今回は、A!CTION(ア!クション)製の杉浦式自動拳銃のモデルガンを紹介します。
先日お知らせしましたが、このモデルガンの解説漫画(A4二つ折り・3P)を私が描きまして、それが製品のおまけとして同梱されてます。で、有難いことにモデルガン本体をア!クションさんが贈呈して下さいました。「これはレポートしなければ!」というわけで今回のエントリーとなりました。
製品は無可動のいわゆる文鎮モデルですが、マガジンとマガジンキャッチはライブです。グリップは木製で、固定用ビスともども別パーツとなってます。杉浦式の刻印は深くはっきりと入れられててイイ感じです。
外観の雰囲気・再現度は当然バッチリです。実銃の各部のラインって、ほんと微妙な感じなんですよね。漫画を描くために、ずっと写真をガン見してたのでそれがよく分かります。
32ACPのダミーカート8発が付属。銃本体はABS樹脂の削り出し。古美塗装仕上げや、真鍮製の超豪華バージョン(それぞれ受注生産)もありますし、日活コルトバージョンとしても発売されてます。詳しくは公式HP↓をご覧ください。
で、杉浦式拳銃とはなにかをざっくり解説します。杉浦式は1941年ごろ、中国の北京にあった杉浦工廠(私企業で経営者は日本人)が製造した拳銃です。杉浦は経営者の苗字です。同工廠は現地の親日的な中国軍向けに小銃や拳銃を生産していたようです。杉浦式もこれらの軍隊や日本軍将校に供給されたようで、太平洋戦線で連合軍に鹵獲されたものもあるようです。ちなみに、工廠というと日本の砲兵工廠のような官営の大工場をイメージしてしまいますが、中国語では単に工場を工廠と呼ぶそうです。
1943年に経営者が変わり北支工廠(経営者は同じく日本人)となり、杉浦式と刻印されなくなりましたが製造は続けられ、杉浦式・北支型は現在数10丁(資料によれば39丁)が現存しています。確認されているシリアルのマックスは5839なので、多くとも1万丁も製造されてないでしょう。総生産数はじめ開発の経緯、設計者名などほとんどのことが不明で、はっきりとした資料もほぼありません。謎の多い拳銃なのです。
というわけで、当然ながら日本の十四年式や南部式のような知名度はなく「知ってる人は知ってる」、マイナーとされる拳銃です。とはいえ、ネットで情報量が爆発的に増えた今では、昔に比べると知名度は上がっているように感じます。
とはいえ当然ながら、杉浦式のトイガンはこれまで発売されたことがありません。ガレキでもなかったんじゃないかと思います。あの頑住吉氏ですらもリリースしませんでしたから(予定にはあったかもですが)。なのでこのモデルガンは世界初の立体化です。無可動ながら忠実に実銃を再現しているのは先に書いたとおり。それにしても、立体の杉浦式をこの手にできる日がくるとは、、、。
とはいえ当然ながら、杉浦式のトイガンはこれまで発売されたことがありません。ガレキでもなかったんじゃないかと思います。あの頑住吉氏ですらもリリースしませんでしたから(予定にはあったかもですが)。なのでこのモデルガンは世界初の立体化です。無可動ながら忠実に実銃を再現しているのは先に書いたとおり。それにしても、立体の杉浦式をこの手にできる日がくるとは、、、。
無責任なことは言えませんけど、まあ今後杉浦式がトイガン化されることはないでしょう。なので超貴重なモデルガンだと思います。
先に書いたように、マガジンはライブの金属製です。ダミーカートは実物の流用ではなくて、真鍮無垢削り出しのメーカー製(と思います)。袋開けろよ、かもですが勿体ないので開けません(笑)
文鎮モデルですけど、マガジンがライブというだけでも嬉しいですね。当然、マガジンキャッチもライブとなってます。
杉浦式のモデルとなったと思われる、コルトM1903(MGC製モデルガン)との比較。
確かに似てますね。ただ、世間で言われているように「まんまコピー」ではないようです。
ぱっと見は似てるんですけど、アウトラインが微妙に違います。でも全体的な印象は似てますね。どないやねん、ですが。
その辺は解説漫画でも描きました。似てるとこは似てるんですけど、似てないところは似てないですね。先にも書きましたけど私は「コピー」とは断言できないな、と思ってます。
グリップ下部のUP。マガジンキャッチにはスプリングのテンションがかかってますので、ここは可動式として楽しめます。
マガジンだけでも着脱できるのは嬉しいですね。
コルトとの比較。上がコルトで、下が杉浦式。
杉浦式のマガジンキャッチの幅が狭いことが分かります。また、マガジンボトムの受けのために、フレームが先細りに削り込まれてますね。
で、こういうマガジンキャッチは「コンチネンタルタイプ」といわれてますね。以前は「ヨーロッパタイプ」といわれてたような、、と思って調べたら「コンチネンタル」というのは「大陸風」という意味だそうです。イギリス視点の言葉なので、この場合の大陸は欧州を指すとのこと。なーんだ、という。要は「ヨーロッパの自動拳銃にありがちなマガジンキャッチ」っていうことですね。なるほど、、、。
閑話休題。銃口部です。バレルとバレルブッシング、リコイルスプリングガイドは金属製の別パーツ(分解不可)です。
この辺もコルトに似てますね。
後方から見た様子。左がコルト、右が杉浦式です。スライドとフレームの結合部断面(これ、何か呼称があるのかな、、)が違いますね。
杉浦式のここがどうなってるのか、長年疑問で不明だったのですが、こういう風になってたんですね。ずっとコルトと同じ感じだと思ってました。
杉浦式、コルトともども左側の凸はエジェクターの逃げです。コルトの右の凸はセパレーター用です。セパレーターはカートリッジの装填排莢をスムーズにするためのガイドですね。こういうのがある、ってのは知ってましたけど、それがセパレーターっていうの、恥ずかしながら知らなかったんです。詳しい人に教えてもらいました。
左側のグリップ部のUP。セフティは別パーツながら固定です。フレーム部の縦溝は、トリガーバー兼用のディスコネクターです。
コルトは、独立したディスコネクターがあるので(ガバと同じ)、ここも杉浦式と違います。
というわけでお終いです。今回あれこれいじってて改めて思いましたけど、銃って原寸の立体でないとピンと来ないことって多いですね。ほんとは実銃を触るのが一番なんでしょうけど、当然不可能です。アメリカですら幻の拳銃ですからね。そういう意味でも、今回のモデルガン化は素晴らしいことだと思います。ア!クションさんの英断に拍手を送りたいです。
最後に手持ちのトイガンと一緒に撮ってみました。
いやー、杉浦式が混ざって感無量ですねえ、、、。
で、先にコルトと杉浦式の違いをちらほら書きましたけど、解説漫画を描くためにあれこれ調べたり考えたりしてたら、いろいろ気付いたんですね。その辺のことはまた改めて書きたいと思ってます。
それでは。