日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

知らない事が多かったな。

2015-05-30 | 中国経済関連
本当は日本が大好きな中国人 (朝日新書)
クリエーター情報なし
朝日新聞出版


 中国関連本が続きますが、今度は福島さんの本当は日本が大好きな中国人。

このタイトルも爆買いのせいでしょうねー。なんかトイレが好きだと買って新書もあって本屋で立ち読みしたんですけど。。。

トイレの本に比べるとこの本は非常にまじめに書かれております。中国人を理解する一助にはなるのではないでしょうか?皆が甲だとは思いませんが、このように日本が好きな人はいる。すきかどうかは置いといて、日本人に対する見方は好意的ではある。まぁ私の場合は上海と言う場所しか知らないので都市や地域によっては異なると思いますし、教養度により相当に異なる面もありますが。

 面白いと思ったのは
・中国人が好む日本人は、一見軟弱で華奢でお人よしなのに、時に見せる驚異的な忍耐や努力や諦めない精神の強さを持つからである。

・反日中国人は実は知日派。意外と日本がすきでもあるということ。


 思わず笑った、そして本人たちに言い聞かせたいのが
・人権擁護を高らかに叫ぶ日本の左派知識層は、日本の保守や米国は批判できるが中国批判ができない。憲法九条非難ができなくなるからウイグルやチベットに目を瞑る
 亡命中国人の講演会をするための資金を集めようとすると、日本の左派はただなら来るけど会費1万円ならこない。一方日本の右派はお金を払っても来る。

そして、かっての小泉首相も、安部首相も、政府はあれこれ言っているが、実は政権内部では評価している人が結構いる。


 日本の左派言論の程度の低さは中国人にも見破られているんですね。。


 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

頭の良い人は、やっぱりわかりやすく説明されますね。

2015-05-29 | 中国経済関連
巨龍の苦闘 中国、GDP世界一位の幻想 (角川新書)
クリエーター情報なし
KADOKAWA/角川書店


 中国経済の第一人者津上さんの最新作。

 ある程度中国ビジネスに深く携わっている立場としては、別に目新しい情報は特にないのですが、こういう風にすっきると説明していただくと頭が再整理されたような気がします。

 まぁ、中国人観光客の爆買いで、多くの日本人が未だに中国や中国人に嫌悪感を抱きながらも、お金のパワーに魅せられて、又興味を持ち出したところではないでしょうか。個人の知り合いの範囲では、そうはいってもいつ崩壊するだろう?と言う話がよく出てきますが、この本見ると少しは安心されるのではないでしょうか。

 又、現在集団的自衛権であ-だこうだ国会でいっていますが、現在の外交方針の上で名指しができないにしろ、わずか数年前の尖閣での脅威はすっかりわすれちゃったんですかね?そちらに関しても、ある程度の示唆がなされています。

 概ね現在の習政権が久々に強力な政権であり、日本でも揶揄する国内問題に真摯に取り組んでいる事。現在中国で出されている経済指標の矛盾点の指摘と実態の予測。まぁ後者は昨年辺りから実質経済成長率は3%前後が実態ではないか、今後の成長余力もその程度ではないかと指摘されています。

 そして、日本で起きた不動産価格大幅下落による崩壊はないとも。

 今後の経済成長の行方、それに伴う政府のガバナンスの動き、によって中国の外交方針も変化が見られるだろう。とのことでシナリオが幾つか書かれています。まぁその中ではやはり今後も警戒を解けないと言うのが現実的に見受けましたがどうでしょう。

 中国経済関連って、色々無茶振りの本がたくさんありますが、この方のだけは結構客観性があって解りやすくてよいと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本社会の高齢化、少しは改善したんだ

2015-05-28 | 日本・日系企業
最新版!「平均年収が高い」500社ランキングって記事をFBで松本さんがシェアしてくれましたので、覗いてみると。
http://toyokeizai.net/articles/-/71024?page=1
松本さんは、ほとんど平均年齢40歳以上とおっしゃられていたが、所属したことのある企業2つを見ると、15年前より平均年齢が3-4歳若くなっている。団塊世代が抜けたからだろうね。

