日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

欧米銀、中国から大量流出

2009-07-21 | 中国経済関連
という題名の記事が日経ビジネスに掲載されています。元ネタはFainancial Timesですね。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20090716/200302/?P=1
抜粋とコメント:
・過去数週間、数多くの外資系金融機関が、株式の売却を禁じるロックイン期間の終了と同時に中国銀行の持ち株を手放した。

・英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)は資金調達を目的に今年1月、保有していた24億ドルの中国銀行株をすべて売却したが、現在は本土の個人と法人向け業務も売却しようとしている。
 ⇒RBSはそのものが倒産の危機に陥っているので、やむをえないのかもしれませんね。

・バンカメやRBSをはじめ、UBSやシティグループなど多数の外資系金融機関は2005~06年にかけて、中国の大手銀行に合計数百億ドルを出資した。当時、国営銀行は実質的に破綻状態にあり、大量の不良債権を抱え、融資の仕組みも時代遅れだった。
⇒今でも当時の不良債権は政府の管理下に飛ばしただけで、実際にどうなっているのかは解りません。
 
・当時、個人業務を手がける外資系銀行は、英HSBCのような歴史的に中国と関係の深い企業も含めて、中国本土に現地法人を設立することが認められておらず、人民元を使った商品を個人や法人に提供する能力を厳しく制約されていた。各社は中国の銀行に出資することは、クレジットカードなどの分野で合弁会社を設立し、数千万人の新たな顧客を獲得するための橋頭保になると踏んだ。

・「外資との提携の戦略的意義は過大評価されていた」。HSBCのアジア部門出身で、2005年には中国銀行の与信責任者に就任し、外国人として初めて本土の有力銀行幹部となったロニー・ドウン氏*1はこう指摘する。「中国の銀行は外資を自らの最優良顧客に引き合わせるつもりはなく、外資側も当初は中国市場に対する明確な戦略を持ち合わせていなかった」。
⇒中国側の態度は別に銀行業界に留まらず、基本的にはどの業界でも同じでしょうね。まぁ、中国というよりどこの企業でも自分の有料顧客を提携先にそのまま紹介することは無いので、非難すべき事ではないのではないか。

・ただ、戦略的意義の多くが幻想に過ぎなかったとはいえ、提携は両者に恩恵をもたらした。外資の含み益は最大で出資額の3倍に達し、中国銀行の上場はいずれも成功を収めた。現在、世界最大の預金額を誇る中国工商銀行は、2006年10月の香港と上海市場への同時上場で220億ドルを調達。これは現時点でも過去最高の記録だ。
⇒外資銀行は大きなキャピタルゲインを得たということですね。

・中国工商銀行の主要株主は米ゴールドマン・サックス、米アメリカン・エキスプレス(アメックス)、そして独保険会社のアリアンツだった。ゴールドマンは6 月に5%の持ち株の5分の1を19億ドルで売却した。その5週間前にはアメックスとアリアンツがそれぞれ持ち株の半分を売却し、同じ額を手に入れている。バンカメは中国建設銀行株の10%を100億ドルで売却した。同社はさらに10%を保有しているが、その大半は2011年まで売却できない。
⇒投資者の経営状況も関係しているでしょうが、キャピタルゲインを実現化させているだけだと思えば良いのでは?

・外資系銀行は2006年12月、現地法人設立をついに認められ、制度変更を受けて26社が現地子会社を設立、個人向け銀行業務を開始した。全国レベルでは外資の資産規模はまだ業界全体の2.2%に過ぎないが、大都市での比率は高く、徐々に上昇を続けている。
⇒2.2%が中国の富裕層と考えれば、定義によりますが外資系金融機関の潜在優良顧客は中国の人口の5%程度しかいないはずですから、2.2%って結構馬鹿にできない数字ではないでしょうか?

・中国では社会保障の安全網が整備されておらず、予想外の医療費や教育費に備えるため貯蓄率は高い。高い金利負担を避けるため、クレジットカードの延滞率は比較的低い。中国人の大多数はデビッドカードを好むが、これは毎年手数料収入をもたらすため、支店網の充実した国内銀行に好都合だ。「クレジットカードの発行枚数は10年以内に数億枚に達する」というRBSなどの予測は、実現にはほど遠い。
⇒クレジットカードに対する見たかなんですが、一つ参考になるかと。でも、上海の比較的お金持っている人たちはカード使いまくります。

・マッキンゼーによると2007~12年の世界の金融業界の収益増加分の3分の1、金額にして6000億ドルのうち2000億ドルは中国市場から生じる見込みだ。「ニッチな業務や地域に集中し、国内勢と規模で争わない方が外資の成功の可能性は高まる」と同社のピッツリス氏は語る。アナリストは外資系銀行に収益機会をもたらすニッチ分野として、法人向け銀行業務や投資銀行業務を挙げる。ここには中国に多数存在する多国籍企業の日々の事業活動を支える業務、すなわち国内勢が比較的弱い資金管理や為替業務などが含まれている。
⇒これは日本の外銀も同じでしょう。

・西側の銀行関係者は危機の結果、中国当局は外資系銀行の新規参入、支店網や業務の拡大を認めることに、極めて慎重な姿勢を取るようになると見る。対応が軟化する要因として考えられるのは、厳格な姿勢が外国からの返り討ちに遭い、国内銀行の海外展開に支障を来すリスクが生じた場合だけだろう。中国の銀行は貿易金融を手がけようと、国際市場でのプレゼンス向上に意欲を燃やしており、アジアなど世界で小規模な銀行の買収を目論んでいる。

