年があっという間に終わっちゃいました。
タオバオは、中国市場に向けた有効なツールです。使い方は色々あります。でもタオバオだけ、嫌ネットだけじゃ駄目なんだと強く思うようになりました。当初の期待は外れた面もあります。唯、参入障壁が低く、多くのクラウン店舗も売上自体はたいしたこと無い=資本力は日本の個人の方がある、と言う面でチャンスはまだ色々あります。一方、B2Cのサイトは、今のタオバオの存在を考えるとほぼ意味が無いでしょう。楽天がモール中国版を作り、日本の出店者をそのまま中国向けに窓口を作ると面白いですが、様々な法的な問題と、結局は物流コストの問題で、中国で売れる商品はタオバオに流れてしまうでしょう。その辺は楽天がどこまで業務範囲を広げるか次第ですけど。
でも、私のサイトを含むタオバオ関連、日本からのB2C、中国国内の大手B2Cサイトは、日本製品の中国販売と言う点では、テストマーケティング以上の機能は果たせないと考えています。有効に中国で販売するには、結局の所中国に工場を作り、マーケティング拠点を設け、中国人のニーズ(テイスト、価格帯)に合う商品造りと販売が絶対に必要だと思います。私が淘宝商城への出店をやめたのもそれが理由で、B2Cになると中国に製造拠点を持つメーカー以外の出店に意義が見出せないんです。もちろん、ニッチマーケットの販売ツールとしてはタオバオはこのまま行けるかなとは思います。秘密ですけど、ベビーと全く関連せず、私の妻も全く興味の無い範囲で、私自身はもしかしたらある程度いけるかなという商品って幾つかあります。
卸や小売の方は、タオバオ自体というより、中国に興味があるなら可能性は幾つかあります。これは、ある意味ニッチであったり、ナショナルブランド品に限定されてしまうでしょうが、個別のご相談には応じます。でも、利益面ではそれほど期待できないとお考えいただければと思います。競争が想像以上に激しいですから。
さて、中国は旧正月のため、今日もお仕事なのでここまでにします。
ブログをご覧の皆様、良いお年を。かなりシニカルな私の暴言を並べている当ブログに応援ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。
本当に、この7月までは、完全にオペレーションと立ち上げに追われ、8月以降も日本にいる父と祖母の健康問題で、結構余計な時間を取られてしまい。次のステップへの移行に関しては、10月に素晴らしい方と出会えたことからようやく進められるという状況でした。当初の絵からみると、半年は完全に無駄に時間を過ごしてしまいました。結構自信過剰な方なんですけど、ビジネスは甘くはないですね(別に中国と言わず、どこででも)。
話は変わりますが。
最近化粧品に関して幾つかのご相談を受けました。その中で上海に住んでいる日本人の方が、日本の某メーカーの化粧品を中国で販売する。費用自分もちで許可は取り、在庫を数百万円抱えているが、今後どう販売するかで悩んでいるというものでした。
私にも似たような話を振られたことがあります。メーカー側は、「日本で成功しているブランドであり、雑誌にも掲載され、楽天で上位にいる」。「中国からのアプローチも受けている。君がやりたければ定価の60%で商品を卸してやるから、後は好きに売ってくれ」というものです。
私自身は、最近は大阪と福岡のパートナーを通して、有料でサイトに掲載する。客の反応を見る、調査をする。こういう形態しか基本うけませんと答えています。最低限在庫リスクは僕らは負担しません。それを聞くと、なんて強欲な!なんて反応を受けます。
しかし、限られた資金を有効に使い、少ないとはいえ従業員を守ることを考えると、自分で在庫リスクを負うのは確実に売れる商品だけか、自分らの次の発展の為のテスト商品しかありません(当面妻主体のベビー関連)。そして、中国で小売として成功しようとしたときに、日本だけに拘わるわけには行きません。ベビーに関しては日本でも一流どころは欧米商品の様ですし。食品も今は、台湾、香港、イタリア、アメリカ製等も扱い始めました。