 元気なキーエンスやリクルートは35歳くらいか。

 最初の会社で上司たちから聞いたのは、高度成長時代は35歳くらいで課長、建設現場の所長さんで、結構な責任と権限を持っていたと言う話。それがどんどん遅くなっているって。

 多分ここなんだよね。権限と責任のある地位に着くと自ずから嫌でも鍛えられる。もちろん会社の規模でその権限と責任の大きさは変わるけど。

 年功序列社会の弊害は、年齢が高い人が高い地位についてしまう傾向が強い事。安全を求めるならそれなりの経験を積み、まぁ人間の能力なんてそんなに差がないし、お客さんやお取引先も年齢がかさんだ人が上位職についているから、ピカピカの30歳よりまぁまぁの40歳を課長にしたほうがよいという判断は、別におかしくはない。

 でも40歳になるまで課長という立場での責任と権限を持たないと、その人の積む経験知、=頭使うことも含め、が遅くなり、かつ少なくなる。

 超一流企業の社員は、平均レベルでも中小の上位社員より素地は優秀なことが多く、視野も広いことが多いので、人材の流動化〔この場合は下方流動というべきか)が進めば大分改善されると思ったんだけど。。

 後10年くらいたったら日本も色々変わるかもね。

 団塊ジュニアの世代は今もう40代中盤。

 オリンピックが終わって5年もたてばそっちの景気感はなくなる。

 様々な業界で人で不足が発生するのは目に見えている。そうなると国が旗振らなくても在日外国人を含む外国人の登用が進む。

 財政は。。ますます悪化しているわな。。

 楽しみだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

とても良かった。こういう若い子がたくさんいれば日本も安心なんだけど

2015-05-27 | 中国経済関連
稼ぐまちが地方を変える―誰も言わなかった10の鉄則 (NHK出版新書 460)
クリエーター情報なし
NHK出版


たまたま地方都市に住んでいるので本屋で見かけて読んだのですが、思っていたより面白かったです。

著者はまだ若いんですね、33歳。

凄いですよ、ここまで日本社会の抱える問題を的確に指摘し、それをどう解決するかまで書いている。

テーマはタイトルどおり、商店街の再活性にからむものなのですが、学生時代に手がけられた早稲田の商店街の話から、その後の熊本その他の色々な場所でのご経験を踏まえて直面した問題、失敗事例も書かれています。

少人数で始めよう。

補助金不要、こんなのもらったら確実に失敗する

やる気があるスタートメンバーは全員に自分のお金を投資させよう

スタートメンバーが空いている時間に自ら動こう

無駄なコストは使わない。無駄なコストを削減することから資金を生み出そう

利鞘の取れる商売をしよう


 これって商店街とかの活性化だけではなく、民間企業経営にもそのまま当てはまりますね。著者の意見として、行政はかませないといけないけど、補助金とかをもらって行政の意向のままに進めると失敗する。そこを民間の柔軟な発想と活力で活性化する、とのことなのですが、最近日本の色々な民間企業見ていると、こんなに活性化している業界や企業は非常に少ないですよね。

 読んでいてそうだそうだと思うこと多し、この若さでここまでできるとは凄いと感心する事ひとしきり。

 日本には若い子は凄いなぁとおもわされる人が増えてきましたね。表に出やすくなったと言う事かもしれないけど。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

木のミニ四駆、木の輪ゴム機関銃、日本の職人さん凄いよ

2015-05-17 | 日本・日系企業

 愛媛県の内子へ。松山から一般道を走ると一時間弱のところです。昔の町並みが残っている小規模な観光地というべきでしょうか。大洲とセットになる事が多いところですね。

 春休みに、息子がお気に入りの道後温泉のおもちゃ屋さんの若旦那から、木でできたミニ四駆が内子にあるのだと伺い、一度訪問したのですが、その時は色々探したのですが見つけることはできませんでした。たまたま愛媛のイベントを際と見ていたところ、今日ミニ四駆大会が開かれるという事で、おっさん一人で見に行って見ました。

