国立能楽堂で行われました金剛流のお能 「西王母」と「夕顔」を鑑賞しました。西王母(せいおうぼ)は三千年に一度だけ花咲き実を結ぶという桃を帝王(中国周の穆王《ぼくおう》)に献上する西王母伝説を典拠とした有名な作品です。前場(まえば)で「自分は西王母の分身である」と身分を明かし現れた若い女が、後場(のちばで)は西王母の真の姿となって現れ、桃の実を帝王に献上するという単純なストーリーですがいささかの曇りもないめでたさと崇高な雰囲気を醸し出しています。何といっても西王母の中の舞が優雅で悦楽感が舞台上にたゆとうばかり。観客にまで至福感をもたらす舞でした。撮影禁止ですので画像は本から抜粋したものです。
夕顔は典雅な趣をもつ「源氏物語」の中でも女の悲話として殊にすぐれた哀れな素材になっています。前場では源氏と夕顔の出会いから夕顔の死までを、後場では序の舞いを中心として、命も恋もはかなく消える情念を中心に、底知れぬ寂しさと、そこはかとなくただよう薫りとを感じさせてくれる舞でした。
夕顔は典雅な趣をもつ「源氏物語」の中でも女の悲話として殊にすぐれた哀れな素材になっています。前場では源氏と夕顔の出会いから夕顔の死までを、後場では序の舞いを中心として、命も恋もはかなく消える情念を中心に、底知れぬ寂しさと、そこはかとなくただよう薫りとを感じさせてくれる舞でした。