誠茅庵という名の小さな小さな美術館

絵や写真、そして雑感日記。。
六十の手習い(水彩画、スケッチ等)帖。

 平成22年のファイナル展を終えて

2010年12月31日 | Weblog
  年末のご挨拶

本年もたびたび当館へご来場頂き、ブログにお付き合い下され誠に有難う御座いました。
今年こそ、少しは絵画評論家らしくなるため、少なくとも入門見習いからせめて初心者評論家位には進化するべく、そこそこ程度は勉強したのですが果たせなかった様です。
多くの絵を見るという実技がまだまだ足りないのでしょう。
10万枚を見なければ一人前の評論はできないそうです。
来年こそは多くの絵を見て、目を肥やし鍛え、拙いなりに心の評論が出来る様に努力する所存です。

23年も何卒よろしくお願い申し上げます。
今年への感謝と共に、来年も御来館下さる皆様の、ご健康とご多幸、そしてご活躍を心からお祈りしております。
 では良いお年をお迎え下さいませ。 22年大晦日。 ー館主拝ー

22展ー18 企画NO,16 谷生広泰氏の版画3点

2010年12月31日 | Weblog
 谷生さんの版画より。

今年(22年)の最終展として或る展示会から、作者の谷生氏のご承認を頂き
その3点を陳列させて頂きました。

11月に銀座のワイナックス ギャラリーでの「ハイテクOB展」なる案内状が
舞い込みました。
それを見た時、一瞬それはコンピューター関係の展示会かしらとか、
それを使って創造した映像展か、或いは超現代的なアートなどの案内状かと思いました。
よくよく見ると,何と同じ会社のOB、15人の有志が集まった絵画展でありました。
同じ会社の顔触ればかりというのが一寸珍しいものでしょうか。
私は、まことに残念ながら所用と体調の都合で東京まで行くことが出来ませんでした。

先日、今回の展示作品の作者、谷生広泰さんから、写真のアルバムで展覧会の全作品を見せて貰いました。
得てして「写真だとよく見えるもの」と言いますが、決してそんなことはありません。
どの作品も素晴らしいものばかりで驚いた位です。
許可を頂いてないのでその全作品をここで陳列することが出来ないのが、とても残念でさえありました。

あのやたらと忙しく、組織に縛られて、無味乾燥の雰囲気で、数字と権欲と生存競争のあの無機質な会社という世界に、しかも特にそんな世界をトップランナーとして自ら突き進んだ人達ばかりだというのに、こんなに美的心や詩の心、ナイーブさ芸術性が内面にはあったのか、あるいは培われてたのかと言うことに不思議な驚きを覚えました。

忙しい世界でしたから、一部の方を除いては、現役時代からやって居られたとは一寸考えにくいので、するとこれは、閉じこめられていたその方の本性、本質というか、芸術性、美への憧憬、才能と言った物が、定年後に一気に開花したと言ったところでしょうか。何だかこちらまでとても嬉しくなってくるような気持です。

実を言うと、恥ずかしながら私もその同じ会社の一員だったのですが、こんなに多才で、デリケートで温かい人間性を持った人が、こんなに沢山居られたとは、(数人は居られるのは承知していましたが)、不肖私には感じることが出来ませんでした。
まことに自分の不明を恥じる様な思いです。同時に心の中に何か温かいものを感じます。

さて、今回展示の谷生さんは、定年後長野の八千穂の別荘の山荘に、年のうち半分を過ごし、畑をやり、絵や版画に没頭するという生活です。
私なども、昔は夢に描いた様な生活スタイルですが、多くは、現実には諸事情(病のこと、経済上や家族のこと、趣味の種類のこと等)によって実現しないものです。

数年前、私もスケッチ行で同氏の山荘にお世話になったことがありました。
あんなロケーションであんな素敵な山荘でに、腰を落ち着けて絵画三昧に耽ったら、私でも少しは良いのが1枚位は描けるのではなかなぁと羨ましく思ったものです。

しかしよく考えてみれば、大きな病気を幾つも抱え、何事にも厭きっぽく、孤独は駄目で、独り居は淋しくて出来ないタイプではとても無理なことだし、そうした生活は永遠に高嶺の花のようです。谷生さんはすこぶる付きのオールAの健康体で何事にも真摯に追求するタイプだからこそ、そうした素晴らしい生活が、素敵な作品ができるのでしょう。

谷生さんに、そして他の14人の方々に、こころからの敬意を表しながら展示させて頂きます。
 どうぞごゆっくりと御覧下さいませ。


22展ー18 企画NO,16 谷生広泰氏の版画3点

2010年12月31日 | Weblog

  谷生さんの版画より  作品ー1/3

   『風の盆』

  色使いも色合いも繊細で豊かで、作者のセンスを感じます。
  あの風の盆の風情や詩情が伝わってくるようです。
  版画で、この動きのあるものや、寂のような繊細な情感を表現
  するのは難しいことと思いますが、何やらそんなものを感じて
  来るではありませんか。