 先日重要文化財に指定された、内子座という劇場のそばにある内子自治センターで開催されていました。まぁ田舎の公民館といったところでしょうか。入り口には「内子手仕事の会」と書かれていますが木製の立派な飾りダンス?とでも言うのでしょうか展示物が置かれています。ちなみに内子は蜜蝋が産業都市手は有名だったようで、その商いをする大きな商家が観光のメインにもなっていますが、公民館付近を見ると製材所が結構沢山ありますね。木材がゴロゴロ置かれています。


 ミニ四駆の会場はこの通り、結構広い会場なのですが地元の子だけしかいなかったのかなぁ。人はあんまり多くない。息子がいたら大喜びで混じっていったのでしょうけど。さて、木のミニ四駆もしっかり置いていました。木といってもフレームやモーターは既製品で外側だけです。これはヒノキの一枚板を職人さんが2-3日かけて削りだすそうです。値段を聞いたら1万円といわれて、え-、と思ったのですけど、一個一個全てオーダーメイドで買う人の好みに合わせてデザイン変えるそうです。子供向けにはちょっとなぁと思ったのですが、今のミニ四駆ブームって松山とかを診る限り、子供よりも子供のころ遊んだ経験のある30代の人が多いので、価格的には問題ないと思うんですよね。早く改造したミニ四駆ってオークッションでは数万円で売られていますので、こういうオリジナリティにあふれるものって遊び心があってよいと思うな。

 残念ながらそんなに長い事いなかったので、木のミニ四駆が走る姿は見ませんでしたが、持った限り重量は軽いです。純粋な協議用としてはどうかわかりませんが、東京辺りでこんなの使っていたら目立ちますよね。まだほとんどの人が存在すら知らないはずですから。

 でこの火縄銃。見る限り本物みたいです。しっかり銃口もあいているし、その銃口から火薬を取り除く為の棒もついている。実物見ると凄くって、銃身、銃身の台座部分が一本一本の木。細かい木を組み合わせたわけじゃないんですね。なんでも歴史研究かみたいな人が3-4本買っただけのようですが、これも東京とかなら結構売れるんじゃないかな。まぁ職人さん手作りなので逆に大量に注文着てもさばけないそうですけど。


奥の部屋に行くと、木の拳銃、機関銃、ドミノ、竹コプター、やたらでかい下駄、玩具類。

ドミノ倒しを小学生くらいの女の子3人で楽しんでいましたね。一人馬鹿でかい下駄をはいてジャンプしている子がいますが、この下駄をどこまで飛ばせるか子供たちで競争させる大会もあったようです。できるだけ飛ばないように職人さんに作ってもらったそうですが、持って見るとそんなに重くは無いんですよね。ヒノキってそうなんだ。

竹コプター〔竹トンボ)は色々な種類があり、非常に高く飛ぶもの、幼児でも簡単に飛ばせるもの、色々形や大きさが異なるたびに飛び方が変わってくるのに新鮮に感激です。

木のレールとそばにライフルみたいなのがありますが、この木のレールはミニ四駆の上に木製の機関車を作ってこの軌道内を走らせるもの。

面白かったのがこのライフルで、輪ゴムを20個かけていくのですが、売って見るとその輪ゴムが連続して的の方に飛んで行き、まるでマシンガンのようです。こんなので目だけ保護して戦いごっこしたらいいのじゃないと提案しましたが、人には向けないという方針だそうです、もったいないなぁ。戦争ごっこできるよね、ゲームでやるよりよっぽど子供にはいいと思うんだけど。



毎月第三日曜日に、ミニ四駆大会を開催しているそうで、その際にこれらの玩具も展示し、遊べるみたいです。

お名前を伺わなかったのですが、写真のお兄さん。こういう活動は地域振興、人に来てもらう事を目標にしている。職人さんはこだわりが凄いから色々大変なところもあるけれど、僕たちのアイデアを伝えてこういう素晴らしいものができるととにかくうれしい。写真の商品は今のところ全部手作り単品生産だからそのまま商業ベースに載せるのは容易ではないけど、やはり物販としても考えたい。助成金や補助金なんか必要ない。そんなものもらって知己お越しがうまくいった事例は聞いた事がない。

うーん。愛媛にも男がいるぜよ。

もうながーい間、甘えた日本人とばかり遭う事が多かったのでとっても新鮮な出会いでした。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あれれ??ホームページが消えている。。

