日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

久々のおすすめ、アジア内販をやるなら必読の本

2013-01-31 | 中国経済関連
中国人のやる気はこうして引き出せ
クリエーター情報なし
ダイヤモンド社


 表題真面目です。本の紹介は珠にしていますが、僕自身の経験を踏まえ、中国内販をやるなら絶対読んだ方が良いと思うのは、日本語では実はダイキンの高橋さんの書かれた本(b2bですが)以来の2冊目です。後Mr.Chinaという一度英文で紹介した本が日本語化されてその後販売されているはずですけど、外せないと思います。

 イトーヨーカドーの成都での成功を元に書かれた本だと思いますが、共感したのは

・コンサルやら他人が何を言おうと、日本的な経営や業務を徹底的に遂行したこと。

・中国人社員の日本人や上司に対する見方を結構赤裸々に書かれたこと。

・その他自分が小売りに属する商売なので、個人的にリアル店舗での見せ方や管理など非常に参考になったこと。

 といったあたりですが、まずはご覧になられることと思います。そして、今はアジアブームですが、中国以外のアジアでも同じことが通用するのではないかと思います。タイの日本人の考えられない行動(中国でそこまでする馬鹿はいないと思いますが)も記されていますが、日本人は自分の行動に気を付けましょう。

 仕入れでも苦労されたんですね。僕らはゼロスタートですので仕入するのに補償金要求されてしょうがなく積んだのですが、さすがIYさんはそれをしなかったとの事。僕らその保証金回収するのに結構時間かかりました。でもまぁ個人企業や中小企業じゃしょうがないっすよと、言い訳します。

 IYの専務さんが筆頭で行かれたというのも大したものだと思います。

 でも一言嫌味を。

 IYの成都は実は見たことありません、凄いとは聞いていますし、この本に書かれていたことを実行しそういう店を作られたことは素晴らしいと思います。そして、当初の2年くらいは現場での行動など僕自身がやってきているので、ここの所現場作業を離れている自分に対して反省をいだかされました。

 しかし。。北京のIYは。。看たのはもう7-8年前なので今は知りませんが2店舗を平日の夕方見たことあるんですが、正直ほめられたものではありませんでした。客入りも少なかったですし。正直ウヲルマートの方が数段客入りが良かったです。

 売上的に成都は5店舗で507億円。北京は8店舗で287億円。立地や面積次第ですが成都一号店9000m2に対して北京1号店は14,000m2。成都は単店舗年商100億円。北京は30億円強。。何でここまで差が出るのか。

 で、規模が違いするので比較するのはあまり意味ないんですが、僕の出した小さな店のm2あたりの月商は、もし北京の店の平均が1号店と同じ14,000m2なら実はm2売上げは僕らの方が上。成都と比べると1/3-1/4。成都はきっと本当に凄いと思いますが、北京は消費に占める比率の高い食品を扱っているスーパーとしては、決してほめられる水準ではないのではないかという疑問も持ちました。

 おそらく、出店地域を決める地方政府の協力、競合店の存在、関係しますが出店する時期とブランディングが結構影響している気がします。そこはマネジメントでは解決できないのだろうか。。

 IYの成功とそのプロセスという点で非常に参考になります。そして現場レベルでやることに関してもきっとその通りで、学ぶべきものがたくさんあります。でも、触れられていない、で実は中国現地にいる日本人の大半が認知している北京の不調と成都の比較に関する分析が無いのが残念ですが、あくまでも想定として、どこに出店すべきなのかまで含めて考えさせられます。

 人に関しては、他のアジアも同じ傾向があるはずです。転職率は中国に限らずどこでも高いですし。アジア人にある日本人的な感情もある気がします。

 僕としては、リアル店階の点で本書を参考に早速実験してみます。
 
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中国労働人口、年内に減少へ!て本当かい?

