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心に残る講演会

2016-10-24 10:08:31 | 画像をすべて表示
 昨日10月23日(日)、世田谷文学館友の会主催の講演会が三軒茶屋の「らぷらす」で開催され、行って参りました。
  講演のテーマは「石川達三 戦争と検閲の時代をどう生きたか」 
  講師はジャーナリストで朝日新聞記者の河原理子(みちこ)
石川達三氏(1905ー1985)は1930年移民の監督者として移民船でブラジルにわたり農場での体験を元にした「蒼氓」を著す。その「蒼氓」で1935年第一回芥川賞受賞に輝いた。太宰治をおしのけての受賞であった。この後も意欲的に作品を発表するが1938(昭和13)年「生きている兵隊」が新聞紙法に問われ、発行日も2月19日と決まっていたのに2月18日に発禁となり、発行元の中央公論社編集長は休職、退職、石川達三氏も禁固4ケ月猶予3年の判決を受けた。戦争へとまっしぐらに進んでいく時代であり、国家統制が厳しくなっていく時代であった。石川達三氏は何度も検閲にひっかかったが、それにもめげず強い信念を持って書き続けた作家である。石川達三は法廷で「戦争の凄まじさを伝えたい。のんきな国民を許せなかった。出征兵を神の如くに考えているのが間違っている。もっと本当の姿を見て、その上に真の信頼を打ち立てなければならない。私は反思想家でもないし、書いたことを悪いとも思っていない」と堂々と述べている。石川達三を支えたものは何か。それは読者だった。多くの石川ファンが存在し、多くの読者に支えられた作家であった。
朝日新聞に3年連載された「人間の壁」をはじめ、風にそよぐ葦」「傷だらけの山河」1945年の改訂版「生きている兵隊」「四十八歳の抵抗」など読んだのが懐かしく思い出されます。
このような偉大な作家はもう現れないでしょうと思いつつ帰途に着きました。




講師 河原理子氏
「戦争と検閲」石川達三を読み直すの著書があります



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6 コメント

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ありがとうございました (kieko)
2016-11-03 14:49:10
先日は講演会にいらしてくださってうれしかったです。
 ブログに実に克明な講演要旨を書いて下さって
おどろきました。講演者及び関係者にご披露させて
頂きます。きっと喜ばれるでしょう。
 かなり心配な社会を考える時、こうした会に参加して
下さる方が多いことは少し希望がもてます。
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石川達三氏 (ともこ)
2016-11-03 17:34:51
好きな作家のひとりです。
何事にも真摯に向かい合う方で若かりし頃
随分本を読みました。
このような講演会には行きたかったですね。
今の若い人に石川達三氏の著書をぜひ読んで
ほしいです。
河原さんのご本を是非読んでみます。
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kiekoさま (モナリザ)
2016-11-04 20:02:40
今日こちらへ来ました。
講演会は河原さんのお話がわかりやすく2時間が
あっと言う間に経ってしまいました。
良い講演会に参加できて有難うございました。
短時間でブログに掲載しましたので反省するところ
多々ありますがまたこのような機会がありましたら
教えてください。
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ともこ様 (モナリザ)
2016-11-04 20:09:59
コメント有難うございました。
河原さんの「戦争と検閲 石川達三を読み直す」を
一気に読んでしまいましたが「学ぶところあり」です。
ぜひ読んでください。
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ベストシーズン 秋 (YAEKO)
2016-11-05 14:55:27
お元気で家に戻られたご様子何よりです。
朝夕は冷えますが爽やかで良い季節になりました。
講演会へ行かれ有意義なお話を聴き良い時間を
持たれました。
私はコンサートの発表会に向けて練習に励んでいます。
好きなことに励む時間は楽しいですね。
気温の変化に気を付けてください。
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YAEKOさま (モナリザ)
2016-11-06 12:07:10
コメント有難うございました。
お元気で趣味を楽しんでいるご様子何よりです。
コンサートの発表に向けての練習は大変なことも
あるけれど好きなことは苦になりませんね。
思い出に残るコンサートになりますように。
朝夕はめっきり寒くなりました。
風邪などひかないように気を付けてください。
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