2015-05-16 | 中国EC事情・淘宝

 もう長い事アップデートしていないので、大きな影響は無いのですが、私自身の上海法人のホームページ。独自のブログサイト、2つとも何時の間にやら消えてしまいましたね。。

両方とも同じ先に作ってもらい、そこのサーバーに置いてたんですが、もう長い事あっていないなぁ。。奥さんがタオバオの店のお客さんなんだけど、どうなったんだろう。

 

しかしまぁ、何の連絡も無くはずされちゃうとそれはそれで困り者ですね。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

知財立国が危ない。。全く日本は。。

2015-05-02 | 日本・日系企業
知財立国が危ない
クリエーター情報なし

日本経済新聞出版社

 馬場先生からいただいた本です。

 知財というのは正直私の強い分野ではありません。2005年に一度日本に帰り技術開発型ベンチャーのCFOを短期間勤めていた時に若干学んだのですが、その会社は技術や社長がアメリカに移民した方で、基本特許などをアメリカで押さえており、訴訟するならアメリカベースの方が良いという程度の認識しか持っていませんでした。

 

 日本の産業が成熟化し、第二次産業では中国などの低コスト生産国に対抗できなくなってきた事から、知財立国という言葉がもてはやされていた時期がありますが、2000年代初頭だったのですね。最初の方に当時の日系ビジネスに掲載された知財関連のデータと、2011年実績が掲載されていますがノーベル賞受賞者数、大学初のベンチャー企業や特許件数はほぼ予測どおりに増え、特許使用料もそれに近いペースで増えたにもかかわらず、大学教授の年収と特許訴訟件数が逆に当時よりも減っている。。不思議だ。。

 

 で、驚いたの。。。本当に。特許侵害訴訟の損害賠償金額トップ10が、日米中掲載されているのですが。。まぁアメリカより大幅に低いのは想定済み。アメリカってこういうの滅茶苦茶高いですからね。が。。中国と日本って対して変わらない。。中国の1位は突出しておりかつ被告がドイツ企業、2位も被告が日系資本。3位もサムソン系列っぽいなんですが、中国企業同士でも8位の2億円から4位が5億円。7位ではドイツ企業が中国企業に対し4億円勝訴。日本は1.4位が何とパチスロメーカー、2位が原告スミスクライン、6位のIHI対日立で4億円。10位で3億円弱。

 そう。。。中国と日本そんなに変わらないの。。あのコピーだらけで通常日本企業が勝つことは無いあの国で。まぁこの国の場合所掌で勝ってもかならずしもその賠償金が取れるわけではないのですが。。

 またさらに驚かされるのは、アップル対サムソン。アップル勝訴でアメリカではサムソンは840億円支払い、いびつな愛国心の高い韓国でさえ280万円支払い、しかし日本ではゼロ。。。ギャラクシーってそれなりには売れていましたよね。。

 

 行政面でも秘密特許というものの存在ははじめて知りました。また仮出願制度が韓国にはできたの日本には無い。特許庁長官の人気が1年、弁理士制度や企業内知財関連部門の課題。まぁこの辺はそうだろうとは思います。日本は物造り意外はアジアレベル以下でしかないというのが個人的見解なので。私自身も文系なので偉そうにいえませんけど、日本のよさと強みは「絶対にミスを起こさずに確実に」というところに全ての労力が集約されていて、それがスピード感の無さ、臨機応変性の無さ、改革の遅さ、非効率の多さに繋がっていると思っていますから。。

 

 中国に関してもさらっと触れられておりますが、個人的には日本企業のリストラにより中国企業に雇用された日本人が既に大量に居る事、資本の力で欲しければ日本の中堅メーカー等何時でも買収できる事を考えると、今後ますます対中国は厳しいでしょうね。幸い中国側は、まだ研究開発や製造に関連する認識がコピーすればよいやという傾向が一般的なので動きは遅いですけど、早晩そういう時代が来ることは避けられないでしょう。

 