2013-01-07 | 中国経済関連
中国の出生率に予想以上の急ブレーキがかかっている。中国政府は1.8と言い続けてきたが、最近の調査で1.18へ低下していたことが判明。現代中国研究家、津上俊哉氏がこれらのデータから推計した結果、労働力の中核を担う15歳から64歳までの生産年齢人口が、これまでの通説の2015年以降ではなく、2013年にピークアウトし、減少へ転じることが初めて明らかになった。http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20121227/241649/?P=1

俗に中国の経済成長は2020年くらいまでと、国内ではこそこそ話されているのですが、人口推移に関してはそんなに気にしていませんでした。現在の13億人はあまりにも多すぎて、日中戦争当時の人口が5-6億人の国なら、既に結構豊かな中心国になっているのになぁ、と思う程度でした。

 記事中の上海や北京の出生率が0.7というのは正直驚きでしたが、よくよく考えてみると上海は確かに一人っ子のみ。兄弟がいるという話は聞いたことがありません。結婚しない人や、しても子供ができない人がいることを考えれば、確かに1より低いはずで、納得もできます。上海では既に僕らが結婚した2005年段階で、一人っ子同士の結婚夫婦は二人目を生めると法律が変わっていますが、現実を見れば親戚で二人目は生まれなかった、生みたいけど経済的負担が多すぎる(幼稚園とか学校そんなに安くないんです。粉ミルクも輸入品強烈に高いですし)。また経済的に豊かになってきたことにより晩婚化は進んでいる。夫婦で仕事が忙しくて子供つくれない、という実例を身近に幾つも知っています。

 記事に触れられているように、農村部では兄弟がいる人が多く、ワーカーやカラオケお姉さんに聞くと、ほぼ兄弟あり、お客さんの中には9人も子供がいる、なんていうのも反面事実ですので、実際には出生率は1.18じゃなく1.6という方が妥当なのかもしれないですけど、そのギャップどうなっているんですかね?それに農民工で大都市に来た夫婦たちは、やはりそんなに子供を産んでいないと思います。

→ 以上の推計は、中国経済に対するこれまでの楽観的な見通しに大幅な修正を迫るものである。日本国内では沖縄県尖閣諸島の問題をきっかけに、反中ナショナリズムが強まっているが、これは「中国が今後どこまで成長し、強大化するか分からない」という幻影にかき立てられているきらいがある。

 中国の高度成長期は既に終わっている。日本がこの幻影に怯えて、中国と政治・軍事的に対立し、己の経済利益を犠牲にするのも愚策だ。日中どちらも解決のつかない領土・領海問題を争っている時間や経済的余裕はない。

 て結構考えさせられますね。

 でも今世紀中に人口5億人になるとすると、年齢構成のバランス化が達成できれば、22世紀の中国はアメリカと拮抗する豊かな強い国になるのかもしれません。やはり国土があり、資源もそこそこある。日本にはそのポテンシャルすらない。うらやましい話です。中国政府の幹部はそういう長い視点でもの考えていると思いますし。
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ちょっとあきれた記事

2013-01-05 | 中国経済関連
エコノミスト増刊 最新!!中国情勢 2012年 11/12号 [雑誌]
クリエーター情報なし
毎日新聞社

 日本にいる時見たのですが。。

 正直参考になったのは、所得格差の記事だけ。これは非常に面白いし参考になりました。ジニ係数とその背景の所得別の可処分所得とかが乗っています。ただ上位10%でも年収はそんなに高くは表示されていません。数年前の別な情報では、上位20%にはこういう統計に出てくる以外の灰色所得があり、上位になればなるほどそれが多いとされていました。また事実でしょう。

 上位1-2%とかだとすごいでしょうね。10%ベースでも国府の半分以上を占めているというだけで大体はわかりますけど、実際には上位1%=1千万人程度が強烈な金持ちになっていて、後は上位5%程度まで=6千万人程度が日本人並みの実質可処分所得を持つ。残りはホワイトカラーでまぁまぁが後5%。それ以外の90%は生活コストばかりが上がって、所得は今の倍になるかもしれないけど永遠に低所得であえぐ。。そういう姿が見えます。

 エコノミストなんで期待をしていたんですが、執筆者で大きく傾向が分かれますね。

中国人エコノミスト=中国公式統計を分析して、まだまだ伸びるとか、日本は中国と上手くやっていかなければという論調が多い。

日本人エコノミスト=中国と上手くやっていかなければならない。だけどリスクがこんなにてんこ盛り。

 まぁどっちがいいかは個人が判断すべきですが、在日中国人の人たちが経済誌や、ビジネス関連でかなり活躍されるようになってきており、それはそれで非常に好ましいことだと思う反面。中国政府から金もらってるんじゃないか?と思うところもあります。全てがそういう人ばかりではないでしょうし、中国側の情報を得るためには中国政府に都合の良い記事を書かざるを得ないという事情があるからしょうがない。

 でも、日本人や日本企業をミスリードさせる存在になっているのではないだろうか?その点はご留意願いたいなぁと思いました。
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楽天の海外展開はきついんじゃないかな?