上記の企業と接して思ったのは、日本でそこそこ成功しており、商品には自身がある。当然中国でも売れるはずで、俺らが君に売らせてやるんだ。後の費用負担なんて、当然君たちがやるべきで、俺らの知ったことじゃないというように聞こえてしまいます。
さぁ、こんな強気のメーカーって結構いらっしゃるんですけど、日本で同じような態度が小売に取れるのでしょうか?もしかしたら日本は市場が縮小しているので小売側が頭を下げて売れ筋商品を扱いたがるのかもしれません。でも今の中国では世界中から物を売ってくれと言うオファーが腐るほど来ますので、こちらの小売は非常に強気です。
小売業界を勉強してみると、成城の大久保社長のおっしゃるように、メーカーがどれだけ広告宣伝をするかを見て本気度を測り、本気度の高い商品を店頭でも積極的に販売する。
これが小売本質の一つであり、何のリスクも、広告宣伝もしない企業なんて相手にしてたらこっちがたまらない。日本でもディスカウントショップ等は現金仕入れをして在庫リスクを負う代わりに安く売る。一般の多くの小売店舗の商品は実はメーカーが売れ残りを引き取ってくれるものが多い。こういう実態を、この事業を始めた頃は知りませんでした。
同じような話は山ほどあると思います。中国ブームで、中国に関連した私のような方が、中国市場に日本商品の販売をする話も山ほどあるようです。
同じアウェイの中国で戦っている身として個人的意見を伝えます
まずタオバオの上で、在日中国人の方がその商品を販売しているかどうか。そして売れているかどうかを調べること。そして価格帯を見て、様々な許認可を経た上で利益が上がるかどうかを見ること。
タオバオで一つも売られていない商品は、リスクが高いと認識すること。これだけの在日中国人の方がいて、あらゆる商品はタオバオに出店されている。僕らのような大手の売り手も在日中国人にはたくさんいる。言い方を変えると、タオバオに出ていない製品は、日本でどれだけ売れていようと、在日中国人の方にとって売るメリットの無い商品と言うことになります。在日の方の場合、サイトで販売し、売れたら日本で購入して中国に送ればよいので在庫リスクはありません。そういう状態でも売られていない商品は、その商品には現状魅力が無いと中国人が判断している商品です。メーカーは中国からアプローチを受けていると言うでしょう。僕も言われました。でもその時どういう条件だったのか。そして条件が折り合ったとして本当に中国側が購入したか。中国人は積極的に様々な日本商品にアプローチしていますので、過去一度もアプローチを受けていない商品は基本的に中国人が見て魅力が無い。そういう意味では、アプローチを受けた魅力のある商品でも実際には中国側の要望はコマーシャルベースに乗るものではないのが一般的。
中国で生産し日本市場に販売する事業は、生産機能の中国への移管であり、工場設立、従業員の教育。多分従業員の教育と日中の差を埋めることが課題であり、顧客が日本にいれば、基本それですみます。それでも苦労している企業が多いですし私も苦労しています。
しかし中国で販売する。となると製品が日本製であろうが中国製であろうが、その製品のブランディング、というよりまずはその製品の存在を知ってもらうことから始まります。ソニー、パナソニック、トヨタ、キャノン、資生堂、この変の日本の超大手ナショナルブランドならまだともかく、売上1千億円程度のブランドでさえも中国で販売するには日本で会社を立ち上げたのと同じ努力が必要になります。
そう。中国市場の販売は、企業にとって第二の創業と同じレベルでの投資と努力が必要なんです。これは中国と言うより海外どの国でもその市場での販売は同じはずです。
それを中国生産と同レベルで考え、中国経験があるからといって生産系の経験しかない人を配属し(これは販売系の人材が日本人、日本語のできる中国人共に極めて少ないのでやむをえないですが)、十分な投資もしない。
失敗するのが当たり前なんです。