 農業が知財の宝庫というのは面白かったです。知人にIT経営者から農業経営者に転進した子が居るのですが、ここまで踏まえているのかな。ただ農業の場合は、日本のノウハウを海外現地にどう応用するかというワンステップが必要だろうとは思います。日本の農業制度の下で日本から生産物を輸出するというだけでは、おそらく縮小する日本市場だけを相手にする商売にとどまり、それ以上の発展はできないでしょうから。

 

 医療、コンテンツはどうかな。医療は山中教授の研究は素晴らしいが、日本では人体実験〔治験と言い換えるべきですが〕が容易ではないので、基礎研究分野が良くても製品化はどこか他の国で行わないといけないと思うんですよね。基礎研究分野のこういう素晴らしい成果は総沢山出てくるわけではないですから。コンテンツもしかり。確かに一定のニーズは世界中にある。詩化しますとして狙えるのは似たような感性を持つアジア諸国が数的には最大の市場。でもそこは知財無視の世界。どのようにマネタイズするのか。知財だけではない要素が含まれます。

 

 日本において知的財産をいかに活用するのか、以下に保護するかの問題提起の本で、とても面白かったです。でも企業人としてみた場合、

 「エー日本ってこんな状態なのかよー」

 というのが本音で、日本の体制が変わる時間軸はとてもビジネスには使えないので、知財辛味で何かする場合、当然アメリカをベースにするとかって考えになるでしょうね。まぁでも怖いのは、山中教授は日本で研究されていらっしゃったのでしょうが、今後アメリカに移住する研究者がどんどん増えるんじゃないだろうか。いや、下手したらシンガポールとか他のアジアの国とかにも。。

 

 日本の知財訴訟の賠償金の低さ=日本は突出した個の才能を中々認めない。スポーツや芸能の世界位ではないでしょうか。

 日本の集団主義は強みではありますが、成熟した社会になってしまうと金太郎飴しか生き残れない社会は、窮屈で才能の有る人にとっては馬鹿馬鹿しい物になるのではないだろうか。経営の世界でも同じことが言えると思うのです。台湾のハイテク企業では基本給与もそれほど安くないけどインセンティブは株。中国でもストックオプションのようなものが好まれる。頑張って成果を出したらそれに見合う対価が欲しいという人間の本能に忠実なんですよね。それを拝金主義と非難することは容易ですけど、怠けている人も頑張っている人も、大差が出ない日本の体質は、もう駄目なんじゃないかな。本書で指摘する知財分野における課題もそこにあると思うのです。知財訴訟における賠償金がアメリカ並み=現状の100倍になるのであれば、そこに付随するスタッフたち、弁護士・弁理士の所得の大幅な向上に繋がるはず。どこからお金を分捕るか次第ですが、雇用増加にも繋がりますよね。

 

 自分はともかく子供を育てるべき場所という意味で、またまた考えさせられるよなぁ。。。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リバースイノベーション2.0って。。学ぶものも有る。

2015-05-01 | 中国経済関連
リバース・イノベーション2.0 世界を牽引する中国企業の「創造力」
クリエーター情報なし
CCCメディアハウス

 昨年末に田中なみさんから寄贈いただいた本です。実は最初の方を読んで、なんじゃこいつは、と思ってほっぽって居ました。最近知財に関する書籍を別な方から寄贈いただき、その本を読んでから、このリバースイノベーション2.0を読み返して見ました。。  

 この本日本人が読むときは後書きから読むほうが良いでしょう。耳が痛いけどその通りだと思う人も多いでしょうし、著者は中国も日本も愛してくれているなと理解できます。  さて、リバースイノベーションという言葉を聴いたとき、単純にコピー屋の改良か、なにがイノベーションだと思いました。で、最近中国でよくいかける自画自賛本かと思ったのです。まぁ本質はその通りなのですがこの本では幾つか面白い視点があり、日本企業としては学ぶものもあると思いました。

・リバースイノベーションでは、新興国のボリュームゾーンの消費者をターゲットとして、品質や性能は必要最低限にとどめ、とにかく価格の安い製品を開発し、その安価な製品を先進国にも輸出、販売を拡大する。

