駅へ行く道を歩いている時、ふと目の端にティシュ配りの
男性が入ってきました。
ティシュ配りなど、見慣れた風景にすぎないのに、私は
振りかえり立ち止まってその人を見てしまいました。
40過ぎの働き盛りという年代の男性が配るティシュは
殆んどの人が受け取るのです。
直ぐ近くに、若い女性も配っていましたが、
受け取る人の数が、男性に比べ圧倒的に
少ないのです。
この違いは何だろうと思って見ていると、女性の方は
自分の立っている場所を動かず、目の前を通る
人にだけ差し出しているのです。
一方、男性の方は渡そうとする人のところまで
歩いて行って渡すのです。
私は、その男性の姿を見ていて胸が熱くなり
ました。
ティシュ配りなど、喜んでやるべき仕事とは
いえません。学生のアルバイトならともかく、40代の
大人には耐えがたい仕事だと思います。
けれども、その男性はティシュを渡すということに
喜びを見いだしているような、生き生きした表情で
渡しているのです。
私は、何にでも生き方がでるのだと、
自分に問われている気がしました。
その仕事が意味があるから、尊いから一生懸命
やるというのは、誰でも出来ることです。
しかし、意味を見いだすことも難しい、そんな仕事で
あっても与えられたことに、どう向き合うかで
その人の生き方が出るのだと、ティシュ配りの
男性に与えてもらった気がしました。
その男性の姿を見ただけで、清々しい気持ちの
一日となりました。