今朝も出勤する娘に朝ごはんをもらったらしいネコがごきげんにのどを鳴らしながらわたくしを起こしにやって来る。寒い朝、何度もわたくしの体の上を歩き回るのは「寒いから早く手を出して」という意味らしくて。左手を布団の上に出すと手のひらに冷たい四肢をのっけてじっとしている。意外なほど早く暖かくなる肉球のぬくもりを感じながら まどろみの中、不意にあの朝のことを思い出した えいちあーる亭 亭主
家内の葬儀が終わって大阪の大学へ通うことになった息子を駅に送った朝。駐車場から我が家へと戻る曲がり角で、いきなり左手にぬくもりを感じた朝のこと、「なんや、お前そこに居ったんか」ぬくもりを感じた瞬間に安心したように確かにそう言ったわたくし。自分でも意図しないこころが出した答えに ついて来てくれるんだ と改めて心が支えられたような気がしたあの朝のこと
でも、考えてみれば家内がなくなる前後の不思議な出来事はそれを最後に絶えてなくなったこと。17年暮らした飼い犬が一夜限りでその気配がなくなったとこと まどろみの中ずっしりとした肉球とそのぬくもりに安らいだ朝にようやく分かった えいちあーる亭 亭主
そうか あれはお別れだったんだ うすれゆく思念が最後に残した想い
告げそこなった別れの言葉に いつの間にかこころをからめとられていた自分に 「大丈夫 さよなら」そんな家内の伝言を伝えてくれたようなネコの魔性 でも、手を握るより抱きしめてほしかったと思った欲深いわたくし 気の利かない自分勝手なわたくしをよく あの朝の家内にようやく届いた思いがした えいちあーる亭 亭主
家内の葬儀が終わって大阪の大学へ通うことになった息子を駅に送った朝。駐車場から我が家へと戻る曲がり角で、いきなり左手にぬくもりを感じた朝のこと、「なんや、お前そこに居ったんか」ぬくもりを感じた瞬間に安心したように確かにそう言ったわたくし。自分でも意図しないこころが出した答えに ついて来てくれるんだ と改めて心が支えられたような気がしたあの朝のこと
でも、考えてみれば家内がなくなる前後の不思議な出来事はそれを最後に絶えてなくなったこと。17年暮らした飼い犬が一夜限りでその気配がなくなったとこと まどろみの中ずっしりとした肉球とそのぬくもりに安らいだ朝にようやく分かった えいちあーる亭 亭主
そうか あれはお別れだったんだ うすれゆく思念が最後に残した想い
告げそこなった別れの言葉に いつの間にかこころをからめとられていた自分に 「大丈夫 さよなら」そんな家内の伝言を伝えてくれたようなネコの魔性 でも、手を握るより抱きしめてほしかったと思った欲深いわたくし 気の利かない自分勝手なわたくしをよく あの朝の家内にようやく届いた思いがした えいちあーる亭 亭主