未解決事件の内実は、これを読むと様々だ。警察の初動捜査の失敗、検察・政治の権力者の思惑等々、被害者にとっては、やりきれない思いの事件が多い。
終戦後起こった37の事件を検証しているのが本書だ。迷宮入りした事件が殆どで私の年代では、これを読むと、あああのころのこと?と思いだす事件が多い。あの頃の世相が瞼に浮かぶ。
事件の幾つかを羅列してみる。狭山事件(1963年)、3億円事件(1968年)、グリコ・森永事件(1984年)、國松警察庁長官狙撃事件(1995年)、世田谷一家殺害事件(2000年)、和田心臓移植事件(1968年)、下山事件(1949年)、中川一郎怪死事件(1983年)等々である。
これを読むと、純粋に犯人を捜し出すための捜査というより、他の動機が勝っていてそれをねじ曲げているのではないかという感を深くするものが多い。被害者及び関係者にとってはやりきれない思いではないかと、同情を禁じ得ない。