mitumine 夢幻庵日記

夢うつつで過ごしている日々、趣味の絵・旅行・写真・ハイキング・読書などを写真を交えて気ままに記しています。

美達大和 著 「人を殺すとはどういうことか-長期LB級刑務所・殺人犯の告白」 新潮社 を読んだ

2009-03-14 13:22:53 | 読書


著者(1959年生まれ)は、二人の殺人事件を起こし、無期懲役囚として服役中。獄中から送られてきたものを、出版したもの。

裕福だった在日一世の韓国人を父に、純和風の日本人の母との間に生まれた。
18歳から32歳(逮捕時)までは社会人として働き、億単位の年収を得ていた。

幼少時から天才、神童とうたわれていた。例えば、読書は月に単行本100~200冊、週刊誌20誌、月刊誌60~80誌を読んだという。
逮捕後の鑑定でも、異常に知能指数が高いという結果だったという。

26歳から1年間、やくざの世界にいた。そしてその時第一の事件を起こした。兄貴分が面倒を見るようにと連れてきた相手を刺殺した。
二つ目の事件は約一年後、面倒を見ていた相手の不誠実を主因として、殺害した。

著者の性格は、尊敬する父親の次のような教育方針に負うところが大きい。
 ・ 一番以外は二番も一〇〇番もくずだ
 ・ 白黒をはっきり
 ・ 文句があったらいえ
 ・ 嘘をつくな
 ・ 喧嘩に負けたら勝つまで諦めるな
 ・ 約束は守れ
 ・ 言ったらやれ、やれないなら言うな

だから事件を起こした、と、いうわけではないが、相手の不誠実な態度が許せなくてあのような結果になったようだ。
従って、後悔はなく、相手への同情や贖罪の意識はなかったが、検察の論告求刑を聞いて、贖罪の意識を持ったという。
公判では、死刑を望んでいたが、意に反した判決となった、とある。

長期LB級刑務所は全国に五カ所あり、刑期八年以上かつ犯罪傾向が進んだものを収容しているところ。
著者はここで日々反省と贖罪、そして勉強の日々を過ごしているという。そして同房の人たちの贖罪意識の低さを嘆いている。

この本は、極めて珍しいノン・フィクションだと思う。



コメント (1)
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