私が初めてイスラーム建築(或いは、芸術)に触れたのは、去年スペインで観たアルハンブラ宮殿(写真右)などの遺産だった。精緻な文様に驚き、水の流れを取り込んだ建築様式も初めてだった。
610年頃アラビア半島マッカのムハマンドが、神の啓示を受けてイスラーム教が生まれ、瞬く間にこのイベリア半島まで版図に治めて、この遺跡を遺したのだという。
後ウマイヤ朝(756-1031)の時のもので、多くの観光客の目を楽しませている。
現在のアメリカ(ブッシュ大統領)がイスラム(イランやビン・ラーディン)を敵視して、様々な圧力をかけているのは何故なのか、と日ごろ疑問に思っていた。
この本でその疑問が氷解するという程ではないが、1922年にオスマン朝が消滅したことによってイスラム国家が無くなり、今はイスラーム復興の時代だという説明で、少しは分かったような気がする(アメリカのやり方に賛成ということではない)。
それに伴う混乱が、様々なジハード(外敵に対する防衛)を喚んでいるのだという。
本シリーズは、あとがきによると「現代が理解できるような歴史の解釈が必要で、それを提示したい」と杉山編集委員は著者に力説したという。
それは、第10章「イスラーム復興と現代」に凝縮されている。歴史上の出来事を、単に史実の羅列に終わらず、それが現代にどう繋がっているかを、解説している。
これは第1回目で、全21巻の予定だという。楽しみだ。
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