著者(1959年生まれ)は、二人の殺人事件を起こし、無期懲役囚として服役中。獄中から送られてきたものを、出版したもの。
裕福だった在日一世の韓国人を父に、純和風の日本人の母との間に生まれた。
18歳から32歳(逮捕時)までは社会人として働き、億単位の年収を得ていた。
幼少時から天才、神童とうたわれていた。例えば、読書は月に単行本100~200冊、週刊誌20誌、月刊誌60~80誌を読んだという。
逮捕後の鑑定でも、異常に知能指数が高いという結果だったという。
26歳から1年間、やくざの世界にいた。そしてその時第一の事件を起こした。兄貴分が面倒を見るようにと連れてきた相手を刺殺した。
二つ目の事件は約一年後、面倒を見ていた相手の不誠実を主因として、殺害した。
著者の性格は、尊敬する父親の次のような教育方針に負うところが大きい。
・ 一番以外は二番も一〇〇番もくずだ
・ 白黒をはっきり
・ 文句があったらいえ
・ 嘘をつくな
・ 喧嘩に負けたら勝つまで諦めるな
・ 約束は守れ
・ 言ったらやれ、やれないなら言うな
だから事件を起こした、と、いうわけではないが、相手の不誠実な態度が許せなくてあのような結果になったようだ。
従って、後悔はなく、相手への同情や贖罪の意識はなかったが、検察の論告求刑を聞いて、贖罪の意識を持ったという。
公判では、死刑を望んでいたが、意に反した判決となった、とある。
長期LB級刑務所は全国に五カ所あり、刑期八年以上かつ犯罪傾向が進んだものを収容しているところ。
著者はここで日々反省と贖罪、そして勉強の日々を過ごしているという。そして同房の人たちの贖罪意識の低さを嘆いている。
この本は、極めて珍しいノン・フィクションだと思う。
それに負けずに生きたいものです。