みなさん、特段興味はないと思いますが、今日は相対性理論の「ミス・パラレルワールド」の構造を少し分解してみたいと思います。
この曲は僕が今年イチオシの曲のひとつでしたが、どういう構造になっているのか分解しながら、その魅力に迫りたいと思います。
1、コードとスケール
ではまず、ミス・パラレルワールドのコードを耳コピしてみたので、それを見てみましょう。
イントロ
G♭M7 A♭ B♭m
Aメロ
E♭m9 Fm7 G♭ B♭m
Bメロ
A B E A B G#
サビ
BM7 C# D#m
適当に耳コピしたので、普通に間違っているかもしれません。
*イントロのコードは、ベース音からすれば違うと思う方もいると思いますが、あれはベースのラインの問題で、コード自体はこの3つの展開であっていると思います。
*M7とか9とかは、ここでは厳密には考えていません。
ここから次のようなことが分かります。
まず、イントロのキーはD♭。それ自体は特別ではありません。
押さえておきたいのは、イントロのコードの展開で、これがIV⇒V⇒VI。
いわゆる、ポップスやロックでよく出てくる展開なのですが、非常に味が強い。ベタな感じになりやすい展開です。
この曲の特徴は、転調しながらこれが繰り返される点です。味が強いコード進行をとにかく押してくる。
さらに、イントロで耳を引くのがペンタトニックのスケール。いわゆる五音音階です。東アジアっぽい音の響きです。
相対性理論は、とにかくこのペンタトニックをやたら使います。それがこのバンドの特徴です。
次にAメロですが、ここでのキーもD♭。
コードの進行は、II⇒III⇒IV。普通です。味が強いイントロの展開を維持しながら、一旦おさめる進行という感じでしょうか。
興味深いのはBメロで、Aメロから上に2度転調してE♭になります。
2度上の転調はいわば浮遊感が強い効果を持ちます。
味の強いイントロから、それを維持しつつ、少し抑えたAメロ。このストレートな展開を2度の転調で浮遊させます。
浮遊させることで、サビへ展開する力をためます。
すなわち、サビに展開したときに、浮遊している間にたまった力を一気に解放し、聴き手に溜飲を下げさせる狙いです。
浮遊している間もコードはIV⇒V⇒VI。
先に言っちゃいますが、サビもこの展開で、イントロ=Bメロ=サビ、ということになります。
浮遊しながら、調違いで同じ進行をすることによって勢いを維持し、サビにつながりやすいようにします。
ここから、サビで上に短3度転調転調してF#。そして、コードはまたIV⇒V⇒VI。
短3度上の転調は非常によく使われるもので、きれいです。
テンションが一気に上がる展開と言えるでしょう。
さらに、サビのメロディ「パラレル、パラレル、パラレル・・・・ワールド」は見事なペンタトニック。
そこにほぼ一貫した味の強いコード進行。
まさに相対性理論らしさ全開です。
2、リズム
「ミス・パラレルワールド」のリズムは、全体に少しバックビートが強め。
ちょっとファンクっぽいです。
イントロはまさにそういう感じで、Aメロはその展開を抑えます。
Bメロは完全にバックビートが弱く、浮遊感全開。
サビはファンクっぽいバックビートの強いリズムでがんがん押してきます。
3、歌詞
最後に歌詞を分析してみましょう。
Aメロの最初はこうです。
「秘密の組織が来て 8時のニュースが大変 都会に危機が迫る 巨大な危機が迫る」
わずかに韻を踏みつつ、内容は完全にファンタジーです。
聴き手はまず「秘密の組織って?」と思うでしょう。
次がポイントで、Aメロはさらにこうなります。
「暇ならわたしと来て こわれた世界を体験 時代の危機が迫る 希代の事態となる」
暇ならわたしと来て、で聴き手はちょっと惹きつけられます。どういうわけか、来るように呼びかけられてしまったわけですから。
Bメロでは、浮遊感に合わせて場面が大転換。
「放課後 ふとよぎるテレパシー(シンパシー)
わたし 遠い未来にあなたとまた出会う」
浮遊感が「テレパシー」という語句とぴったり合っています。
そのあと、「あなたとまた出会う」と来るので、また聴き手は呼びかけられているわけですが、さっきの「わたしと来て」よりも、「また出会う」は運命に引き寄せられる印象が強い。
運命といった何か巨大な流れを連想をさせつつ、次のサビの怒涛の展開を待つ音の状態が、パラレルな関係にあるように見えます。
サビは、
「東京都心は パラレル パラレル パラレル パラレル パラレル パラレル ワールド」
とにかくパラレルを繰り返しまくります。同じ言葉を何度も繰り返すことには非常にインパクトがあるだけでなく、
パラレルの音の響きと3つのコードの繰り返しが混じって、ぐるぐる回っている感じを聴き手に与え、タイムスリップするようなファンタジー感を生じさせているように思えます。
4、結論
この曲の特徴は強い味のコード進行です。この味の強さはアニメっぽいです。
そして、歌詞の内容もファンタジー。
かなり二次元感が強いと言えます。それにボーカルのアニメ声が混ざるから、もはやこの曲全体がアニメと言っても過言ではない。
そういう意味で日本のポップカルチャーらしいし、それを求める大衆がいるので需要もある。
しかし、これだけ濃い構造にもかかわらず、転調とリズムのメリハリが巧みなので、聴き手を飽きさせないようになっています。ここがポイントです。