・また上海は国際的な金融のハブとしての地位を確立することに意欲的だが、海外の金融機関の大規模なプレゼンスがなければそれは不可能だ。「中国で活動する外資系銀行は、現在低水準にとどまる自分たちの市場シェアが大幅に高まらない限り、国際的な金融センターになるという上海の目標は実現しないと考えている」。PwCの金融部門トップのマービン・ジャコブ氏はこう指摘する。
⇒上海市住人としては、益々この市の将来の希望が減る事になりますが、中国の場合は香港が既に金融センターになっており、香港と上海をどう区分するかが大きな課題になっています。金融人材の層を考えても、上海がアジアの金融センターになると言うのは容易じゃ無いと正直思います。

・中国政府主導の景気刺激策を受けて、国内銀行はここ数カ月、大々的に融資を拡大しており、法人向け融資などの分野で外資のシェアはさらに侵食されている。経済成長が鈍化し、鉄鋼、不動産、輸出といった主要産業が冷え込む中でも、本土の大手銀行は資産内容と利益は改善すると豪語する。

 ただ、こうしたバラ色の展開は長くは続かないと見る者は多い。中国政府はアングロサクソン流銀行モデルの失敗を「いい気味だ」とあざ笑う気持ちを隠せないが、再び欧米諸国に資本とノウハウの提供を求めるのは時間の問題だという見方も、銀行関係者にはくすぶっている。
⇒多分。そうなるでしょう。バブルを作って何とか経済支えているのが実態と思えば、崩壊するのは時間の問題でしょう。

 欧米系の銀行が中国から大量流出という題名ですが、金融危機で苦しむ欧米形の銀行がその中国の銀行の持ち株を売却するのではないかという話は昨年末から言われていました。それが実行に移されただけの話ではあります。

 でも、この記事見て改めて思うのは、日本人と異なり非常にドライな欧米の金融機関は、
・中国の銀行株式を既に高すぎると見ているのではないか。だから目先のゲインの獲得の必要性という視点だけでなく、長期的な視点を踏まえても売却しているのではないか。

・中国経済の将来性に対し、メディアでは散々明るい話題をあおりながらも、冷静にネガティブファクターを見て取っているのではないか。

・少なくとも中国市場に関しては、マスマーケットを狙う意向は無い。

 ハイエナというと言い過ぎですが、外銀のすばしっこさとずるさは誰もが認めるところではないでしょうか。この記事では中国の銀行の株式売却だけしか捕らえられていませんが、市場の将来性という点では日本より中国の方が可能性が大きい事は誰もが否めないはずです。長期的な成長期待度の薄い日本の資産の売却をしないで、中国の銀行株売却をしているとしたら、目先がいきずまった銀行は別にして、その行動の意味を考える必要があるのかなと思いました。

 ユダヤが中国を見放しだした、とか誰かが言い出しますかね。
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上海で最も流行っている日本料理店

2009-07-21 | 上海ライフ・子育て
 久々の日本料理屋の紹介なんですけど、先週娘が無事に1歳の誕生日を迎え、何処に行こうかと考えていたのですが、嫁の選択で以前一度行った事のある日本料理屋さんに行ってきました。
 
店舗名:初花
住 所:上海市虹橋路1446号古北大酒店3階
電 話:6208-0645

このホテルは日本人の出張者も結構泊まるホテルで、4階が日本人向けのカラオケがあります。

 さて、最も流行っているといいますが、これはあくまでも中国人に対してのことであり、日本人が対象では有りません。以前行ったときも感じたのですが、先週は日本人は私だけではないのかと思うような感じでした。そして、中国人というより正確には上海人が圧倒的で店内のお客さんの会話はほぼ上海語でした。という事は事業家というより外資系勤務のサラリーマンが多いのではないかと思います。

 値段は、食べ飲み放題で一人230元。子供も70cmから120cm以下はその半額を払いますので、上海に有る食べ放題系の日本料理屋の中ではまぁ高めの値段設定です。といっても一人4000円食べ飲み放題という事で日本の居酒屋と同じレベルの客単価ですよね。

 店内は全て禁煙で、エレベータホールを出た入り口の前で喫煙をする事になります。何故かロリポップも沢山於いてあり、家の腕白坊主は一旦席についてからも何度もロリポップを取りに行ってちょっと恥ずかしい思いをしました。

 メニューは色々揃っていますし、味もまぁまぁだとおもいます。そして刺身などに関しては、中国人客には十分に新鮮と移っているようです。車えびとかもありますので(本物かな)、お得感は確かにありますね。何故か鮎があって嫁が勝手に頼んだのですが、これはちょっと泥臭かったですね。

 店は広く100席以上はあるように見えました。そして満員。

 ネットの評価では上海人の間では、日本料理といえばこの店という事になっているようです。同名の日本人向けの店舗があるようですけど、日本人の人たちはこの店みてどう感じるのでしょうか?

 いずれにせよ、上海で中国人向けレストラン事業を考える方は、絶対にはずせないお店ですね。

そしてもう一つ。この店って日本人向けフリ-ペ-パ-には少なくとも積極的には広告を出していないようです。日本料理や煮は通常広告を出している関係でフリ-ペ-パ-があるのですが、この店にはなかったです。もしかしたら欧米系の不利-メディアには出しているのかな?
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