22展ー18 企画NO,16 谷生広泰氏の版画3点

2010年12月31日 | Weblog

  谷生さんの版画より  作品ー3/3

    『太鼓』

  構図、アングルが特に素敵です。
  太鼓にポイントを置いたユニークにして且つ計算された心憎いような
  アングル取りです。
  バチが今にも動き出しそうです。たたいている人の顔が、作者の意図の如く
  思わず見えてくるようです。きっと、頭はごま塩の短髪で細面の粋な人なの
  でしょう。



  以上、3点を見て頂きました。
  今回もご高覧を感謝致します。又来年からの次回展をご期待下さい。


  

22展ー17 企画NO,15 グループ藍 木版画展より

2010年12月07日 | Weblog

  「第40回 木版画展」 グループ「藍」

 先月末に駅前の市民ギャラリーの展示場で開かれました。
私は、もう見続けて15年以上にもなるでしょうか。第40回ということが語っているように、皆さん大のベテランで、年季の入った素晴らしい作品ばかりでした。
しかし、こちらの世界も高齢化で、年々会員数が少し淋しくなっているのが残念です。

前は皆さんめいめいが各月を受け持ち、1~12月の季節の版画を制作し、素晴らしいカレンダーを作るという素敵な趣向をやって居られたものです。
それも人数が12人には足りなくなって、昨年当たりから見ることが出来なくなりました。

いつもは殆ど、スケッチ画、水彩画展と称したスケッチ画や淡彩画とか水彩画、そして油彩画ばかりを見ているので、版画の独特な味わいが新鮮で、絵とは又一味違った面白みがあるものです。

知人はお一人だけでしたし、他の方々にもお会いできずそれ等の作品を陳列できなかったのが心残りでしたが、まずは知人であるお一人の3作品をじっくり御覧下さい。

22展ー17 企画NO,15 グループ藍 木版画展よりー1

2010年12月07日 | Weblog

  今年もこのグループ「藍」のシンボルのようなこれを、会場の入り口の所で
  見ることが出来ました。
  布地に藍色で描かれた素敵なものです。会の歴史を感じます。
  初代の会長だっか、先生だったかが作られたものだそうです。
  素敵な色、風合いがとても印象に残るものです。

22展ー17 企画NO,15 グループ藍 木版画展よりー4

2010年12月07日 | Weblog

  作品NO-3/3

   真弓 千枝さん作  『西伊豆』


この3点の作者、真弓さんはあの「鶴彩会」でもう長く水彩をやって居られます。 それ以上にこの版画は長いそうです。さすがのキャリアが感じられます。
水彩も版画も、デッサン力と色の感覚やセンスは必至な訳ですから、互いに役立ち制作上も良い作用があるのでしょう。
版画では、雪景色が一番難しいとか何かの本で読んだことがありますが、このモノトーンで表現された「西伊豆」は、構図そして色の濃淡による遠近感など、見事な作品です。

今は先生も居られず、月に一度は集まって制作し、ベテランが新しい人に教えたり、皆で教えあったり話し合ったりで楽しくやって居られるようです。
しかも毎年欠かさず発表会をやって居られるのは、大変でしょうが素晴らしいことです。
こうした目的、目標のようなものを持つのは、我々年代の自由気ままな趣味の活動と言えども、とても大切なことだと言います。

趣味というのは、何でもそうなのでしょうが特に創作系のものでは、1人で部屋に籠もって誰にも見せず話さず、どんなに楽しく1人シコシコやって自分の殻に閉じこもっていては、それでは本当の楽しさは半分でしょう。
人に見て貰い、笑われけなされ、時には褒められたり喜ばれたりしてそこで初めて本当の趣味の楽しさ、充実感、開放感等が味わえるのだそうです。
高望みなのか、己を知らないのか、極めてシャイなのか、そうした機会を頑なに拒否する人も結構居られます。

その反対に、自己顕示欲の塊やまるで露出狂かのごとく、やりたがり出したがりも仕切たがりも、それこそ身の程知らずで嫌なものですけど。
趣味とは、生きるハリであり、生き甲斐にもなり得て、楽しい時間を得るものなのですから、孤高を気取ったり、本当に孤独だったり、見栄とか羞恥心をさっぱり脱ぎ捨てて、自分で楽しく、周りと仲良く和気藹々(グループやサークルでは特にこれが重要)、励まし励まされながらやることが、本来の趣味の醍醐味でありましょう。

同会にも最近、若い男性の新人がお2人も入られたと伺いました。
ますますこのグループも発展されていくことでしょう。ご活躍を祈ります。


 本日は、誠茅庵美術館への御来館ありがとう御座いました。
早いもので22年ももうすぐ過ぎていきます。
絵画、美術愛好家の皆様方の、来年の健康とご活躍をお祈り申し上げます。
来年も又よろしく御来館、お付き合い下さいませ。 ー多謝ー 館長拝