創立30周年記念展と伝統のある「泉会」というグループの書作展が、市民ギャラリー
で開催されました。
書作の展示会は、絵画などのそれとも何か一味二味違った雰囲気があります。
静謐感とでも言うのか落ち着いたただづまいで厳粛な空気さえ漂う様です。
当館でも、「書」を展示するのは、丁度1年前に『 千翠会「書」in茅ヶ崎』以来で
2回目になります。
私は子供の頃から現在に至るまで、自分の字には大きな引け目を感じています。
我ながら厭になる位で、無意識にも意識的にも出来るだけ人様には字を見せない
様、書かない様になっています。
そんな自分ですから、書の作品の前では一語の言葉もありません。
展覧会などに行くと困るのが、芳名帖へのサインです。特に書の展示会では
躊躇してしまいます。書くには余程の勇気と度胸を要します。
「ご署名をどうぞ!」と言われて、やむなく筆を持ったが、受付の人が手元を
見ているので、恥ずかしさと冷や汗で思わず照れ笑いが出てしまう。
やっと字らしきモノを書いたら、「個性的で良いじゃないですか」とその受付の方
が慰めてくれた。
「字も練習だ」だそうだが、あいだみつお氏の字に憧れたり、やはり楷書が良いか
と思ったり丸く太い字が良いと思ったりしたものだが、結局繰り返しの手習いを
するのも、生来の怠け癖と、そしてある時、何かの拍子に、字はやはり持って生まれた
センスや才能ではなかろうかとの思いに至ったことなどがあって、結局はワープロや
PCのワード人間になってしまった。
しかし字へのコンプレックスの故か、洒脱で奔放で個性的な字を見ると、人一倍心惹か
れたり憧れたりするのかも知れません。
同展の素敵な作品を見ているとふと、もし私がこんな字を書けたら、文章を書くのは好き
な私はきっと手紙を書くのが楽しくなって、手紙魔となって友人知人に畏れられたかも
知れないなぁ なんて想像をしてました。
ただただ感心して無言で観賞するばかりでありました。
さて、同会には、私の絵の仲間であり、酒の師匠でもあり、良き人生の先輩でもある
クロちゃんこと、石黒俊行さんが1点を出品して居られたので、ここに展示を
させて頂きました。