日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

中国、ミルクの輸入に規制

2009-07-16 | 中国経済関連
 本日の香港のニュースで、中国が経営不振に陥っている国内ミルクメーカーの支援の為に、外国産ミルク、粉ミルクの輸入に規制を加えるそうです。

 来月から、ミルク、及び粉ミルクの輸入業者は輸入許可をその輸入時に毎回取得する。また、毎回政府に詳細な情報を提供するという物です。政府は規制を強化する上に、輸入管理を強化し、価格情報も詳細に集めるそうです。

 昨年のメラミンミルク事件以降、国内のミルク関連業者、農家の60-70%が赤字にあえいでおり外国産輸入ミルクに市場を荒らされており、メーカーは在庫がたまってしまって原乳を購入する為の十分な現金もないようです。特に、粉ミルク製造業の事情はミルクやアイスクリーム製造業に比べても惨憺たる状況だとの事。

 ミルク関連の輸入はこの4月までで前年比68%増の19万3千トンになる一方、輸出は前年比63.7%減の1万4千トンにおちこんでいるとの事。メラミン事件の中心と成った三鹿は倒産し、中国No1のミルクメーカー蒙乳もCofcoに株式を売却する状況に追い込まれている。

 ニュージーランド、アメリカ、EUが特に輸入市場で大成功しており、ニュージーランドからの輸入は昨年同期比で1.8倍の8万2千トンになっており、この3地域からの輸入品が輸入の89.1%を占めるそうです。また、これ等の国の原乳の価格が安い事も国内の乳業農家を脅かしているとの事。

 外国製は旧来は比較的裕福な層をターゲットにしており、価格も国内産に比べて1.5倍程度であり、国産は貧乏な家庭や田舎を対象に住み分けていましたが、昨年のメラミン問題以降は中間層も外国産を求めるようになってしまった。

 フランスのダノングループのDumexが国内のトップブランドですが、中国政府の具体的な方策が出るまではコメントを避けるそうです。http://www.scmp.com/portal/site/SCMP/menuitem.2af62ecb329d3d7733492d9253a0a0a0/?vgnextoid=032ddf7cc4f72210VgnVCM100000360a0a0aRCRD&ss=&s=Business

⇒昨年のメラミンミルク事件のおかげで、日本の明治の粉ミルクが大量に中国に輸入(正規じゃ有りません)されていました。また、和光堂も昨年秋から中国で日本産粉ミルクをそのままのパッケージで販売、アイクレオのミルクも正規輸入されたものを先日見たところです。

 正直中国市場参入のスタンスという点で、日本のミルクメーカーの対応は欧米系企業に大きく後れを取っており、唯一中国市場向け粉ミルクを販売している明治乳業製品も、市場シェアという点では事件前は3%にすぎませんでした。森永はハルピンに工場を持ちながら上海では製品を見かける事も無く、雪印はまだ再建途上の為か中国市場への動きは聞こえてきません(知らないだけでしょうが)。

 今回の規制が具体的にどういう影響を与えるかですね。

 基本的には政府が言う規制対象となる粉ミルクは正規輸入品であり、中国市場向けに製缶されたものが中心となるでしょうが、カルフールなどで販売している各国向けの製品、日本製で久光で販売されている牛乳等も影響を受ける事になるでしょう。日本製のは滅菌消毒した物を販売していますが、賞味期限が2ヶ月しかありません(まぁマトモナ製造をすれば是が限界なのでしょうけど)。現在でも輸入に伴う出荷時間、税関検査、製品品質検査の為に1ヶ月程度の時間を要する為に実質的に販売できる期間は1ヶ月しかないのが現実です。来月からの規制によっては、それ以上の検査機関を要することになると実際には販売できなくなってしまうかもしれませんね。

 さて、香港シンセン経由など、非正規のルートで入ってきているものに対してどういう規制が入るかですね。簡易関税を納めるか、上手く関税を逃れて物流が行われているのですけど、まともに適応されると量が大幅に減少するかもしれません。

 中国企業に対する保護主義を露骨に出してきましたね。表面的には景気は回復しているとしていますが、業界別に相当な差があるのが実情のようです。今後も中国市場向け商品販売に関しては障害が益々増えてくるのかもしれません。

 可愛そうなのは中国の消費者ですね。信用できない会社の製品を買わなければならない。そして、政府が規制を掛ければ供給量が減り、安全な外国製品は価格が高くなる可能性が大。 
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中国事業における代理店の選定

2009-07-16 | 中国EC事情・淘宝
 和光堂のベビ-フ-ドについて記載しましたが、参考までに久光という上海の百貨店地下の日本商品を置いてあるス-パ-の価格を提示すると。

         久光     西松屋等 
 お菓子関係  32元=500円   160-200円
 ベビ-フ-ド 50元=700円   200-280円
 食育ランド  20元=280円   80-100円

 一見してわかりますが、日本の大手ベビ-用品小売の3倍の価格設定がなされています。これが淘宝では、だいたい日本の1.5倍から2倍ですので、だいたい久光の30%引き程度で販売されています。和光堂の商品の久光での販売額が中国全土での5%程度らしいと聞きました。そして久光での月間販売額が400万円程度らしいとも聞きましたので、大企業の扱い量としてはまだまだでしょうね。淘宝の販売量がどのくらいになるか知りませんが、同じ水準にはなっているのではないでしょうか。

 さて、昨日ご紹介したグリコは中国での代理店の販売価格が日本の小売価格程度です。一般に小売は30%程度これに乗せていますし、カルフ-ル当たりの大手になると僕らの仕入れ価格並みで小売価格を設定しているときもありますので、最終小売価格が日本とは大差ないか1.5倍の範囲におさまるだろうと予測されます。

 グリコと和光堂、企業としての戦略が異なるとはいえ、最終小売価格でなぜここまでの差が出るのでしょうか?


※この記事の続きは有料となります⇒中国市場進出/販売実践会

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