2013-01-05 | 中国EC事情・淘宝
週刊 ダイヤモンド 2012年 12/15号 [雑誌]
クリエーター情報なし
ダイヤモンド社

 昨日成田から上海に戻る飛行機の中で読みました。

 日本のEC事情はすっかり疎くなっているのですが、アマゾンがこんなに大きくなっているんですね。それぞれに強みと性格があり、どちらが有望かという事なのですが、まぁそれはなんともいえません。思ったのは。。

 楽天の強みは、ポイント制度、様々な複合サービスとの連携とポイント活用などが挙げられていました。モールとしては4万店舗(だったかな)のお店のプロモーション、イベントに専念しているとの事でしたが、気になったのは、各店舗のメルマガが煩わしいという声あり、店舗毎の商品宣伝が結構多く、時間のある主婦層に受けているという点。

 アマゾンは、一方簡素な商品紹介と価格勝負である事。

 上海で日本人向けにネットスーパーを展開している企業4社を知っているのですが、やはりうまくいっているところはメルマガとかに力を入れています。実店舗ではNo1の会社がネットではそれほどふるっていないので、日本人にはメルマガマーケティングが有料苦難だろうなと思います。

 一方、アジア各国で日本のように専業主婦の比率が高い国が他にあるだろうか?結構疑問です。それぞれの国でECをどういう風に使っているかはことあると思います。

 中国の場合は、①国が大きく、ロジスティックも悪く、商品が全国各都市にわたっていないのでECで買うしかない。②とにかく安い。実店舗と比べて安い、③並行輸入品など中国の市場で見れない商品。このあたりがECでの購入動機になっているように思います。商品の配送先も勤務先が多い、発注自体も勤務時間中が多いという事実もあります。となると、忙しい中商品を選んでいますので、ごちゃごちゃ長いサイトやメルマガなどはあまり受け入れないように思います。また、ごちゃごちゃした説明で新商品を販売しようと思っても、偽物天国、詐欺師王国のこの国ではネットでのブランディングは容易ではないという事は認知されてきたと思います。

 そのせいかどうか色々疑義はありますが、楽天中国では全く振るわないうちにサッサと消えました。

 で、他の国でも展開しているのですが、楽天の日本での強みが果たして有効か?モールだけでトラベルなどが無ければ差別化は難しい。ポイントを求めるのか、そのままディスカウントを求めるのか?日本的な愛戸づくりが有効なのか?

 この記事だけ見た限り、かなりネガティブに思ってしまいました。

 一方アマゾンは物流とITテクノロジーに強みがあるので、違う文化でも一定の許容度がどこにいってもあるように思います。

 この記事見て思ったのは日本のEC業界上位10社、ほぼすべて中国に進出し、アマゾンチャイナ以外は全滅ですね。日本で受けるのはやはり低価格路線の通販企業(zozo除き)のようですが、この低価格路線企業は中国あたりにアジア市場を食われてしまうリスクが結構大きいのじゃないかな。

 
 個人的にはECで商品買うとき、僕は価格優先です。だから楽天で買う事はあまりないんですね。

 一つ大きな示唆になったのは、家電業界でアマゾン価格がリアルにも影響してきたという事。今のところ中国ではリアルとECは切り離されているように思います。一方、蘇寧や国美とかの家電大手がECで大手になってきており、こういう時代が早く来るかもしれません。そうしたらECの粗利益率が異常に低く、一方実店舗のコストが高すぎる上海では、店舗展開はもっと厳しくなってしまう。。

 頭に入れておかなければ。
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