 -最先端ではなく最適な技術

 -マス市場を背景とした、企業、行政、個人資本家たちの連携

 -オリジナルではない、グローバルリソースからの価値創造

 事例として、GE中国の研究開発拠点で作られた小型移動超音波診断機が大陸内だけでなく先進国に模範倍されるようになったというのが挙げられています。また、日本企業が捨てたVCDという技術を元に中国が実用化してアジア諸国に拡散したとの由。VCDは以前勧告や台湾でも見かけ、今でもベトナムにはありますね。中国発とは知りませんでした。

 

 ファーウェイ、BYD、テンセントなどの中国企業のコア、発展の経緯を書いていますが、概ね中国企業は基礎研究開発力が弱く既存技術やグローバル連携、資金力の活用などを通じ商人的な視点で事業拡大を図っている。一方で、中国では少しでも儲かる分野とおもわれると新規参入者が次々に現れ、過当な価格競争になる為に研究開発に力を入れられないという、現地に居れば良く見かける社会構造なども説明されています。

 

 最後の方に、日中米の気質の違いを書かれているのですが、日本は職人、中国は商人、アメリカは異人としていますね。アメリカが必ずしもこの本に書かれる異人かどうかは疑問に残りますが、日中については非常に的確です。  日本は簡単なものでも究極を追求する職人精神があり勤勉ではあるがえてして独りよがりの過剰品質を生み出し、真の顧客価値に結びついていない。一方、中国は顕在化したニーズを捕まえると手段を問わずいち早く市場に参入する。要は職人は「良いものが売れる」、商人は「売れるものが良い」と考える。アメリカの異人は世の中を驚かせるものが良いと考える。

   日本と中国の現在、及び将来の課題についても、国民の平均年齢、企業幹部の年齢〔日本は高齢化しているのでイノベーションができなくなっている)から、中国のコピー文化によるソフト系の開発レベルが進まない事、詰込教育により創造性を阻害している事などの課題も指摘しています。  結論的には日本の職人気質、中国の商人気質、アメリカの異人?気質をあわせることが必要だって指摘されています。その通りですね。

 

 本書の中でファーウェイがかなり取り上げられています。ファーウェイは中国企業で、もともとはシスコのコピーメーカーに近かったし今でもコピッていると思いますが、中国起業にしては珍しく研究開発費を売上の10%近く投資しているようですね。この企業のCEOが日本に学んでいるという話も紹介されていますが、常に危機感を忘れていない凄い方のようですね。こういう経営者は中国でもどんどん出てきており、皆若い。そういう意味では中国企業の今後の活躍は脅威でもあります。

 

 でもこの本読んで思ったことは、自省をこめて日本に対する指摘はその通り。私も中国の市場は富裕層しか対照にならない、農民向けのサービスなんて金にならないと10年前に考えて、そう発言していました。でも、それは誤りだったのかも。

 ・職人気質もいいけど、マス市場で売れるものを作るという発想が必要ではないか。

 ・日本の商品は途上国では富裕層にしか受け入れられない。これは本当なのか?その努力を怠っていただけじゃないのか。

 

 僕が農民向けの市場なんて考えられないといってから11年。当時の中国のGDPは日本の1/3。上海には確かに富裕層は居たが、日本の給与は彼らから見れば夢のように高かった。今はGDPは日本の3倍。どうレベルの学歴や能力だと中国企業のほうが世代によっては所得も高い。

 尖閣以降中国からと何アジアに出て行った日本企業の多くから、東南アジアは市場としてまだ早いと聞きます。確かにそうかも。でもインドもいずれ中国に近くなるとしたら?アジアの時代が本当に来るか個人的には疑問を持っているけど、もしそういう時代になった時、市場を席巻しているのは日本企業ではなく、中国企業になっているのじゃないだろうか。

 

 日本は世界のごく一部のお宅系の消費者向けの商品しか供給できなくなるんじゃないだろうか。それはそれで一つの生きる道だとは思うが、それで国家の繁栄を維持できるのか。リバースイノベーション2.0というタイトルに関しては、え?とも思いますが、この途上国のマス市場を狙う製品開発。そしてその製品を販売するマーケティング能力。日本に欠けているというよりは、単に馬鹿にしてやっていないという気もするだけに、複雑な気持ちで読ませていただきました。

 

最後に、田中さんありがとうございました。

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする