mitumine 夢幻庵日記

夢うつつで過ごしている日々、趣味の絵・旅行・写真・ハイキング・読書などを写真を交えて気ままに記しています。

五十嵐敬喜・小川昭雄 共著 「道路をどうするか」 岩波新書 を読んだ

2009-03-22 20:26:10 | その他種々雑多


本書を読むと、日本の政治・行政の貧しさに暗澹たる気持ちに襲われ、日本の行く末が心配になる。

日本の道路整備状況の国際比較では、欧米の先進各国を抜いてダントツの1位だという。

可住面積(人が住めるところ)1平方キロあたりで高速道路は、日本は90.8㍍で先進7カ国の中でダントツの1位(アメリカは、16.5㍍で6位、カナダが4.0㍍で7位)  
国土面積1平方㎞あたりの道路延長は、密度の低い順からカナダ0.15㎞、ドイツ0.66㎞、アメリカ0.95㎞……日本3.16㎞でダントツの1位

何故ダントツの1位までいけたのかは、本書に詳しく書かれているが、ひといで言うと道路特定財源に源を発し政・官・行の持ちつ持たれつの癒着の結果だという。
そしてその財源は今では使い切れないほどふくらみ、建設省では職員の厚生費に使っているばかりはなく「まちづくり交付金」などで浪費しているという。

建設コストも、諸外国に比べて10~30倍も高いという(昨年の「ガソリン国会」衆議院国土交通委員会での参考人松下文洋氏の指摘)。
大して必要でもないバイパス建設で、市街地の商店街のシャッター化を招き、活性化が失われているという。

もっと問題なのは道路整備優先の結果、先進国の中で相対的貧困率(18歳から65歳までの生産年齢人口で「可処分所得」の分布の中央値の半分以下の所得しかない人口の割合)がアメリカと並んで高い国になっているという。アメリカが13.7㌫で最悪、次いで日本で13.5㌫……フランス6.0㌫になっている。

これは、2006年にOECDの発表した「対日経済報告書」によるものだが、さらに、ここでは日本の問題として税の再配分や社会保障給付の低さを指摘している。そして同じOECDが2008年に発表した「図表で見る教育OECDインディケータ2008年版」によると、GDPに占める教育機関への公的支出の割合は、28カ国中最下位だという。

道路優先、政官業の癒着の結果、我々庶民は、先進国の中でもとんでもない貧しさとなっている実態が浮かび上がる。
本書では、道路特定財源の一般財源化・高速道路建設の凍結等々を早急に実施するべきとして、道路問題緊急調査委員会を国会内に設置すべきだと提言している。

これは、今までの自民党中心の政府では無理で、政権交代の必要を訴えている。
私も、全くその通りだと思う。一年前のガソリン税の国会での熱気を思い起こし、今のゆがんだ政治・行政を真っ当なものにして欲しいと思う.

とは言っても、今の民主党には注文がある。党首の秘書が、政治資金それも建設業者からの疑惑で逮捕されたという事実を重く受け止め、適切に対処して欲しいと思う。疑惑を持たれたままでは、選挙に際しても安易に民主へというのを躊躇する人もいる。ここは、日本の将来のためいったんは身をひいてはどうかといいたい。





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1 コメント

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Unknown (mitumine)
2009-03-24 09:39:10
全くその通りですね。日本の政治状況は、嘆かわしい限りです。
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