考えるキャベツ。
今日のことだ。
ベッドに座っているある93歳のおばあさん、
おなかが少々張っている感じを受ける。
確かに、以前から便秘がちのお方。
耳が遠いので、耳元で大きな声で、ゆっくりと話す。
「おなか。苦しくないですか~」
おばあさん、
目を見開いて、こちらに身を乗り出し、
こう言った。
「あぁ~~? た・な・か?」
もう一度、ゆっくり大きく答える。
「違いますよ。たなかじゃなくて、お~な~か~! おなか、張っている感じはありませんか?」
両者、瞳を見つめ合う。
おばあさん、目を大きく見開き、なにやらうなずきつつ、
「の~な~か? のなか?」
と、いつも病棟に響く大きな声を、さらに大きくして返答する。
両者、互いを見つめ合う。
キャベツ、おばあさんのお腹をぽんぽんと触れつつ、
「ち~が~い~ま~す~よ(苦笑)
ここ! おなか。
おなかの具合はいかが?」
このとき、おばあさん、耳に手を添え、こちらにもっと寄せつつ聞いてくれたのだ。
そして、こうおっしゃった。
「よなか? よなかに何があるの? どこかへ連れてってくれる?」
・・・・・コミュニケーションとは、かくも 1)難しい...
【注】
1)かくも:このように
○写真は、オーギュスト・ロダン(François-Auguste-René Rodin:1840~1917年)の「考える人」
むろん、一抹の笑いを添えて。