個人レベルで取り組む場合(資金も含め個人)、こういう投資もしないメーカーを相手にするのは本当に危険です。考えてみてください、ごく一部の大企業を除き、上場企業ですら海外経験があり、言葉(英語レベル)のできる人も少ないんです。自分の商品を海外に出そうとすれば、当然出張して自分の目で市場を調べる。何を売るかの商品選定、物流、広告、全ての企業活動を自分で行うのであり、最低でも一人を雇用し出張費も含めれば年間1千万円は安くてもコストがかかるでしょう。
上海で事業を立ち上げるには、最低2-3億円必要と言われます。これは、中国人、香港人全てから言われますし、おそらく体感として事実です。これだけの投資をしないといえば、中国側の対応はころっと変わります。まぁ、彼らにとって利益を取る機会の無い事業とおもわれるのでしょう。お金目当てでコンサルがふっかけているんだって、思う方もいるでしょうし、私もそう思いました。しかし、上海に関しては実業的に成功しようとすると、その程度の資金が必要だなと思わされます。個人じゃ無理ですね。そして、その数億円を投資しても失敗した日本の大企業がたくさんいます(これはやり方の問題も大きいですけど)。
数億円の投資ができないメーカーの商品は、今の段階の中国では成功は容易ではない。そういうものは、ついで買いニーズに乗せ、口込みマーケティングなどのゲリラ的な活動で動かすしかない。でも、中国市場で本格的に販売するには、広告宣伝投資をして市場に認知してもらう必要があります。
正直、タオバオでもB2Cでもネットだけでは無理。ネット広告のポテンシャルは、お金持ちの世代が若いだけに日本より高いと言われます。でも一方、商品知識が少なく、偽者や詐欺師の多いこの国では、商品を手に取る、商品を広く見る、そういう機会が無いと、どんなによいものでもそれを消費者に伝えるのは日本より難しいです。今の中国で無名企業の地方特産品が日本の楽天の様に売れるとは思えないです(中国国内の地方の名産品でも)。だってどうやってそれが本物だってネットで示せるのでしょうか?日本語のサイト?でも難しいんです。いずれご紹介する事もあるかと思いますが、実在しない日本企業名の、丸っきりの偽者をメイドインジャパンとして販売して、綺麗に見せて結構売れている物があるんです。買っている人が偽者と認識しているかどうかは知りません。自分で販売する日本商品を探していて見つけたんです。聞いたこと無い会社と商品名だったので、サイトに掲示されている商品の写真に印刷されている会社名、商品名を調べても実在しないんです。ずっと調べて全くの偽者だって事が分かったんです。酷すぎるんですこの国の商慣習は。そりゃ、出所のはっきりしない商品って、日本製といっても怖くて買えないですよ。中国では。こういうのを非難しても、直りそうも無いじゃないですか。
そして、個人レベルで中国でブランド力の無い日本商品を自分のリスクで販売するという方へ。
極めて厳しい挑戦です。一つ知るべきなのは、化粧品で言えば、原価は10-20%程度。広告宣伝費が30-40%程度。販売管理費が30%。営業利益が20%っていうところがメーカーの利益構造じゃないでしょうか。そし下代が定価の50%-60程度。卸や小売があわせて40-50%の利益を分け合う構造。下代の20%程度はメーカーの広告宣伝費でのはずなんです。
そう考えると、中国側の代理店が全てのリスクを負う場合、仕入価格は日本の定価の30-40%がマックス。メーカーが日本で負担している広告宣伝費や許認可費用は当然控除した上で値段を決める。その代わりに代理店が自分で許認可取得や広告宣伝を行う。これがフェアな取引のはずです。日本での下代で仕入れて、残りを自分でやるという事はかなり無謀です。
というか、計算高い中国企業がそんな条件を受け入れる可能性は限りなくゼロです。だから、中国からアプローチ受けていたって条件はかなり厳しいのが当たり前。多分定価の10-20%で引き取りと言うのが一般的でしょう。
複数の日本のかたから「こういう新しいものを中国で販売することが、本当の挑戦でしょ」と言われます。確かにそうですし、自分に体力がつけばやっていくべき分野です。でも、まずはそう言う発言をする人は自分が投資をすべきですね。私は日本人で中国人を雇用して中国で事業をしている。日本企業の社長と同じようにまず考えるべきは事業の発展、と雇用の確保(つかえなきゃ切りますが)、その前提の上での新しい挑戦、当たり前じゃないでしょうか?そして、自分たちでリスクを大きくとるなら、やはり中国市場を見ながら中国人の意見を聞きながら、自分たちに合った形態でリスクを取らないと。そして、その場合はフェアな条件じゃないと。甘すぎるんだよ。自分はリスクは負わずに好き勝手理想や理屈をほざく。どこまで寝ぼけているんだ。と言いたくなります。理想や夢じゃ飯は食えないんですよね。ネットバブル以降勘違いしている人が非常に多いなあと感じます。
僕らが提供しだしたテストマーケティングプランは、当方の感覚としては少ない固定費と20%の売上歩合を要求しています。似たような所と比べ歩合が高いと言われますが、営業手数料(私は日本にいませんので、かなり営業の方に負担をかけてしまいます)、商品の翻訳掲載、反応のチェック、が固定費。私の折衝手間賃も出ないレベルと強欲に思っています。売上歩合は当然上記の考えを踏まえています。だから、利益率の低い商品を扱う小売店舗は参加できないと思います。僕の目的は、様々なメーカーに中国市場に本気で挑戦して欲しいんです。
多分、サイトに載せただけでの反応は多くの期待はできません。購入客が8000名弱ではまだ足りないんです。もちろん、B2Cの会員の購入率が日本では1-2%である事を考えれば会員数40-80万名のB2Cのサイトとと同じ位の効果はあるんだと言いたいんですが、月間来店客はまだ4万名しかいません。PVも20万程度なので、正直知れています。一方、来店客が徐々に増加しているので、露出も多少は可能だというところです。
嫁が小遣い稼ぎで始めたタオバオに、私がどっぷりつかる事になったのは、事故の処理もありますが、「個人でも(低コストで)中国人に日本製品を売れるか?」と言うのが発端です。走りまわって1年があっという間に終わっちゃいました。
タオバオは、中国市場に向けた有効なツールです。使い方は色々あります。でもタオバオだけ、嫌ネットだけじゃ駄目なんだと強く思うようになりました。当初の期待は外れた面もあります。唯、参入障壁が低く、多くのクラウン店舗も売上自体はたいしたこと無い=資本力は日本の個人の方がある、と言う面でチャンスはまだ色々あります。一方、B2Cのサイトは、今のタオバオの存在を考えるとほぼ意味が無いでしょう。楽天がモール中国版を作り、日本の出店者をそのまま中国向けに窓口を作ると面白いですが、様々な法的な問題と、結局は物流コストの問題で、中国で売れる商品はタオバオに流れてしまうでしょう。その辺は楽天がどこまで業務範囲を広げるか次第ですけど。
でも、私のサイトを含むタオバオ関連、日本からのB2C、中国国内の大手B2Cサイトは、日本製品の中国販売と言う点では、テストマーケティング以上の機能は果たせないと考えています。有効に中国で販売するには、結局の所中国に工場を作り、マーケティング拠点を設け、中国人のニーズ(テイスト、価格帯)に合う商品造りと販売が絶対に必要だと思います。私が淘宝商城への出店をやめたのもそれが理由で、B2Cになると中国に製造拠点を持つメーカー以外の出店に意義が見出せないんです。もちろん、ニッチマーケットの販売ツールとしてはタオバオはこのまま行けるかなとは思います。秘密ですけど、ベビーと全く関連せず、私の妻も全く興味の無い範囲で、私自身はもしかしたらある程度いけるかなという商品って幾つかあります。
卸や小売の方は、タオバオ自体というより、中国に興味があるなら可能性は幾つかあります。これは、ある意味ニッチであったり、ナショナルブランド品に限定されてしまうでしょうが、個別のご相談には応じます。でも、利益面ではそれほど期待できないとお考えいただければと思います。競争が想像以上に激しいですから。
さて、中国は旧正月のため、今日もお仕事なのでここまでにします。
ブログをご覧の皆様、良いお年を。かなりシニカルな私の暴言を並べている当ブログに応援ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。