この曲は僕が今年イチオシの曲のひとつでしたが、どういう構造になっているのか分解しながら、その魅力に迫りたいと思います。
1、コードとスケール
ではまず、ミス・パラレルワールドのコードを耳コピしてみたので、それを見てみましょう。
イントロ
G♭M7 A♭ B♭m
Aメロ
E♭m9 Fm7 G♭ B♭m
Bメロ
A B E A B G#
サビ
BM7 C# D#m
適当に耳コピしたので、普通に間違っているかもしれません。
*イントロのコードは、ベース音からすれば違うと思う方もいると思いますが、あれはベースのラインの問題で、コード自体はこの3つの展開であっていると思います。
*M7とか9とかは、ここでは厳密には考えていません。
ここから次のようなことが分かります。
まず、イントロのキーはD♭。それ自体は特別ではありません。
押さえておきたいのは、イントロのコードの展開で、これがIV⇒V⇒VI。
いわゆる、ポップスやロックでよく出てくる展開なのですが、非常に味が強い。ベタな感じになりやすい展開です。
この曲の特徴は、転調しながらこれが繰り返される点です。味が強いコード進行をとにかく押してくる。
さらに、イントロで耳を引くのがペンタトニックのスケール。いわゆる五音音階です。東アジアっぽい音の響きです。
相対性理論は、とにかくこのペンタトニックをやたら使います。それがこのバンドの特徴です。
次にAメロですが、ここでのキーもD♭。
コードの進行は、II⇒III⇒IV。普通です。味が強いイントロの展開を維持しながら、一旦おさめる進行という感じでしょうか。
興味深いのはBメロで、Aメロから上に2度転調してE♭になります。
2度上の転調はいわば浮遊感が強い効果を持ちます。
味の強いイントロから、それを維持しつつ、少し抑えたAメロ。このストレートな展開を2度の転調で浮遊させます。
浮遊させることで、サビへ展開する力をためます。
すなわち、サビに展開したときに、浮遊している間にたまった力を一気に解放し、聴き手に溜飲を下げさせる狙いです。
浮遊している間もコードはIV⇒V⇒VI。
先に言っちゃいますが、サビもこの展開で、イントロ=Bメロ=サビ、ということになります。
浮遊しながら、調違いで同じ進行をすることによって勢いを維持し、サビにつながりやすいようにします。
ここから、サビで上に短3度転調転調してF#。そして、コードはまたIV⇒V⇒VI。
短3度上の転調は非常によく使われるもので、きれいです。
テンションが一気に上がる展開と言えるでしょう。
さらに、サビのメロディ「パラレル、パラレル、パラレル・・・・ワールド」は見事なペンタトニック。
そこにほぼ一貫した味の強いコード進行。
まさに相対性理論らしさ全開です。
2、リズム
「ミス・パラレルワールド」のリズムは、全体に少しバックビートが強め。
ちょっとファンクっぽいです。
イントロはまさにそういう感じで、Aメロはその展開を抑えます。
Bメロは完全にバックビートが弱く、浮遊感全開。
サビはファンクっぽいバックビートの強いリズムでがんがん押してきます。
3、歌詞
最後に歌詞を分析してみましょう。
Aメロの最初はこうです。
「秘密の組織が来て 8時のニュースが大変 都会に危機が迫る 巨大な危機が迫る」
わずかに韻を踏みつつ、内容は完全にファンタジーです。
聴き手はまず「秘密の組織って?」と思うでしょう。
次がポイントで、Aメロはさらにこうなります。
「暇ならわたしと来て こわれた世界を体験 時代の危機が迫る 希代の事態となる」
暇ならわたしと来て、で聴き手はちょっと惹きつけられます。どういうわけか、来るように呼びかけられてしまったわけですから。
Bメロでは、浮遊感に合わせて場面が大転換。
「放課後 ふとよぎるテレパシー(シンパシー)
わたし 遠い未来にあなたとまた出会う」
浮遊感が「テレパシー」という語句とぴったり合っています。
そのあと、「あなたとまた出会う」と来るので、また聴き手は呼びかけられているわけですが、さっきの「わたしと来て」よりも、「また出会う」は運命に引き寄せられる印象が強い。
運命といった何か巨大な流れを連想をさせつつ、次のサビの怒涛の展開を待つ音の状態が、パラレルな関係にあるように見えます。
サビは、
「東京都心は パラレル パラレル パラレル パラレル パラレル パラレル ワールド」
とにかくパラレルを繰り返しまくります。同じ言葉を何度も繰り返すことには非常にインパクトがあるだけでなく、
パラレルの音の響きと3つのコードの繰り返しが混じって、ぐるぐる回っている感じを聴き手に与え、タイムスリップするようなファンタジー感を生じさせているように思えます。
4、結論
この曲の特徴は強い味のコード進行です。この味の強さはアニメっぽいです。
そして、歌詞の内容もファンタジー。
かなり二次元感が強いと言えます。それにボーカルのアニメ声が混ざるから、もはやこの曲全体がアニメと言っても過言ではない。
そういう意味で日本のポップカルチャーらしいし、それを求める大衆がいるので需要もある。
しかし、これだけ濃い構造にもかかわらず、転調とリズムのメリハリが巧みなので、聴き手を飽きさせないようになっています。ここがポイントです。
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